2-14 「ワシの事を男だと思っておったのか?」
総司は恥ずかしがっておるのか、こちらに背を向け、浴槽の中で縮こまっておる。
「そんなに恥ずかしがる必要はあるまい」
構わずワシは手狭な鉄砲風呂へ、ドボンと片足を突っ込んだ。
「ほれ、もうちそっと空けぬと、入れんではないか」
そもそも鉄砲風呂というものは、大人が一人浸かるのがやっとの大きさで作られている。
さすが天下の大江戸は八百八町と言われるだけあって、家屋はひしめき合い、どれもが小さい。田舎の広い間取りで伸び伸び暮らしてきたワシには、どれもこじんまりと感じられる。この風呂はそんな江戸の事情に合わせて作られたのであろう。だから未だに皆、大きな湯船のある銭湯へ行くのは道理であった。
背を向けていた総司が更に体を丸めて、浴槽へ張り付くように縮こまっている。その空いた僅かな隙間へ体を沈めた。
ザバーッ!と、溢れた湯が豪快に流れ出ていく。
「気持ちよいのぉ……どうした?そんな煙突の側では熱かろう?こっちへ来い」
この鉄砲風呂というものは浴槽に通した煙突の熱を水に伝えて温める仕組み故、煙突の側は熱いのだ。仕切りが設けてあるとはいえ、直に煙突に触れては火傷をするかもしれぬ。
返事をしない総司を構わず後ろから抱き寄せる。
「やっ、ちょっと!イサミさんっ!」
「ハハッ!そんなに恥ずかしいか?」
あまりに総司が可愛い反応をするので、胸をその小さな背中に押し当ててやると微動だにしなくなった。
「ハッ!ハッ!ハッ!ワシは鍛えておるからな。この胸は男のものと、さほど変わらんであろう?」
毎日稽古をしていれば、自然と贅肉は落ちるものだ。ワシもそのせいか胸が幾分小さく、そしてキュッと引き締まった気がする。
すると、総司が消え入りそうな小声でポツリと呟いた。
「……イサミさん、本当に女性だったんですね……」
「なんじゃ?お主、ワシの事を男だと思っておったのか?」
「いえ……あまりに男っぽい振る舞いをしているから……」
「ハッ!ハッ!ハッ!そうか、そうか」
まぁ、ワシは元々男であるから、立ち振る舞いにそれが出てしまうのは仕方がない。
それから総司は黙りこくってしまった。やはり、見た目は小さくても男!おなごと一緒に入る風呂は刺激が強すぎたか?
「ナニをそんなに隠しておるのだ?見られては困るのか?ん?」
「あ、あの……これは……」
「ちょっと見せてみよ」
ワシは湯船で立ち上がり、総司を無理やりこちらを向かせた。そして手で隠せぬように、脇を抱えひょいと持ち上げる。子供の体は実に軽い。まるで犬を抱き上げるのと変わらぬ。
「やっ!やめてください!」
総司はなおも大事な部分を見られまいと、必死に膝を曲げて足をピタリと閉じている。
ちょっとからかうつもりだったから、直ぐに放してやろうと思ったのだが、ワシは違和感に気付き、その小さき体を凝視した。男児であれば、閉じた足の内にモノが挟まって見えなくなることもあろうが、総司のアソコは……
「……何じゃ、これは」
確認の為そのまま浴槽から上がり、床に寝かせた総司に覆いかぶさった。
「きゃんっ!」
子犬が鳴く様なか細い声に構わず、その両ひざをガッ!と掴み、バッ!と開く。
「あんだってんだ、こりゃあ!」
ワシの叫び声が浴室に響いた。




