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Re: 平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ! 第二章  作者: 冠 三湯切
第二章 最終幕 THE END OF THE ANOTHER WORLD(中央決着、バッドエンドゲーム 終幕)
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リメイク第二章 START BY ROCKET

 スチュワート宅


 彼は桜蘭達が降りた梯子を外し、通路への扉を閉めた。


 「よっこらせっ・・・さてと、そろそろ来るか?」


 『ドンドンッ!!』


 けたたましくドアを叩く音が響き渡る。スチュワートはノロノロと車椅子を回して玄関のドアを重さそうに開けた。


 「おー、なんじゃ警察官か。このおいぼれの家になんか用か?」


 開けるとそこにいたのは交通機動隊のようなフルフェイスヘルメットを被った警官達がいた。


 「スチュワート ヘリオトロープ。貴様に逮捕状が出てる。同行願おうか?」


 「おいおいおいおい、もひとつおまけにおい。いきなり来てそりゃねーだろ。せめて罪状を言えよな?てかよ、人の家に上がるならせめてそのヘルメットぐらいとれや。最低限の礼儀ってなもんだぜ?」


 スチュワートは警察たちをおちょくった。


 「済まないが時間がないのでな」

 「あんさんらがヘルメットを取らないのは取れないからだな・・・」


 スチュワートは警察の言葉を遮った。


 「何だと?」


 「取れねーんだろ?取ったらこの世界に触れちまう。そうなれば覚醒するしか無くなる、そんなリスクは犯さない。違うか?」


 「・・・貴様、やはり」


 警察の声色が変わる、僅かに動揺した。


 「自分たちの存在が明るみになりたくないが為に慎重になり過ぎたな。もう全てが後手に回ってるぜ?第一俺ぁこの国の警官と軍人くらいなら声だけですぐに分かる、あんさんの声は聞いたことがねーよ。あんさんらがいわゆる『彼ら』って奴なんだろ?よろしくな、俺ぁスチュワートだ」


 スチュワートは笑いながら自己紹介をする。


 「・・・笑ってられるのも今のうちだ、担当直入に聞く。坂上 桜蘭たちは何処だ?」


 警察はおもむろにアサルトライフルをスチュワートに向けた。


 「おー、その銃カッコいいな!!なんつったっけ?あさるとらいふるか?けど、それで俺を撃つのか?撃ちたければ撃ちゃいいけどよ、いくらあんさんらに記憶を支配できる奴がいるとは言え、桜蘭達の居場所が分からない以上あまり派手にやるのはおすすめしねーぜ?それに、撃つならどっちが早いと思う?」


 「っ!?貴様っ!!!」


 スチュワートは車椅子に座りながらも一瞬のうちに警察が忍ばせていたハンドガンを抜き取り、銃口を向けていた。


 「使い方は知ってる。セーフティも解除してハンマーも下ろした、後は引き金を引くだけ。どうする?それに、俺をあんま舐めんなよ?この状態でもあんさんらをボコボコにする事はできるんだぜ?」


 スチュワートの殺気は本物だった。そしてそこそこの経験のあるこの警察ならその力の差が理解出来た。


 「ちっ!!くまなく探せっ!!!必ず奴らを見つけ出すんだ!!」


 この部屋にやって来た他の警察達はスチュワートの家をあちこち探しまわった。


 「ふぅー、精が出るねぇ〜。あんさん、お茶でも飲むか?」


 「黙れ」


 「にしても本当、あんさんら浅はかだったな。ここに人を寄越すならあんさんらお抱えの覚醒してる奴らを寄越せばもうちょいマシな展開だっただろうによ」


 「黙れと言っている、あの方達は忙しいのだ」


 「へー、なるほど。あんさんらの覚醒者は忙しい社畜っと。そりゃいい情報ありがとよ。弱点発見だな」


 「なっ!?貴様っ!!」


 スチュワートは笑い飛ばしながらメモを取る、それを警察は奪い返した。


 「なーにムキになってんの?馬鹿だねぇ、こんな情報うんこふく紙よりも無価値だぜ?それより、まだ見つけられないの?俺眠くなって来たんだけどよ、ふぁ〜・・・何なら手伝ってやろうか?ほら、その椅子の下とか怪しいんじゃね?」


 スチュワートはコロコロと車椅子を転がしながら警察達を煽る。


 「おっ!!その肖像画になんかボタンついてるぜ!?押してみろよっ!?」


 ポチ。


 『ぼよよよーん!!!』

 「うひっ!?」


 警察の一人があろうことかそれを押して、中から勢いよくびっくり箱なら中身見たいのが飛び出した。そしてその中身にはでっかく『ばーか』と張り紙されていた。


 「ぐっぬぬぬっ!!」


 「ケラケラケラケラッッ!!!ひー!!腹痛い!!」


 その様子を見たスチュワートは腹を抱えて笑った。


 「おい!何をやってるんだっ!!てか!言われた通りにやる奴がいるかっ!?」


 「も、申し訳ありませんっ!!」


 「あぁ〜、笑った。あんさんらお笑い芸人目指せば?仕方ないから教えてやるよ、ほら、ここだぜ?おーい!外のあんさんも来なよ!このスチュワートがあんさんらの笑いのセンスに応えて地下通路を教えてやるぜー?」


 スチュワートは机の下の地下通路の入り口を見せた。


 「本当にこの先なんだろうな?」


 「あぁ、俺ぁ嘘は吐かないぜ?桜蘭たちはこの先だ。だけど・・・」

 『ガシャンッ!!!』


 突然全てのドアと窓が閉められた。


 「誰も行かせるつもりはねーよ?」


 「くっ!!ダメです!!このドアびくともしません!!」


 「スチュワート!!貴様の仕業かっ!?」


 「俺の仕業じゃなかったらどうすんだよバカヘルメット。あんさんら、俺たちを甘く見過ぎだろ?俺はこの命を懸けてあんさんらを足止めにしに来てんだぜ?」


 さっきまでヘラヘラ笑っていたスチュワートから笑顔が消えた。代わりに睨見つけるような鋭い眼差しが警察達の身体を貫く。


 「くっ!!仕方ない!!命令違反だが、貴様はここで死ねっ!!全員構えろっ!!


 銃口が一斉にスチュワートに向けられた。


 「ったく、最初からそんくらいで来いよな?そうすりゃ誰も死なずに済んだかもしれねーのによ」


 「死ぬのは貴様一人だ、スチュワート!!」


 「で?俺を殺した後どうやってここから出る?言っておくが、この家はちょっとやそっとじゃびくともしねーぜ?なんせ大気圏突破出来るぐらい頑丈だかんな」


 「大気圏・・・だと?まさかっ!?ここはっ!!」


 その時ようやく警察のリーダーみたいな奴が気がついた。ここが一体何なのか、何故やたらと扉が重たいのか。何故この家はここの森の奥にあり、円錐形の形の屋根をしているのか。

 

 「くそっ!!!お前らっ!!ここは家じゃない!!ここは!この家が核だ!!」


 「正解っ!!おまけに言うとここが発射台だ!!んで!!ポチっとな!!」


 スチュワートは笑いながらさらにボタンを押した。


 「おい、今、何を押した?」


 「ん?このミサイルの発射ボタンだぜ?言っただろ、俺ぁ命かけてるってよ。俺ぁあんさんらを許せねーんだわ、この先短い人生、楽に過ごしたかったのによ・・・レイたちとのんびり生きたかったのによ・・・仕方ねーからこんな感じのでっかい花火で宇宙葬よ!華々しいのは好きじゃねーが、最後くらいハメ外すぜっ!?カウントダウン開始だぁっ!!はい、十ッ!!」


 スチュワートは大声でカウントダウンを始めた。


 「くそっ!!!」

 『ズガガガァンッッッ!!!』


 警察達はドアに向かって銃を乱射した。けど、びくともしない。

 

 「九ッ!八ッ!はっはっはっ!!そんなんじゃ無理だぜ!?六ッッ!!!」


 「グレネードはっ!?」

 「ありませんっ!!」


 「窓だっ!!窓を割れっ!!」


 「無駄無駄無駄無駄ぁっ!!もう全てが無駄なんだよぉっ!!諦めてお経でも唱えてなっ!!それか!どっかしがみついてりゃ最後に絶景が見られるかもしれねーぜっ!?一ッッッ!!はい!!零だっ!!!」


 スチュワートのカウントダウンが終わった瞬間、家はガタガタと揺れ出した。そして全身が地面に押し付けられるような感覚が全員を襲う。


 「くっ!!!!!」


 「ぐっ!!結構キッツイなおいっ!!だがっ!!突き進めよ俺の最高傑作よぉっ!!空のドラゴンを避けて!!更に先へっ!!まだ見たことのないこの世界の全てをっ!!はっはっはっはっ!!!」


 スチュワートは大笑いしながら衝撃に耐える。


 「スチュワート!!あまりいい気に・・・なるなっ!!我々の組織は異世界そのもの!!三上一人とは比べものにならない!!覚醒者の更に上を行く者もいるっ!!この程度!!飼い猫が飼い主を引っ掻いた程度だっ!!」


 この男はヘルメットを脱いだ。


 「知ってるぜ?んな事はよ。んだけど抗うって決めたんだ、俺らはよ、こいつぁ言わば開戦の狼煙みてーなもんだ。にしてもあんさん、案外いい面してんじゃねーか。見直したぜ?」


 衝撃は徐々に緩やかになって来る。スチュワートは車椅子から立ち上がった。


 「あんさんよ、見えるか?こいつがこの世界の真の姿だ。まだあんさんらも見た事がねぇ景色だろ。これのためにめちゃくちゃ計算したんだぜ?ドラゴンのいない座標やら、あんさんらの監視の拠点、何処から何処のタイミングでこいつを飛ばすのか。で、どの範囲にまで影響を与えるのか。全部計算したんだよ。お陰でこの景色に辿り着いたぜ・・・」


 「これが・・・この世界なのか・・・」


 「誇りに思えよ、これを見たのは世界で俺たちが初めてなんだぜ?」


 「・・・くそ、なんでこんな時に感動しちまったんだろ。俺・・・負けだ。スチュワート、けど、分かってるな?」


 「あぁ、勝負はこっからだぜ」


 スチュワートと男は互いに拳をぶつけ合った。その瞬間、核は点火し、その凄まじい連鎖によりこの世界は、激しい光で照らされた。



 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 スチュワートが足止めをしていた頃、


 俺は彼女に遭遇した。


 「シズ先輩?」


 「久しぶりって言うべきなのかしらね、桜蘭君」


 俺とシィズさん・・・いや、シィズさんと呼ぶべきなんだろうか、俺と彼女は睨み合った。


 「シィズ?何なのよその格好、スーツ?似合ってないわよ?」


 エルメスは少し長い顔でシィズに近づいた。


 「エルメス!動くなっ!!あいつに近づいたらダメッスよ」


 エルメスは身体をビクッとさせて止まった。


 「シィズさん・・・って今は呼ぶッスよ。あんたは、俺たちの居場所をどうやって見つけたんスか?」


 「それは、ちょっと答えられないわ。けど勘違いしないで、私はあなたたちの敵じゃな」

 

 「動くなっ!!動いたらダメッスよシィズさん・・・零羅、グレイシア、いつでも動けるようにお願いッス・・・」


 こくり


 「は、はい・・・」


 グレイシアと零羅がシィズさんを囲んだ。


 「はぐらかさないで、質問に答えて欲しいッスよ、シィズさん」


 「分かった・・・はぐらかさないわ。けど、その前に一つだけ聞かせて。あなたは知ったの?私の正体を・・・」


 シィズさんは少し不敵に笑った。


 「・・・今、シィズさんが話を振ったお陰で疑問は確信に変わった。シィズさん、あんたは『彼ら』なんスか?」


 「その答えは・・・イエスよ」


 正直、聞きたくは無かった。まだ心の何処かで根拠が持てなかったからだ。けど、シィズさんがイエスと答えた事は三上のやって来た全てが合ってたって事だ。


 「けど、私はあなたの敵じゃない。桜蘭君、今は信じられないかもしれないけどこれは本当よ。そして今は時間が無いの、ありとあらゆる奴らが動いてる。みんな、何も言わずに私について来てくれる?」


 シィズさんから出された提案はこれだった。


 「あんたらの仲間になれって事ッスか?」


 「まぁ、そんなとこになるわね」


 少しはぐらかした言い方、読めない・・・


 「シィズ殿・・・シィズ殿が彼らなら、受けた命令がある筈。内容を聞かせてはもらえないでござるか?」


 「問題はそこよ、麗沢君。上の連中は今になって三上君が我々の存在に気がついた事を知って焦ってる。あいつらはその火消しの為に私を寄越した。私が受けた命令は二つ、一つはあなたたちを我々の仲間に引き入れる事。そしてもう一つはそれが叶わないなら全員抹殺せよ。私はあなたたちを殺したくはない。だからお願い、来て・・・」


 目は真剣だ。けど・・・


 「シィズさん、あんたは本当は何者なんスか?その名前、本名じゃないんスよね?」


 「そうよ、桜蘭君。それを明かす為にわざわざこの格好出来たのよ。ま、会議終わってそのままってのもあるんだけどね。


 私の本当の名前は静也丸 峰子。出身は日本、桜蘭君の大学の先輩として、この世界に誘う任務を受けた。そして、その後はシィズ・ナナとして異世界に呼ばれた者達の監視と観察の任務を遂行した、()()()()()よ」


 完全覚醒者・・・それって、三上も見つけられなかった20年より先の・・・っ!?


 俺が考えてたら、グレイシアは無言のまま歩いていた。そして一瞬で氷の剣を持ちシィズさんに切り掛かっていた。

 

 しかし、シィズさんはグレイシアの強烈な冷気を人差し指一本で相殺した。


 「んっ!!!」


 「無駄ですグレイシアさん、あなた程度じゃ私には勝てない。仮に全員でかかって来ても、私一人に勝てる訳もない。あなたたちが相手にしようとしてるのはそんな連中なのよ?だから一緒に来なさい・・・私に殺させないで」


 シィズさんはもう一度と手を差し出した。


 俺は考える、けど、その前に覚悟は決まっていた。俺はシィズさんを睨んだ。その瞬間、地面は突然大きく揺れ出した。

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