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Re: 平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ! 第二章  作者: 冠 三湯切
第二章 最終幕 THE END OF THE ANOTHER WORLD(中央決着、バッドエンドゲーム 終幕)
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リメイク第二章 ANOTHER FORCE BY ANOTHER SIDE

 「まさか・・・」


 「ちょちょちょっ!!!ジョシュって!それもあり得ないわよっ!!あいつって反逆者たちの中でもかなり古株って話じゃなかった!?サムもあいつを信じてて、昔からの馴染み・・・だ?」


 エルメスが必死に否定しようとしたが、何か引っ掛かるのがあったみたいだ。逆に俺も今、エルメスの反応が引っ掛かった。シィズさんは簡単に疑えたのに、なんでジョシュさんだけこうも反応が違うんだ?


 「なんで・・・私、ジョシュの昔を知らない」


 「エルメスちゃん、そもそもあんさん。ジョシュとろくに会った事も無いだろ。だけど、あんさんはジョシュを昔から知っている、違うか?


 そして俺もそれが起きてる。俺は確かにあいつを昔から知ってる。なのに、そんな俺があいつが何処で産まれて、どんな風に生きて来たのか覚えてねー。この俺がだぞ?」


 身に覚えのない記憶・・・それってこの本も確か。


 「スチュワートさん、この本・・・確かみんなこぞってこれを面白くない恋愛小説だって・・・」


 「あぁ、それも覚えてるぜ。何故か俺も無理矢理読むまでは一ページたりとも開きたくない感情に襲われた。こんなくその役にも立たねー本なんか読むかよってな・・・」


 「まさか・・・もう一つの力・・・」


 俺の口から出た予測、もしそれが可能だとしたら・・・彼らは、俺たちがどうこう出来る相手じゃないぞ?


 「あぁ・・・ん?桜蘭、あんさんまさか・・・到達してんのか?あの力に・・・」


 「あ、はい」


 スチュワートが初めて驚いた。他のみんなは何の事だ?と首を傾げている。


 「・・・あの、何なのですか?もう一つの力とは・・・」


 零羅が恐る恐る聞いてきた。


 「三上が使ってたあの見えない攻撃あるじゃないッスか。アレの事ッス。アレの力の正体は、己自身をこの世界に呼び出す。それが三上の能力だったんスよ」


 俺は端的に説明した。まだ俺もこれに関してはわからない事が多い、詳しくはスチュワートが話してくれた。


 「そう言うこった。もう一つの力、もしくは支配の力、だなんてレイは言ってたな。その力ってのは覚醒の際、稀に生まれる超能力みたいな力の事だ。発動条件は今んとこ不明、何か特出した精神状態に起因するのか、少なくとも精神がおかしい奴ほどその力は生まれやすい。


 レイは自身を支配し、別の世界に存在する自分を呼び出した。だが、世の傍ってやつかね。レイ自身を分身のように出す事は出来ない。あくまでも存在してるのは別の世界にいるレイだ。だから見えねーのさ」


 あぁ・・・見えない理由、やっと理解出来た?理解出来てるのか?これ、やっぱりとんでもない能力じゃないか。


 「んで、ゼロにもその能力があった。バケモノの支配って言うな・・・つまり、その力ってのは周囲に何かしらの影響を与える力って訳だ。そして、俺たちが今まで何故彼らに辿り着けなかったのかの理由はここにある。


 記憶支配・・・彼らの中には俺たち全ての記憶を操作出来る能力を持つ者がいる」


 俺の予想と同じだった。彼らは、記憶を支配出来る・・・


 「けど・・・その能力は、俺たちには通用しない・・・」


 「俺の予想もそれだ・・・彼らは、あんさんらの記憶には干渉出来ない。干渉出来るのはこの世界で生まれ育った俺たちだけだ」


 俺の中でふつふつと覚悟ってやつなのかな、それが沸き起こってきた。もし、もしもここで逃げたら・・・彼らの能力ならみんなの記憶を消して、全てリセットする事も出来る。


 つまり、俺たちのこれまでの旅が・・・何もかも意味を無くしてしまう。もしかして、これまでそうやって姿を消してきたのか?


 見つけだせ・・・出来る限り早く、記憶支配に弱点があるとすれば、起こった事実・・・つまり記録は消せない。真実を連鎖させ、彼らを表に立たせる。


 俺たちはそうしなければならない。


 「スチュワートさん・・・三上からこの先の計画聞かされてるんスよね?」


 「桜蘭・・・どうやらあんさんも、覚悟決まったらしいな。良いぜ、レイの最終計画を教えてやる・・・あいつが、何で核なんてもんを作った、本当の理由をな」


 俺の中に残る最後の疑問、それは核だ。三上の異常な程の平和思想は分かった。だが、その真逆の象徴の核を何故三上は開発してしまったのか、俺はようやく答えに辿り着いた。


 「あんさんは知ってたな、レイの奴が作った核は二つ。一つはレイ自身が持っていたあの小型の原爆だ。ゲームが時間切れになった時、レイと中央地区を丸ごと吹き飛ばすつもりだった。あの街に誰もいなかったのはレイの奴が中央にあるシェルターに住民をみんな突っ込んでたからだ。緊急国王命令つって、それはもう昨日は大変だったぜ?ま、それが一つ、レイの原爆の本来の意味は中央地区の機能停止だ。


 そしてもう一つの核、水爆の狙いは彼らの情報網の遮断だ。この図面にある彼らの監視装置は何処にでもあるとは言え使用には電気を使う、その機能を全て一斉に停止させる方法がある。それが何なのかは分かるか?」


 「・・・お!高高度核爆発っ!!!」


 「その通りだぜレイサワよぉ、もう一つの核はただの爆弾じゃねぇ。ロケットってのにその爆弾積んで遥か上空でそれを起爆。その結果そこから出る強力な電磁波がこの世界にある電気機器を機能停止にする。


 そうする事で彼らの監視網を一切遮断できる。ま、それもあんさんらがここに来た時点で使う必要は無くなったって訳だ。もし使ってたら復興は絶望的だかんな・・・」


 三上の奴、ここに到達点させるためにどれだけ準備してたんだよ・・・


 「ん?スチュワートさん、さっき中央の住民をシェルターに突っ込んだって言ってたッスよね?もし、核が爆発してたらその住民たちもどちらにせよ一生外に出られなくない?ほら、放射能がどうのこうのでさ」


 住民を核の熱線から守るためにやったのは理解出来たけど、遠くにやっておかなきゃダメだろ。


 「おぉ、その話か。そいつがまだ立証は出来てねぇんだが、レイが発見した零祖細胞の新たな効果として人体に有害な放射線の類はたちまち除染されるってのがある」


 「はい?」


 「不思議だろ?そんな核で破壊された都市から有毒な放射能が消えるのは五十年と言われてるらしいな。けど、こっちじゃ零祖細胞がたちまち除染を始めて一定の水準に値を落としちまうんだ。そのせいなのかは知らねーけど、この世界に肌が黒い奴がいねーのはそれが原因かもだってよ」


 言われて見れば・・・あの南国の南オーシャナの人も別に多少褐色っぽい人はいたけど、完全な黒人っていないのか?


 「こいつがこのゲームの真相だ。もしレイの奴にあんさんらが負けてたら原爆と水爆を地上で爆破して、この世界をぶっ壊そうとしてたのは事実。ここまで来るのは確率がほぼないような大きな賭けだったのは間違いねぇ。一歩間違えればみんな死んでた。


 けど、それでもレイの目指した平和に力を貸してくれるのなら、辛いかもしれねーけど、闘ってくれねぇか?彼らと、彼らが支配したこの世界と、そして・・・あんさんらの世界そのものと・・・」


 スチュワートは俺たちに頭を下げる。もう戦いなんか懲り懲りだ、出来る限りならしばらくゆっくりと休みたい。それぐらいの働きはした。けど・・・


 「スチュワートさん・・・あと一つだけ、質問ッス。水爆は、まだ使えるんスか?」


 「まぁ、そうだな。あの水爆の使い道はあんさんらを彼らの監視網から遮断する目的もあった。が、今それはここに来た時点で叶ってる」


 「いや・・・それは多分ないッスよ。スチュワートさん、俺たちはまだ彼らを欺ききれてない。何か、近づいてきてる・・・バイク?」


 途中から俺は変な独り言みたいになっていた。けど、ちょうど外にいたリスが俺の能力を通じて話しかけて来た。遠くからバイクに乗った奴らが来てる、そう言っていた。


 「お?バイクの音なんてしないでござるが?」


 「そら聞こえねーだろうよ、この部屋は防音仕様だ。それにあんさんの耳で聞こえねぇなら奴ら、静音バイクで来てるな?レイサワのあんさん、外出て聞いてみろ。何台だ?」


 スチュワートの切り替えスピードが早い。俺の呟きを一瞬で理解してる。麗沢は外へと出て耳をすました。


 「ほぼタイヤの音のみでござるが・・・20台ほどは確実でござるな」


 「ちっ、嗅ぎつけるのが早ぇな。どうやらマジで時間が無くなってきた、最後にもう一度聞く。まだ、闘えるか?」


 『はいっ!!!』


 全員即答だった。俺たちはみんな覚悟が決まった。


 「なら、俺も覚悟決めるぜ!ここに隠し通路の梯子がある、そこを下って先に行けば俺の車がある。そいつを使ってここから脱出しろ」


 机の下から隠し通路の梯子が現れた。


 「スチュワート!あんたはどうすんのよっ!?」


 エルメスの問いかけにスチュワートはニヤリと笑って見せた。


 「おもてなしくらい俺にも出来らぁ」


 「まさか、あんたっ!?」


 「しーっ・・・ダメだぜ?エルメスちゃんよ、分かっててもこう言う時は言わないのが鉄則だぜ?もし彼らが聞いてたら全ておじゃんだ」


 スチュワートはエルメスの口を遮った。そして俺も完全に理解出来た。スチュワートが何をしようとしてるのか、ここの場所の意味が。

 

 「グレイシア、運転はあんさんに任せるぜ、振り切れるのはあんさんだけだ。そしてこの座標に向かえ、詳しくはここに書いておいた」


 スチュワートはグレイシアに鍵と紙を渡した。グレイシアはそれを受け取ると握りしめて口を開いた。


 「必ず、やり遂げるからっ!!」


 初めて聞いた。グレイシアの力強い言葉だ・・・そしてこの目線も初めてだ。今までずっと前を見てるけど遥か未来を見てる顔が、今は目の前の現実をはっきりと見据えている。


 グレイシアは梯子を勢いよく降りて行った。


 「スチュワートさん・・・わたくし!負けませんから!!」


 「あぁ、あんさんのとんでもパワーには期待してるぜ。彼らをぶっ飛ばしてやりな」


 零羅はちからこぶをスチュワートに見せて梯子を降りる。


 「拙者!これより世界解放の任務を開始するっ!!キリッ!!」


 「おー、様になってんな、綺麗な敬礼だ。軍の連中に見せてやりてーな。任せたぜ」


 スチュワートと麗沢は互いに敬礼を交わした。


 「全く・・・ほんとあんたはいっつも自分勝手よね。昔からさ、気に食わないとお父様ですら殴り飛ばすんだから・・・けど、あんたの行動に意味が無いことは無かった。それだけは認めるわ。あんたは、この国最高の兵士だったわ」


 「エルメスちゃんに言われると照れるなぁ、けど、兵士ってのはやっぱり嫌だな俺ぁ。俺が軍にいたのはダチがたまたま国王だったってだけだ。俺ぁやりたいことやって生きてきただけだぜ。


 ま、これからはあんさんの時代だ、あの馬鹿(アレックス)よりよっぽど役に立つ。この先この国を背負うのはエルメス、あんただ。この国を、世界を任せたぜ、女王陛下?」


 「・・・舐めないでよね!!全く問題無いわ!この私に全部任せなさい!!スチュワート ヘリオトロープ国王護衛部隊隊長!!」


 エルメスはそう言い捨てると梯子を飛び降りるように降りた。


 「いだっ!!麗沢!!まだ降りてたのっ!?」

 「おーのー・・・」


 下で麗沢が踏まれた音がした。俺じゃなくてラッキー・・・


 「へっへっへっ・・・相変わらずのおてんばだな、そうは思わねーか?桜蘭よぉ」


 「ッスね・・・エルメスって、なんかいつも勢いみたいなとこがあるから」


 「ふっ・・・だな。それよりも桜蘭、一つ聞いておきてぇ。あんさんの能力は、動物との会話で良いのか?」


 え、この人に俺の能力を話したっけ?


 「正確には、動物たちを俺の味方に出来る能力みたいッス」


 「そうか、なら能力の発動範囲は?」


 「集中力次第ッスけど、半径数キロくらいは行けそうッスね」


 「分かった、念の為だ。そいつらにもここから離れるように伝えておけ。頼めるか?」


 「了解ッス!!!」


 「よっし!なら、頼んだぜっ!!!」


 俺はスチュワートとハイタッチして下に降りた。





 「こっちだから!!」


 下に着いたらグレイシアが先頭を走って地下洞窟を駆け抜ける。


 しばらく走り外に出ると森の中に車が見えた。グレイシアが鍵を開けて車に乗り込む。そして俺たちも・・・


 「むっ!?何奴っ!!」


 麗沢が茂みに向かってフライパンを構えた。


 「ま、待って!!私!!!」


 茂みから出てきたのはシィズさんだった。けど、服装がいつもと違う・・・あれ?このシィズさんの服、見覚えがある。そうだ・・・この服はあの日、あの日が着ていた。


 「・・・シズ先輩?」

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