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第79話 天界の観測記録・第7号

覗き石が、光った。


 セラフィナは机の前に座っていた。今回も待っていた。


 石を手に取った。


 夜だった。街の外だった。月があった。


 4人が歩いていた。荷物を持っていた。聖堂から離れていた。


 黄金のオーラが見えた。


 聖堂の入口に立っている人物の周囲にあった。信徒たちに囲まれていた。白い衣だった。


 4人の背中を見ていた——向こうを向いていた。


 黄金が細くなっていた。


 細く——細く——霧のように広がった。それから散った。


 爆ぜなかった。崩れなかった。静かだった。


 石の表面が曇った。




 セラフィナは石を置いた。


 管理台帳を開いた。ナルバスの欄に羽根筆を持っていった。


 印を押した。脱落。


 台帳を閉じた。


 残り1名。




 転生特別監視記録の束を引き出しから出した。第7号、と新しい紙に書いた。


 覗き石を引き寄せた。映像を遡った。


 黄金が散ったのがどの瞬間か、確認しようとした。


 映像を止めた。


 4人の背中があった。聖堂の入口に人物が立っていた。口が動いていた——石は音を拾わない。


 映像を動かした。


 4人の背中が歩き始めていた。黄金が細くなり始めていた。


 止めた。


 歩き始めた瞬間だった。


 石を置いた。




 羽根筆を動かした。


 アレンの欄を見た。白銀・四散。


 レオガルドの欄を見た。深紅・爆発。


 オルフェウスの欄を見た。暗紫・崩壊。


 ソフィアの欄を見た。翡翠・一瞬。


 ナルバスの欄に戻った。


 黄金・——と書いて、止まった。


 「霧散」と書いた。見た。少し考えた。消した。


 「細散」と書いた。


 見た。


 消さなかった。




 記録の続きを書いた。


 謁見の記録。地下聖堂の記録。茶葉採取の記録。信徒による包囲の記録——2度。セバスチャンへの攻撃の記録。茶器を出した記録。


 書いた。書き続けた。


 最後の欄で止まった。


 脱出の記録。


 通路を歩いていた。黄金は聖堂の入口にあった。4人の背中が離れていった。黄金が細くなった。散った。本人は気づいていなかった——信徒たちに向かって話し続けていた。


 「本人未確認」と書いた。


 羽根筆を置いた。




 管理台帳を開いた。


 印が5つあった。アレン、レオガルド、オルフェウス、ソフィア——そしてナルバス。


 5つ目の印を押した。


 台帳を閉じた。




 業務日誌を開いた。今日の日付を書いた。


 書き終えて、閉じた。


 扉が、開いた。


 足音だった——軽い足音だった。


「……また増えましたね」


 エリオだった。台帳を見ていた。


「ええ」とセラフィナは言った。


「残りは?」


「一人です」


 エリオが台帳を見たままだった。少し間があった。


「……最後の一人は、どうなるんでしょうね」


「わかりません」


 エリオが顔を上げた。セラフィナを見た。


 セラフィナは台帳を閉じた。


「でも——見届けます」


 エリオが少し間を置いた。それから頷いた。


 扉が閉まった。足音が遠ざかった。


 セラフィナは窓の外を見た。天界の空は白かった。


 残り一人の欄は、まだ白かった。

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