リメイク第二章 END BY GAME
「何だ・・・その攻撃は、お前俺の真似でもしたんスか?」
おちょくってみたけど、今のアレは俺のこの高熱の刃よりも段違いの威力だ。アレに切れない物はないだろうな。
「違うよ。これが僕の奥の手、流血光刃の真髄さ。自らの血を媒介とし、全ての魔法を同時に使う。その時この剣はこんな風に輝いてありとあらゆる物質を切り裂く刃になる、青薔薇を倒したのもこの力さ」
「成る程な、どうりで刃の無い剣だと思ったら、刃はそこにあったんスね」
「そう言う事」
三上の奥の手・・・つまり、これ以上の技はもう三上は持っていない。
そして、この当たれば即終わりなチートな能力を今出したって事はそれなりのデメリットもある。
「だけどお前のその力・・・その威力分、疲労も半端ないんだろ?」
「まぁ流石にバレるよね・・・けど僕は僕に残された全ての力を君にぶつける。最終局面には相応しいでしょ?さっきも見た通り、流石の僕もそろそろ限界だ。ここまで僕を追い込んだ君に敬意を表して・・・最後の戦い、死力を尽くして戦おう」
三上の剣は輝きを増した。
「あぁ、残り時間がもうどれだけ残ってるか分からないけど、あと少ししか無いのはわかる。だから・・・終わらせる!!!」
俺はもう一度魔法の刃を発現させた。これでアレを受け止められるか分からない。いや、多分受け止められはしない。なら、防御は無しだ。この先は、どちらかが先に倒れるかの勝負だ。
だから俺と三上は既に剣をぶつかり合わせる所か互いを切っていた。
「ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっっ!!!!三ぃぃぃぃ上ぃぃぃぃっっっ!!!」
「うぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!
クソ痛いっ!!!ただ切られるよりも何倍もの痛さだっ!!けど!!こんな痛みに意識を持っていっている余裕なんてない!!俺はあいつを切り、撃ち、貫く!!それだけを考えろ!!
上空に打ち上げられれば風の魔法で体勢を整えろ!!
『見えない攻撃!!!連続で来る!!』
あの見えない攻撃に流血光刃の技は使えない!!打撃のみだ!!なら、恐れる事なんて何処にもない!!ダメージはゼロに等しい!!
俺は風を駆使して4つの攻撃全て避けた。そして、
『バヂヂヂヂィィィッッッ!!!!』
三上の剣と俺の剣がぶつかり合い、激しく閃光と火花が飛び散る。
「だぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「せぃやぁぁぁぁぁっ!!!」
互いの皮膚を切り溶かす、その直後に傷は固まる。その応酬をこのビルの屋上の上空で繰り返す。前に出ろ、空中だろうと!!踏み込み続けろ!!!
「くっ!!!」
三上の体勢が崩れた!!!くらいやがれっ!!!俺は三上を思いきり切り裂いた。
「ぐっ!!!ぁぁぁぁぁぁあああっ!!!」
そして俺もその瞬間に思いっきり三上に切り飛ばされた。俺たち2人はそれぞれ互いにビルの淵に落っこちる。けど、まだ・・・立てる!!
『三上の剣が輝きを失い始めてる!!完全な限界が来たんだ!!』
「あぁ、らしいな・・・なら、行くぞ!!!」
かと言って俺ももうふらふらだ。けど、走れ・・・殺せ。俺が・・・俺がお前を殺すっ!!!
「だぁぁぁぁっ!!!」
「ぉぉぉぁぁっ!!!」
互いに向かって走る。そして、思いきり両者横に剣を振るった。俺は三上の脇腹を、三上は俺の脇腹を抉り取る。
2人は遂に同時にぶっ倒れた。
「はぁ・・・ぜぇ・・・立てよ・・・俺っ!!!」
「ぐぐっ!!!ぐぅぉぉぉぉっっ!!!」
それでも俺はまだ立ち上がる、足も切られてる・・・踏み出せない!!けど、抗え!!まだ撃てる力はあるだろっ!!!
「まだ・・・僕も、やれる!!!」
三上も剣を杖にして立ち上がった。これが・・・互いに最後の一撃になるだろうな。それは三上も承知だ、三上の最後の一撃は抜刀術で来るつもりらしい。
俺の銃撃と、三上の抜刀・・・これは速さの問題じゃない。放つのは同時になる筈だ。問題は、どっちの威力が上になるかだ。
みんな・・・力を貸してくれ、この背負った重荷で踏み出す力を!!必ず、勝つから!!!
「ぁぁぁぁぁ・・・・・」
俺は銃に魔法を込める。電撃、炎、風、それだけじゃ足りない。三上みたいに全ての魔法を同時に撃つ勢いで行け。
三上も同様に剣に力を込め始めた。
「だぁらぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
もっとだ・・・もっと!!!俺の全てを注ぎ込め!!!
「これで・・・」
「終わりだっ!!!!」
三上が剣を抜くと同時に俺は引き金を引いた。様々な魔法を混ぜ込んだ閃光は三上に迫る。
そして三上は、その閃光を輝く剣で切り裂いて行く。
「ぅうぉぉぉおおおおりゃぁぁぁっっ!!!!」
「せぇぇぇいやぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」
互いにぶつかり合うこの一撃の衝撃はビルを大きく揺らした。
負けるな・・・押し切れ、俺が・・・俺が、俺が!!!絶対にお前を!!!
『バキッ!!!』
その瞬間だった、何かが割れるような音が俺の耳に響いた。
『その銃だ!!!桜蘭!!攻撃を止めろっ!!暴発するぞっ!!』
『バキビギッ!!!』
ホクトの声で気がついた。銃に亀裂が入っている。そして、それは銃口からグリップに伸びてきていた。
「耐えろぉぉぉぉぉっ!!!!」
『グシャッ!!!!』
だけど、現実は非情だった。銃口が大きくひしゃげ、俺のため込んだ魔法のエネルギーが霧散した。三上は俺の閃光を切り裂いて来る。
「止めだっ!!!」
この銃は確かに頑丈だった。けど、三上の剣程頑丈じゃ無い・・・こいつが耐えられる魔法は、同時に3つまでだった。
また、俺のミスでやられるのか?また・・・俺は、こいつに・・・
いや、まだだ・・・諦めてたまるかっ!!
俺は銃を手放した、それと同時に深く体勢を沈み込ませ、攻撃をかわす。そして、三上が剣を振ったのと同時に俺は、三上の剣を蹴り上げた。
「っ!!!」
三上の剣が宙を舞う。
気がつけば俺と三上は上空へ向けて飛び上がっていた。互いにもう魔法も、殴る蹴る力ももう無い。殺せる武器はもうアレしかない、先に掴んだ方の勝ちだ。
「くっ!!」
僅かに三上のが先だ・・・
ここまでやって・・・ここまでやったのに、それでも尚三上が速いのか?また、掴めないのか?最初の時も掴み損ね、零羅の時も俺は零羅の手を掴み損ねた・・・ずっと、俺は掴み損ねてた・・・もう嫌だ。あの時掴めなかったのは踏み出せなかったからだ・・・
行け、今度は出来るだろ!!踏み出せ、踏み込め。後一歩の勝利を手にしろ!!今度こそ!!今度こそ!!!!俺がっ!!!!!
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・
『パシッ・・・・・』
完全に無意識だった。気がついたら俺の手に剣はあった。剣を掴んだのは俺だ。俺の・・・勝ちだっ!!!
「ぅぅぅぉぉおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!」
俺は剣を一気に突き出した。
「がはっ!!」
剣は三上の左胸を貫いていた。そして俺は落下の勢いに乗せて三上を貫いたまま地面に激突させた。俺は衝撃で着地出来ずにゴロゴロと地面を転がる。
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・
・
指よ動け・・・まだ、まだ終わってないんだ。頭を、頭を撃たないと・・・
俺は這いつくばるようにもがきながら、胸に剣が刺さり仰向けに倒れる三上に近づいた。
「ははは・・・負け、ちゃった・・・おめでとう、君の勝ちだよ・・・」
三上は何故か安らいだ声だ。俺は、無理矢理身体を起こして立ち上がった。
「さぁ・・・殺してよ。この為に残してたんでしょ?最後の一発をさ・・・」
俺はベルトの後ろに入れていた一丁のリボルバーを取り出した、西ボーダーで貰ったやつだ。最後の一発が残ってる。仮に全体力を使い果たした時に使えるように取っておいたんだ。まさか、本当にここまでギリギリの戦いになるなんてな・・・
『カチン・・・』
俺はハンマーを起こし、弾丸を装填する。そして、三上の額に銃口を向けた。
「・・・・・」
「何をしてるの?」
俺の手・・・震えてる。またか、また俺はここで躓くのか?俺は今恐怖した。この手で一人の人間の命を奪うんだ・・・覚悟は決めた筈だ、この背負ったみんなの覚悟を無駄にするなよ・・・俺!!
「早く撃つんだ・・・時間はもう無いんだ」
「分かってるさっ!!」
重い・・・引き金が、重たい・・・撃たなきゃ駄目だ。意志を持て、覚悟を貫け。だから・・・さぁ
撃て、撃て・・・撃てっ!!!撃てぇぇぇぇっ!!!
「・・・落ち着いて、そしてよく狙え・・・」
震えてる俺の前で、三上はゆっくりと口を開いた。
「君は一人の男を殺すのだ・・・この言葉は知ってる?」
何処かで聞いた気がするけど・・・歴史は苦手だ。
「ゲバラの言葉、今の君に必要な言葉だ・・・怯えるな、君が殺すのは一人の男、悪の王でも、異世界の英雄でも無い。君の敵だ・・・だから撃てっ!!!この、臆病者がっ!!」
「ぅぁぁぁあああああああああっっっ!!!!」
『ダァンッッッッ!!!!』
三上の言葉が俺の頭を駆け巡った。その次瞬間、屋上に乾いた音が鳴り響く。そして三上は安らいだ顔で目を閉じて死んだ・・・
殺した・・・生まれて初めて殺人をした。俺は確かにこいつを殺す為に旅に出てた。そしてようやく覚悟が出来た。けど・・・どうしようもない虚無感が俺を襲う。
時刻は4月28日、午前8時6分17秒・・・三上は死に、俺は勝利を手に入れた。




