リメイク第二章 ESCAPE BY CENTRAL
『ドガンッ!』
一人俺は屋上に立っていた。その時、後ろでドアが開いた。この感じ、グレイシアさんか・・・
「っ・・・レイ、殺したの?」
「あぁ・・・殺した」
「そう・・・」
グレイシアさんは三上の亡骸に触れた。
「サクラ、ありがとう」
そしてグレイシアさんはすっと立ち上がる・・・
「何でお礼?グレイシアさんの望みは三上を救う事ッスよね・・・俺は、ただ殺しただけだ」
「それは違うから・・・サクラ、レイはもう、誰にも救えなかった」
誰にも・・・どう言う意味だ?
その時更に麗沢、零羅、エルメスが上がってきた。
「お、おっ!!?ま、まさか先輩!?」
「ひ、1人で倒したの・・・ですか?」
「そうッスよ、ちゃんと覚醒してな・・・麗沢も、その感じ覚醒したっぽいッスね」
「もちのろん!」
麗沢は鼻を伸ばして相変わらずのノリだ。
「で、遂に終わったの?」
エルメスが口を開く。終わった・・・そうか、これで終わったんだ・・・理解できない事も多いけど、とりあえずの問題は・・・もう。
「いや・・・全ては、今、この瞬間から始まるから」
その時、グレイシアさんがこれまで以上に真剣な声で口を開いた。
「みんな・・・私と来て、早くっ!!」
何だこの慌てぶり・・・
「な、どうしたでござるか!?」
「まだ、何も終わってない。始まってすらいない」
「はい?」
終わってないって・・・どう言う事?みんな急なグレイシアさんの様子に困惑している。
「一体、何をしようとしてるのですか!?グレイシアさんっ!!」
「私も知らない、全ての真実を知りに行く・・・レイサワ、来て」
「お?」
「ポイ」
「の、のぉぉぉぉぉぉっっ!!!」
麗沢はポイっと、これは・・・ダストシュート?この高層ビルに?麗沢はそこに放り込まれた。
「時間がない、全ては今動き出してる!!みんなも早くここから!」
やはり・・・グレイシアさんは三上の事何か知っていた。しかも、この慌てぶり・・・この人の目的は一体・・・
「・・・わたくしは信じます」
零羅はグレイシアさんを信じ、飛び込んだ。
「・・・考えてる余裕はないって言いたげね、分かったわ。けど、ちゃんと教えなさいよ」
こくっ。
そしてエルメスも飛び込んだ。
「サクラっ!!」
俺も行くしか無いな・・・けど、足が動かない。あれ・・・歩くのって、どうやるんだ?
「あ、あれ・・・」
俺は倒れた。駄目だ、まだ意識はある・・・けど、身体が全く動かない。
『がしっ』
「サクラ、まだ起きてて・・・」
グレイシアさんは俺を脇で抱えて、一緒にダストシュートへダイブした。
そして、外に飛び出したと同時に俺はすっ飛んでエルメスに激突した。
「ごへっ!!」
「ま、またか・・・けど、鼻はぶったけどキャッチ成功!」
エルメス、最早予測してたみたい。
「おーのー・・・」
一方グレイシアさんは麗沢をクッションのように敷いて座っていた。
「あ、ごめん・・・」
「てか、ここは・・・地下駐車場?」
俺の目の前には、少し暗い雰囲気の屋根と柱に、ズラリと並んだ車。ここはビルの地下にある駐車場らしい。
「サクラ、とりあえず私の肩に」
「あ、どもッス」
俺はとりあえずエルメスの肩を借りた。
「これに乗って・・・」
「な、なんスか?このガチガチカスタム車・・・」
「何って、私の車だから・・・」
そしてグレイシアさんが目指した先には、やたら改造が施された車が一台あった。これ・・・これグレイシアさんの?
「あ、グレイシアさん!シィズさんはどうされるのですかっ!?」
零羅が気がついた。そう言えばシィズさんがいない。
「いない方がむしろ好都合だから・・・」
グレイシアさんは車に乗り込みエンジンをかける。けたたましいエンジン音が地下駐車場に鳴り響いた。
俺たちも乗り込む。スピードメーター辺りから、エアコンのスイッチ付近まで色んな訳の分からないのが付いてる。これ何のボタンだ?
ってか、待て・・・グレイシアさんって、車持ってる云々より運転が・・・
「シートベルト付けた・・・なら、行くから!」
『ギャルルルルルルッッッ!!!!』
「どぎゃぁぁぁっ!!!」
グレイシアさんがギアを入れた瞬間、俺は後ろにのけぞった。車はビルを飛び出し、誰もいない街の中を縦横無尽に駆け巡る。
「じ、Gがっ!!」
身体が右へ左へ、顔がガラスにくっつく・・・
「んがががっ!!!」
「あれれれれ!!!」
そんで横からエルメスと零羅が俺を更に押しつぶす。麗沢は助手席にいたが、アレは・・・うん、意識ないな。
「グレイシアッ!!一体何処に行くのよっ!!」
「まずは南オーシャナと南ウィートの間にある森に行く。そこである人に会わせる、それが私の役目だから」
「役目?それにあの人って?」
ん?そう言えば俺が覚醒する直前、三上は誰かと連絡をとっていたような・・・
「今はまだ言えない。けど、とにかく今は信じて欲しい。五時間で到着させてみせるから」
急旋回な運転がなくなったと思ったら、既に中央のビル群は抜けて郊外に出ていた。
俺はふとスピードメーターを見る・・・マックス振り切れてるけど。
「ぐ、グレイシア・・・今、何キロで走ってる?」
「三百」
『ウゥーーーーーッ!!!』
あれ?サイレン?後ろに警察の車両が付いてきていた。
「ちょっ!!警察来ちゃったじゃない!!」
「ちっ、もう来たか・・・」
え、何・・・グレイシアさん警察と喧嘩でもした?
『そこの車っ!!一体何キロで走ってる!!止まれっ!!』
「・・・ぶっちぎる!!!」
グレイシアさんは、色々スイッチを押し上げると最後に、何やら赤い、いかもやべーですって感じのボタンに手を置いた。
「捕まってて・・・」
ぽち・・・
『バゴォォォォォォォッッ!!!!』
その次の瞬間、車は更に猛加速してパトカーを一瞬で振り切った。
「に、ニトロでござるかっ!?」
「違う、西ボーダーで買ったお酒。いい具合にこの子に入れてあげるとテンションハイになってくれるから。レイサワ、飲みたかった?」
さ、酒を突っ込んだのかよ・・・
「oh・・・no」
麗沢から魂が抜けた。そして俺も、この激しいGの影響と三上との戦いで遂に意識の限界が来た。
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「おぇぇ、おろろろ・・・」
ん?俺は目を覚ました。ここは何処だ?森?車はもう止まってる・・・
あ、外・・・エルメスが、あー・・・あーあ。見なかった事にしよう。
それ以外には麗沢がうつ伏せで死んでる。零羅は目をクルクルさせて千鳥足。平気なのはグレイシアさんくらいだ。
俺も外へ出る。あれ、足が・・・三半規管が狂ってるのか?上手く前に歩けない。
「あ、サクラ・・・無事だった、うっ」
「あ、あぁ何とかッス」
むしろエルメスが無事なのだろうか。
「な、何とかね・・・ところで、サクラ、私の事何か見てた?見てないよね、見てないよね?」
「み、見てない見てないッス、何も・・・」
流石にこの国の王女様であり、一応ヒロインみたいなポジションのエルメスが、そこで車酔いしてゲロってなんて言えないよなぁ。
「なら、良いか・・・うぷ」
「みんな、こっちだから」
俺たちは森の中にある一つの家?なんか変わった円錐形のような屋根の家にたどり着いた。
「ここにいる。入って」
俺はドアを開ける、このドアも何だ?やたら重たい・・・
そして奥に進むと一人の老人がいた。
「よぉ、久しぶりだな・・・グレイシアちゃん。それに、初めましてだな。俺ぁスチュワート ヘリオトロープだ、異世界の勇者・・・いや、今は世界を救った英雄になったか」
老人は車椅子に乗り、ガラガラと俺たちに近づいた。スチュワート・・・確か前にエルメスから名前を聞いたっけ。
「どうも・・・」
「お疲れのとこ悪いが、ここにも時間がない。早速だが本題に入るぜ・・・あんさんらに話す事はこの世界の真実だ。心して聞け」
俺はこの日、この世界の真実を知る事になる。そして、俺は決めなければならない、俺の意志を・・・覚悟を。




