第87話 また旅へ
朝でございましたわ。
荒野を出ましたの——道に戻りましたわ。3人でございますの。
「次はどこへ行きますか?」とクーリエが言いましたわ。
「東に、まだ採っていない茶葉がございますわ」
「また東ですか?」
「ええ」
クーリエが少し間を置きましたわ——頷きましたの。ヴァルターが前を向いておりましたわ。
3人で歩き出しましたの。
道が続いておりましたわ。
村を通りましたの——広場でございますわ。子供が走っておりましたの。笑い声がしましたわ。老人が日向に座っておりましたの——穏やかな顔でございますわ。
次の村でございましたの——井戸の傍で人が話しておりましたわ。揉めておりませんでしたの。
クーリエが道端の草を見ましたわ——しゃがみましたの。
「これは?」
「それは雑草でございますわ」
「……そうですか」
クーリエが立ち上がりましたわ——また歩き出しましたの。ヴァルターが前を向いたまま、小刻みに肩が動きましたの。
北東でございましたわ。
城でございますの——石造りでございますわ。門番がおりましたの。
名を告げましたわ——少し待ちましたの。案内が来ましたわ。
広間でございましたの——石の床でございますわ。窓から光が入っておりましたの。
レオガルドが立っておりましたわ。深紅の鎧でございますの——腕を組んでおりましたわ。
「……来たか」
「約束でございましたわ」
「ああ」
少し間がございましたわ。
わたくしは荷物から茶葉を取り出しましたの——包みでございますわ。
「旅先で集めたものでございますわ」
レオガルドが受け取りましたわ——少し見ましたの。頷きましたわ。
クーリエが湯を借りてまいりましたの——広間の隅に椅子がございましたわ。3人で座りましたの——レオガルドも座りましたわ。
わたくしが淹れましたの。4つのカップでございますわ。
レオガルドがカップを受け取りましたの——一口飲みましたわ。少し間がございましたの。
「……悪くない」
「でございましょう」
また間がございましたわ。
「決着はついたのか?」
「ええ」
「……そうか」
レオガルドがカップを見ておりましたわ——もう一口飲みましたの。
少し間がございましたわ——石の床に光が入っておりましたわ。
「……また来るか?」
「茶葉があれば」
レオガルドが少し笑いましたわ。「……そうだな」
クーリエが自分のカップを飲みましたわ——ヴァルターが前を向いておりましたの。
しばらく、4人で黙っておりましたわ——カップの中に光が映っておりましたの。
城を出ましたわ。
また東でございますの——道が続いておりますわ。
「レオガルドさんって、笑うんですね」
「ええ」
「意外でした」
「そうでございますか」
ヴァルターが少し前を向いたままでございましたわ——何も言いませんでしたの。
3人で歩き続けましたわ。
夕方でございましたわ。
道端に草地がございましたの——3人で座りましたわ。
クーリエが淹れましたの——丁寧でございますわ。量を確かめておりましたの。蒸らしましたわ。
カップを渡してまいりましたの。
一口飲みましたわ。
「……美味しゅうございますわ」
クーリエが自分のカップを飲みましたわ——空を見ましたの。ヴァルターがカップを両手で持っておりましたわ。
しばらく、3人で黙っておりましたの。
「……そろそろ戻らないといけないですね」
わたくしは一口飲みましたわ。「そうでございますの?」
「はい。天界に……」
「ええ」
クーリエが少し間を置きましたわ——草を見ましたの。わたくしを見ましたわ。
「また、来ていいですか?」
「茶葉が見つかったら教えますわ」
クーリエが笑いましたわ。「……じゃあ、すぐ来ます」
ヴァルターが少し間を置きましたわ——カップを一口飲みましたの。
翌朝でございましたわ。
宿の前でございますの——クーリエが荷物を持っておりますわ。
ヴァルターが一礼しましたわ。「お気をつけて」
「ヴァルターさんも」
わたくしはカップに蓋をしましたの——渡しましたわ。「道中に」
「ありがとうございます」
クーリエが歩き出しましたわ——道でございますの。少し歩きましたわ——途中で振り返りましたの。
何も言いませんでしたわ。
また歩き出しましたの——道の先へでございますわ——小さくなりましたの——見えなくなりましたわ。
しばらく、2人で見ておりましたの。
「……行きますか?」
「ええ」
2人で歩き出しましたわ——東でございますの。
道が続いておりますわ。




