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Re: 平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ! 第二章  作者: 冠 三湯切
第二章 最終幕 THE END OF THE ANOTHER WORLD(中央決着、バッドエンドゲーム 終幕)
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リメイク第二章 STAND BY YOU

 「あんさんら、ミカミがおかしくなった原因は分かってるか?」


 それを教えてくれるんじゃないのか?あれ、でも


 「いや・・・あ、そう言えば本。確か何か本を読んで・・・けど、その本はこの世界の何処にも無いとか」


 アレックスさんが予想していた事だ。書いたのはニヒル アダムス。そしてそこに三上の狂った原因が書かれていた。


 「よく覚えてるな。それだ、そしてその本は今・・・ここにある」


 スチュワートは一冊の本を取り出した。ボロボロの作者の名前すら分からない本。タイトルは、





 『この異世界より真実を込めて』





 これだ・・・ここに、全てが記させているのか?


 「読んでみな、ここに全てが記されている。そして決めろ、あんさんらはどうするのか」


 俺は恐る恐るページを開く。


 「え、この本は何も無いとこで読めって」


 「その理由も見てけば分かるぜ」


 ペラッ・・・俺は世界の真実に辿り付いた。


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 これは・・・日記?


 『五月十三日、晴れ


 今日は、特に何も無い一日だな。なら、魔法の真実についてでも書いてみようか。魔法はこの世界にのみに存在する特殊な細胞、零祖細胞などと呼ばれているが、それが魔法の正体だ。


 零祖細胞はこの世の全てに変化する。大地、水、それだけではない。火や風といった自然現象も、この零祖細胞は変化する。そしてそれを自在に操る事が出来るのが私たちの血液だ。この世界の者ではそれは出来ない。異世界から来た私たちのみがそれを使えるのだ』


 零祖細胞・・・それが魔法の正体?


 『五月十四日、曇り


 今日も別に書く事がない。なら今日は零祖細胞の魔法以外の効果を書いてみよう。この零祖細胞は私たちの肉体にも大きな影響を与える。一番分かりやすいのは怪我の超速治癒だ、どんな怪我もたちまち治る。


 そしてもう一つ、若返りだ。これはまだ予測でしか無いが、この世界に来た者は皆若返った。その理由はおそらく、その人物が最も身体能力を発揮できる年齢になるのではと考えてる。つまり、子どもならば逆に成長するとも考えられる』


 三上が子どもっぽい理由はそれなのか?ページをめくる、日にちが飛んでる?


 『五月十七日、晴れ


 やれやれ、この二日間は忙しかったな。全くあの馬鹿は・・・いや、こんなのは書かないでおこう。そうだな、また零祖細胞の事でも書こう。


 今日は副作用についてだな。零祖細胞はあらゆる物質、現象に変化する。だが、それ相応のリスクが生じるのも事実。細胞は一時的に我々に大きな力を与えるが、一歩間違えればその体は変貌し、化け物になる』


 ペラ・・・


 『五月十八日、雨


 今日はあの化け物について書こう。あの化け物は、我々異世界の存在が恐怖に呑まれた際に変貌する。しかし、恐れなければどうと言う事もなく、約一か月で誰であろうとも変貌は起こるらしい。


 明日は、その化け物にならない方法でも書こうか』


 『五月十九日 晴れ


 何か最近日記と言うより報告書でも作ってるのかと言う気分になる。あいつにもどれだけ仕事人間なんだと言われてしまった。だが、意外とこの作業は嫌いじゃないんだ。もしかしたらいつか役に立つかもしれないしな。


 さて、今日も書こう。化け物にならない方法、それは覚醒だ。精神の異常な興奮で我々の肉体はこの世界と同調し、魔法の真髄を理解出来る。そうする事で二度と化け物になる事はない。覚醒を知るのには、かなり苦労したな・・・』


 俺は読み進める。確かに俺の知らない真実も記されていた。けど、そのほとんどは三上自身が更に解明した事ばかりだ。とてもじゃないが、これで人が変わるとは思えない・・・


 「三上は、何でこの本を隠してた・・・」


 そもそも覚醒の事が最初から分かってたのなら、俺たちはここまで苦労する事は無かった。


 「次のページを読んでみな、そこが答えだぜ」






 ペラリ・・・


 『この日記を読む者は誰だ?彼らか、それとも私たちのような存在か。もし、この世界に来てしまった人が読むのならば、ここに残したのは私の遺志と考えて欲しい』


 この先、日記じゃなくなってる?


 『まず第一前提だ。この世界は常に彼らによって監視されている』


 ・・・は?彼ら?常に監視されてる?何の事だ?意味が、全然分からない。


 『この世界には私たち以外にこの世界を知る者たちがいた。そして彼らは、この世界を一つの実験場にしていたのだ。彼らは私たちを使い、零祖細胞の更なる実験をしようとしている。


 まずは魔法を向こうの世界にもたらす事。そして、実験の最終目的は我々人類における最大の罪、不老不死を彼らは達成させようとしている。


 私たちは彼らのモルモットだった。それだけではない、この世界に暮らす人々も、彼らの実験の為の道具だった。


 責任は私にある。私の為に私は、この世界に魔法を広げた。その結果、彼らにとんでもない力を与えてしまった』


 ・・・・・なんなんだよこれ、


 「まさか、今も?」


 「いや、ここは奴らの監視が絶対に出来ないように俺と三上で作った。だが、この世界にあるほぼ全ての建物、道路、木に至るまで彼らの監視下だ。ありとあらゆるところに彼らの監視がある・・・人の中にすらな」


 「そ、そんな事不可能よっ!!」


 エルメスが声を上げた。


 「いんや、エルメスちゃん、それが出来るのが彼らだ。そもそも俺らぁアダムス建国以前の歴史を知ってるか?」


 「いや、資料が何処にも無いから・・・」


 「ふっ、資料なんざ必要ねーのさ。なぜなら、歴史そのものがねぇからな。建国以前のこの国はそもそも、言語すら存在していなかった。それをこの作者であるニヒル アダムスがもたらしていた。


 そして技術も。俺たちにはそもそもこんな建物を作る力すら無かった。だが、俺たちに出来た事が一つだけあった。それは真似る事。俺たちの先祖ぁ、ニヒルの技術を真似て技術を得た、そこに彼らは目をつけていたんだ。


 彼らはニヒルにバレないよう、この世界の建築基準に世界の監視出来る装置を組み込んでいた。見てみろ、こいつぁこの世界の一般家庭の図面だ」


 スチュワートは一冊の図面を机に出した。


 「ここにどう考えてもおかしな釘とかがあったりするんだとよ。俺も言われて初めて知った。で、そのことをこの世界の建築物の総まとめ役の筈の国土省に聞いても、絶対にいるからいるって、わけわかんねー事言いやがるんだよ」


 「っ!?スチュワートそれって、この国そのものが彼らってやつらと繋がってるって事?」


 エルメスもそこに引っかかったみたいだ。俺は少し唖然で何も言えなかったけど、その彼らはこの世界の省庁にまで影響を与えてる。


 「さっき書いてあっただろ?この世界は常に彼らによって監視されているってな。彼らが監視してるのは装置だけじゃねぇ、彼らはこの世界そのものに潜り込んでいやがる、巧妙にな、何処に彼らがいるか分からねぇ。もしかしたらエルメス、あんさんも彼らの可能性だってあるんだぜ?」


 「なっ!!そんな訳ないでしょっ!!」


 エルメスは顔を真っ赤にして怒った。


 「あぁ分かってるぜ、あんさんは白だ。けど、これくらい疑わなきゃ駄目なのさ。それくらいにまで彼らはこの世界に侵食している」


 「けど、腑に落ちないッスよ。三上の目的はその彼らを見つけ出す為だったって言いたいんスか?だからって、なんで世界をぶっ壊そうとしたんスか?余計に訳分からない」


 世界の真実を知った、色々と考えた。けど、それでも尚三上の思考が理解を大きく超える。何を思って死を受け入れた?何を思って世界を・・・


 「その答えが次のページだ」


 俺はページをめくった。


 『さてと・・・私もそろそろ覚悟を決めなければ。これを読む者よ、これが最も重要だ、覚醒には続きがある。完全なる覚醒と呼べるものが。


 今の覚醒で魔法を自在に操る事が出来るのは二十年のみ。その先はどう足掻こうが世界は私たちを否定し、化け物へ変貌させる。対処法としてあるのは今のところ元の世界に行く事だ。


 しかし今私は元の世界に帰る術がない。だが、完全なる覚醒へと至る事が出来たなら話は変わる、方法は何処かにあるはずだ。私は死なない、死んでなるものか・・・奴を、必ず・・・』


 この先にはもう何も書かれていなかった。


 「まさか・・・三上がもう助からないってのは」


 「うん、ゲームの終了時間の真の意味はレイがバケモノになるまでのタイムリミットの事。それがあの時間だから・・・」


 なら、あの時・・・三上が一瞬苦しそうになったのは、あれは体力の限界じゃ無い。バケモノ化が迫っていたからだ。何となくあの感覚が少し睡蓮に似ていると思ったのは、そう言う事か・・・


 「なら、最初からその彼らに敵対するつもりなら、公に言えば良かったじゃないッスか!!それをなんで・・・周りに憎しみを与えるようなことをしてまで・・・そこも納得がいかない!!」


 何となくは分かる、三上が俺たちの為に芝居を打って覚醒させようとした。そして俺たちに完全なる覚醒を託し、彼らを見つけさせようとした。


 けど・・・自分の大切な人を殺してまでそれを成し遂げたい理由が分からない。


 「スチュワート殿、もし三上殿がそう言う理由があったのだとしたら、あの処刑には何か、裏の意味があるのでござるか?」


 麗沢がスチュワートに質問した。その答えだけだ、そこが納得出来たなら俺は・・・


 「残念ながら、俺もその件は何も知らねーんだ」


 「あ?」


 「あいつはそう言う奴でよ、ニードトゥノウって言われるやつだ。グレイシアちゃんにすら全てを知らせなかったように、俺にも必要な事しか教えなかった。おそらく、シャルロットは知ってたんだろうぜ。あいつぁ、間違いなく三上の右腕だかんな」


 「ちっ・・・なら、そんな奴の事なんか尚更信用出来るかよ、大量殺人犯が俺たちの為に芝居打ってたなんてさ、虫が良すぎるだろ」


 「だろうな。ま、けど俺ぁあいつを信じるぜ?これは完全な俺の予測だが、あの死には裏がある。彼らを騙す為に、見せつける為に処刑をやってた。いつか、何かをする為にな、その為の行動は何処かでやってるはずだぜ」


 スチュワートの言う通り、可能性はある、可能性はあるけどさ・・・


 「ぁぁああっっ!!!やっぱり納得出来ねーっ!!!何でもかんでも三上の作ったレールの上だっ!!ここに書かれている事も本当かどうかも分からない!!つまり俺たちは三上が彼らってのを炙り出すためのエサだった訳だ!!あの野郎!!ぶっ殺してせいせいしたよっ!!」


 「ちょっ!!先輩!!グレイシア殿の前でそれは流石に・・・」


 麗沢の言う事は正論だ。けど、俺はムカついて仕方がなかった。


 「五月蝿いっ!!俺はあいつを殺したんだぞ!?理由が何だろうと!!俺がやったのは人殺しだっ!!グレイシアさんさぁ、あんた本当に三上の事愛してたのかよっ!?何でこうなるまで足掻かなかったんだ?何でだっ!!何でまだ普通にしてられるっ!?」


 「足掻きたかった・・・けど、レイは昔言ってたから、死を覚悟した者を哀しむのは失礼だって・・・レイは覚悟してた。だから私は・・・」


 「グレイシアッッッ!!!!」


 びくっ!!


 俺は大声で彼女の名を叫んだ。グレイシアは驚いて固まった。


 「もう言わなくていい、俺・・・俺さ、あんたのそう言う所大嫌いだ。いつも何処か別の所を見てる、自分の気持ちを決して表に出さない。そう言うとこがさ・・・自分の為に生きろ、あんた零羅にそう言ってたよな?なのにあんたはそれをしないのかよ。


 あんたさぁ、本当はどうしたかったんだ?三上の為に自分を殺して、何がしたかった?教えてくれよ!!なぁっ!!!」


 「わ、私は・・・ただ、レイの側に居たかった・・・から」


 グレイシアは細々と口を開いた。


 「それはまだ建物だ・・・グレイシアの本当の気持ちは何なんスか?」










 しばらくの沈黙の後、グレイシアはようやく口を開いた。


 「・・・私の、気持ち・・・レイがあんなになるまで頑張って欲しくなかった、私とずっと一緒にいて欲しかった、レイがどの道死ぬ運命だったのだとしても、私はそこで一緒に居たかった。レイに・・・死んでなんか欲しくなかった!!」


 ようやくグレイシアの本当の気持ちが聞けた・・・


 「やっぱり、そうだったんスね・・・特別でも何でも無い、普通な願い。ちゃんとあって良かったッスよ・・・けど」


 「もう、取り返しがつかないから・・・努力したつもりだった。何か手は無いかってずっと考えてた・・・けど、時間だけが過ぎてこうなった。弱過ぎだ・・・最低だ・・・ごめん、ごめん、ごめんなさい・・・」


 グレイシアさんは拳を握りしめる。強く握りしめているせいか、拳の中から血が伝って地面に落ちてる。


 「くそ、とんだクソゲーやらされたもんだ。あそこまで必死で戦ってさ、トゥルーエンディングまで漕ぎ着けたっのに、その結果がバッドエンドかよ」


 しばらく沈黙が流れた。







 「・・・なぁ、グレイシアちゃん。あんさんまだ、あいつの事愛してるって言えるか?」


 こく、


 スチュワートの質問にグレイシアは即答した。気持ちは全然変わらないんだな。


 「なら、三上が・・・いや、レイの奴があんさんと結婚した理由も分かってるか?」


 「彼らを欺く為、レイはその為に私との結婚を承諾してくれた。けど、私はそれで良かったから・・・レイと一緒にいられたから、どう思われてたとしても・・・私は」


 ほんと、三上に対して全然ブレないなグレイシアは、それほどまでに愛してたのは本当なんだろうな。その気持ちを踏み躙ったと思うとまたムカついてきた。


 「それなら良い、実は昨日俺も中央にいた。レイの奴ぁ、エイドのあいつらんとこ行ってたかんな。丁度ビルに誰もいなかったんだ。俺ぁちょいと気になってレイの部屋に行った訳だ、完全に空き巣だな。そしてあいつの部屋を探してみたら、見つけた」


 スチュワートは一つのカセットテープを取り出した。


 「けど、大変だったぜ。なんせバラバラに壊されて、燃やされてたかんな、修復するのに苦労したぜ。けど、あいつの弱さがあったお陰で何とかなった。こいつにはレイの奴の本音が入ってる、あいつがずっと何を思ってたのかをな。俺ぁ、嘘を嘘のままにしておくのが、例え世界滅亡の危機だったとしても許せねーたちでな。これ聞いたらグレイシアちゃん、お前の意志を砕きかねないが、それでも聴く覚悟はあるか?あんさんらもな」


 俺たちも?グレイシアは少し目を瞑り、覚悟したように頷いた。俺はむしろ聞いてやりたい、声を聞くだけで腹立つけど、俺はお前の本音を最期まで聞き取れなかったからな。絶対に聞いてやる。


 スチュワートはラジカセにテープをセットした。

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