リメイク第二章 GENERATIONS BY FUTURE
『四十九階、王室フロアです』
さてと、やっとここまで来た・・・最上階は60階、そこに三上がいる。
そして、敵はもうここにいた。50代くらいのおばさんかなぁ・・・髪を後ろに結んだエプロン姿。まるで夜ご飯の支度でもしてたのか?って思うくらいだ。
「どーも、アシュリー アグレッサーだ・・・で、誰がオレと戦う?」
このおばさんが取り出したこれは・・・槍だ。
「誰がって、もう私しかいないじゃないのよ。それにあなた一端の槍使い?なら、相手が悪かったわね。薙刀術全国優勝者の私が相手になるわ、おばさん」
エルメスがこれでもかってな程自信たっぷりのドヤ顔で出てきた。
「おばさんか、かく言うオレもそうだって自負してはいるが、もう少し言葉を選んでくれると嬉しいかな。少し傷つくんだ」
「エルメス、この人めっちゃ普通の人っぽいッスけど、多分とんでもなく強いッスよ。なんとなくッスけどね」
「分かってるわよ、こんな状況なのにそんな格好で来るなんて普通じゃないわ。煮物を作ってる一手間に戦いに来たって感じね」
エルメスの奴、威勢よく前に出たからまた相手をみくびってるのかと思ったけど、しっかりしてたな。
「サカガミ サクラ、この階の電気は既に通電してあるが、これより先の階の全ての扉、窓、エレベーター、エスカレーター等はハミルの奴が管理している、様々な仕掛けを施したと言っていた。それを掻い潜らなければ最上階へ到達は出来ない。分かったな?」
「え、あ、はい」
アシュリーさんにいきなりピシッと言われてタジタジの反応しかできなかった。
「分かったならさっさと行きなさいよ。時間はそんなに無いんだから」
エルメスは槍を構えて俺たちは先を目指す。
五十階、とりあえず一階だけ登れる階段を見つけた。このフロアには害獣はいないか・・・けど、なんだ?この部屋、まるでマンションの一室だ、掃除機をかけた形跡がある。カーテンを開けてみたらゴミ袋が段々と積んであった。
「なんだ?この毛・・・」
そしてそのゴミ袋の中には謎の毛玉がいっぱい入ってるのも混じってる。
「うむむ・・・拙者動物までは詳しくないでござるからなぁ」
とりあえずこの階には何も無いな、次の階への階段は何処だ?
「先輩、こっちでござる〜、こっちから何か音が聞こえるでござる」
麗沢が上に行く階段を見つけた。
「って、え゛っ!?わっ!?」
上の階は巨大な柱が立ち並ぶ場所だった。そしてその中心、あれは・・・でっかいドラゴンだ。
「グルル・・・ルー・・・」
「これ、寝てんのか?」
「みたいでござるな、いやはや・・・相手にしないに越したことはないでござるからな」
『よほほほ!!みなさんお早いご到着だねー!!』
うるさっ!!スピーカーの音量間違えてるだろあのチビデブっ!!てか、こいつ起きるだろうがっ!!
「グルッ?」
案の定、目を覚ましてしまったな・・・あの野郎、足止めのつもりか?
「てめー!隠れてないで出てきやがれ!!こちとらお前と遊んでる余裕なんてないんスよ!?」
『およ、怖い怖いねー。けど、そんなに騒いだらその子起きちゃうよ?その子は僕のお気に入り、セイリュウ・ブラックドラゴンって言ってね、とーっても凶暴な害獣なんだー。さー、どうやって掻い潜る?因みにミカミ君は昔その子を一撃で気絶させちゃったんだよー?』
一撃?またとんでも伝説が出てきやがったな・・・
『そして、この先には僕のペットちゃんが下の子よりもーっとたくさんいるから。頑張ってねー』
あいつの言う通りだ、上の方からドコドコと音が聞こえる。
「麗沢・・・突っ切れるか?」
「もちのろんでござる。この程度で拙者は止められはせぬわ!!キリッ!!」
「そりゃどーもッスね。だから作戦は一つ、無我夢中で上を目指すぞ。片っ端から敵をぶっ飛ばして近寄らせんな。それで良いか?」
「ガンガン行こうぜ作戦でござるな、御意!!」
デカいのも小さいのも関係ない。とにかく階段を登れ・・・
「うおりゃぁぁぁっ!!!」
「ひょぉぉぉっ!!!?」
この敵は別に倒す必要も、ましてや殺す必要なんて全く無い。相手にするだけ俺の体力と時間の無駄になる。攻撃を掻い潜り、必要な部分にだけ時間を稼げる一撃を与える。
「安心しろ、峰打ちだ」
「安心せよ、フライパンでござる」
なんなら害獣は、痛めつければそいつの匂いを覚えて近寄らなくなる性質があるから、群れのリーダーを見極め、そいつに攻撃を与えればいい。
『およー!?まさかのスルー!!!』
54階、敵の数が更に増える。けど、道さえ見つかれば数なんてどうってことは無い、俺は階段を登り続ける。
『くぅ〜、もう五十七階かぁ〜。うんむ!ぼくちんの最強の奴を投入だ!ぽちーっとな!!』
そして58階、ここを登ればその先の回廊の先に玉座の間があるらしい。
そしてこの58から59階まで吹き抜けになってるこのフロアは、どうやら大きな会食や、発表とかをするフロアらしい。そしてこのフロアにはかつて無い敵が待っていた。
『グルゥァァァ・・・』
この感覚・・・常に何かに怯え、恐怖している。こいつは害獣じゃない。バケモノの方だ・・・
「おい、なんでこんなのがここにいる・・・」
『昔捕まえた奴がいたもんでね〜、色々ミカミ君に実験に付き合って貰ったんだけど、どうにも扱いに困っててね。ついでに言うとその子はバケモノの中でも第五段階って言うレアリティ高い個体で、トカゲ型のバケモノさ。さぁ、この子は害獣とは訳が違うよ?痛めつけて終わりなんてできないよね〜』
あぁ、出来る訳無いだろ・・・あのチビデブ、俺を怒らせたなっ!!
ブチッ・・・
『ズガガガァンッッッ!!!!!』
『よ、よよっ!?し、死んじゃった!?』
俺は一気にバケモノを殺した。こいつ、見かけ程強くは無いな。
「おい、よく聞いとけよこの特撮かぶれのチビデブ。てめーに命を管理する資格はねーよっ!!」
『ふふん、怒ってる怒ってる。あ〜、なんだかミカミ君思い出すね〜。最初に会った時もそんな風に怒ってたよ〜?』
「知るか、あいつがどうしたってんスか?せいぜい首の皮洗って待っとけ、すぐ行って拳骨がしてやるからなっ!!行くぞ麗沢!!」
「ヒュー、先輩かっこいいでござる!!」
後少しだ!!!
・
・
・
一方その頃、エルメスは・・・
「でりゃあーっ!!」
「はっ!!!」
両者の実力は拮抗していた。
「ふぅ、中々やるじゃないのよ。おばさんの癖にさ!」
「お前こそ、小娘の割にはよく粘る。流石は全国一位の実力と言ったところか?」
エルメスは全力を尽くしているが、僅かにアシュリーの方が余裕がある。
「にしてもあんたら、本当何者よ?ミカミの知り合いって聞いたけどさ、私知らないわよ?」
「ん?あぁ、ミカミの事だ、話さなかったんだろう。かく言う俺たちは今日これまであの男に会うのは二十年振りだからな。ポップスのやつは別ルートでアダムスで世話になってたらしいが・・・
ん、話が逸れたか。オレたちは二十年前ミカミとビーン・ムゥ、そしてグレイシアによるゼロ討伐の際に出会った者たちだ。かつての国境の外側の無法地帯、そこで暮らしていた者たち、それがオレたちだ」
「あー、成る程・・・エイド側の戦士ね、そりゃ知らない訳だ。で、ミカミの奴はゼロ倒した後に、これからは互いにそれぞれ生きましょうとか言ったんでしょ?」
「おぉ、一言一句間違いなく同じ台詞を言っていたな。流石にあの男の事はオレたちよりも良く知ってるな」
「そんなの知らないわよ、逆にあんたらはなんでそこまで知らない男の為にここまで来たのよ?」
エルメスは逆に聞き返した。
「さぁな、オレはハミルに無理矢理付き合わされただけだ。けど、あのバカ息子の人を見る目は確かだ。あいつがミカミを信じると言ったからオレはそのハミルを信じただけだ。だから味噌汁作ってる最中なのに来たんだよ」
「あいつは、この世界を滅ぼそうとしてるのに?」
「あぁ、そうだ。ハミルもそこには疑問を持っていたがこう言っていた『今あるこの世界を壊さないと、見えない場所があるのかもね』ってな。まぁ、この世界は例えゼロがいなくなったとしても、あの男が望んだ平和では無かった。それを変えるために世界を破滅に向かわせた。そう言う理由なら多少理解は行く」
エルメスは攻撃の手を止めた、それに合わせてアシュリーも槍を下ろす。
「今ある世界を変える為?」
「さぁな、あいつが何をしたいのかは正直分からん、聞きたければ直接聞くんだな。ほら、ここはもうオレの負けだ。見ろ」
『キーン・・・四十九階、王室フロアです』
アシュリーが目線を送ると丁度そこにグレイシアと零羅が乗ったエレベーターが到着した。
「あっ!?早っ!!」
「エルメス、まだ戦ってたの?」
「いやいや!!あんたらどんだけ早く倒して来たのよ!!てか、零羅ちゃんってあれ、変な大砲乗っけた車相手にしてたよねっ!?どうやったの!?」
「えっ、と・・・主砲を蹴り飛ばして、何発も蹴りを入れて衝撃で開いたハッチからジュネットさんを引きずり下ろしました・・・」
零羅は軽く流すように話した。
「グレイシアは?ポップスの奴って、そもそも建築家なのは知ってるけど・・・」
「うん、強かったから・・・お陰で下の階がメチャクチャになった」
「はぁ・・・やれやれ、ほんとあんたらのとんでもパワーには呆れるわ」
エルメスは肩を落として首を横に張った。
「いや、とんでもパワーではないぞエルメスよ、これは時代という奴だ。かつてゼロのいた時代の強さはオレたちだった。だが、時代は進み、お前たちと言う新たな時代が決着を早めた。お前たちと言う時代の力はそれ程までに強いのさ。ほら、早く行くが良い。まさかあの二人だけでミカミと戦わせる気か?」
アシュリーは地面に槍を突き刺し、先へ進む道を開いた。
「あんた、中々良い事言うじゃないのよ。この戦いが終わったら一緒にお茶でも行く?」
「いや、オレたちが戦うのは今日この限りだ。オレももう歳だからな。終わればすぐに帰るさ」
「残念ね、結構仲良く出来ると思ったんだけど・・・いいなら仕方ない。みんな!!行くわよっ!!」
エルメスたちはサクラの後を追い、上の階へと走った。
「グレイシア!さっきのアシュリーの話だとこっから上には害獣がわんさかといるらしいわ!!サクラたちが全員倒せるとは思えないから気を付けて!!」
「分かってるから・・・でも、なんだろうこの感覚・・・なんか、静か」
グレイシアは上の階に少し違和感を感じた。
すんすん・・・
「害獣の臭い、確かにしますけど・・・しかも、バケモノの臭いもあります。けど、これ・・・生きてます?」
零羅も異様な感覚を覚えた。3人はそれを確かめるべく先に進む。
「あ、フォックス・・・また散らかしてる」
「わっ、本当!!これミカミ怒ったろーなー。無理矢理片付けた感半端ない」
「フォックスさんって、ずぼらな方なんですか?」
「まぁ、そんなとこだから。けど、あの子の炎の魔法は私たちの魔法とは訳が違うから」
零羅は唾を飲み込んだ、そして上の階に向かった。そこで3人が見た景色は、
「な、何よこれ・・・」
「みんな、気絶してる?」
ここにいる害獣が全て倒されていた。
「いえ、違います!!これ!この方はここに傷がありますけど、こちらの方は何処にも外傷がありません!まるで、その場で寝てしまったみたいです」
零羅は倒れてる害獣を確かめた。
「サクラの奴、何したのよ・・・」
「まさか・・・目醒めた?」
その光景を見たグレイシアが呟いた。
「何を?まさか、覚醒の事?」
「エルメス、レイには魔法以外にもう一つ力があるのは知ってる?」
「え?あの、よくわかんない見えない力?」
こくり・・・グレイシアは頷いた。
「その力はゼロにもあった。彼は全く別のバケモノを自在に操る力、レイはあの力。そしてこれはサクラの力の片鱗かもしれないから」
「若しくは、麗沢さんかもですね」
零羅が更なる意見を言う。
「どちらにしたって、あの二人の力で道は開かれてる。考えるのは後にして、私たちは後を追いましょっ!!」
3人は桜蘭たちの後を追いかけた。




