リメイク第二章 START BY STATION
THE END OF THE ANOTHER WORLD
高速試験車両の車内、俺たちは零羅から中央決戦について話を聞いていた。
「さてと、まず最初に皆さんに聞いておきたい事があります・・・三上さん、倒したいですか?」
「当たり前ッスよ」
「無論でござる」
「ぶちのめさなきゃ気が済まないわよ」
「私も」
「私もだから」
満場一致だ。
「そうですよね。なら、これを聞いて下さい。三上さんが渡したカセットテープです。ここに中央での決着の付け方が入ってますので」
零羅は一つのカセットテープを取り出し、車内にあったラジカセで再生した。
『やっ、残すは中央のリーダーだけになったね、まずはおめでとう。さてと、時間がないから中央決着までの流れを説明するよ。
まず第一に中央のリーダーを倒せば世界の危機は回避される、それは約束するよ。けど、それじゃ君たちは納得出来ないよね、だから特別ルール。
中央のリーダーは元々のリーダーフォックスと僕の二人で行く。そして勝利条件はフォックスの方は装置の破壊で良いよ。けど、僕との戦いは僕を完全に殺す事、それで良いよね?
で、次は中央到着後のまぁ、所謂ラストダンジョンについてだ。僕とフォックスは新アダムスビルの一番上にいる。けど、その手前には千を超える兵士たちが待ち構えてる。それを掻い潜っておいで。そしてビルにも少しお楽しみを用意しておいた。じゃ、ラスボス戦、楽しみにしてるよ』
「・・・と言う事でしたが、理解出来ました?」
「レイが相変わらず説明下手なのはよく分かったから」
うん、あいつの説明は確かに下手くそだ。一方的だし、けど肝心な事は言わないし。
「にしてもどうすんのよ、千人規模の部隊でしょ?無理に決まってるじゃない。あいつ本当に勝たせる気あんの?そんなの相手してたら、時間切れになっちゃうわよ」
エルメスが頬杖をつきながらブツブツ言う。
「うーん、それって多分俺たちの戦力分散狙いなんじゃないッスかね。ほら、あくまで三上の目的は俺たちの覚醒も含めるじゃん。三上の元には少なくとも俺たち3人・・・いや、俺と麗沢が到達するように計算したんじゃないッスか?」
「なるほどねぇ・・・よし!!決めたわっ!!」
突然シィズさんが決心したように立ち上がった。
「千人の兵士の相手は、私が引き受けるわ」
「はいっ!?」
「ほっ!?」
何を言うのかと思ったら、シィズさんはその千人を一人で相手にするとか言い出した。
「ちょちょ!!シィズさん!?いくらなんでも無理ッスよ!!」
「大丈夫よ、ちょっとした奥の手持ってるから、それはみんなにも秘密だけどね。この奥の手はミカミ国王相手するより断然使える手段よ。それに、国王が戦力の分散を狙ってるのなら、私たちはそれにも抗うわよ。だって私たちは、反逆者たちだからね」
この自信に満ちてる表情は、自爆するとかそう言うのじゃないよな。本当に勝てる手段があるって顔だ。
「なら、信じるッスよ」
「で、次の問題はお楽しみってやつよ。三上の奴、何を企んでるのかしらね」
「まー、あいつの事だから俺たちを更に分散させる罠だと思うッスけど、こればっかりは行ってみなきゃな」
またあいつの掌の上って考えると腹立つから、今はとりあえず進むことだけ考えた方がいいか。
「それなー・・・とりあえず作戦会議は終わりにしよ。少ししか無いけど仮眠とって備えるとしますか」
作業員の人たちは俺たちに横になれる多目的スペースを貸してくれた。これなら少しだけでもゆっくり体力回復できそうだ。
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ふと目が覚める。部屋から出てみると作業員の人は計測機器と睨めっこだ。
「速度、時速三百六十!!」
今はこの試験の最高速度の実験をしてる最中か。360、すんごい速さだな・・・これは流石に体験した事が無いや。
そんでもって、今この実験をやってるって事は、後もう少しで中央に着くと言う事だ。次第にこの試験車両はスピードを緩め始めた。
「よく寝れたか?」
そして作業員さんの一人が俺に話しかけた。
「まぁ、これくらい寝られればなんとかなるッスよ」
「そりゃありがたいな。今日はこの世界で最も早い速度を体験出来たんだ。そして、いつの日かこの速度が日常へと変わる。時速三百六十キロが毎日何本も走るんだ。そのいつの日かが来るかどうかはあんたらにかかってる。その日を必ず迎えさせてくれよ?全ては、平和の為にだ。さぁ、準備しな。もうすぐドアが開く」
ホームにゆっくりと試験車両は進入する。そして、完全に停止するとそのドアが開いた。時刻は4時前だ・・・あと、5時間とちょっと。
「な、何よコレ・・・」
ホームに降りてエルメスが放った言葉はそれだった。
「誰も、いない?」
ホームには・・・いや、外もだ。どこにも、誰もいない。
「なら、一気にビルまで駆け抜けるしかないから」
「ッスね!!」
俺たちはこの世界の城と呼ばれるアダムスビルへと走った。
外を走っても誰もいない。街灯は付いてるし、ネオンの輝きもいっぱいだ、街頭テレビも稼働してるが、砂嵐、路面電車も道の真ん中で止まってる。まるで、急に人がここから消えたみたいだ。
「待って!!」
エルメスが呼び止めた。
「門が閉じてる・・・」
目の前には巨大な鋼鉄の門が閉じていた。そしてその奥には遥か上空にそびえる巨大なビルが見える。
「ここは一応国家の中枢、有事の際はこうやって門を閉じる事が出来るけど・・・ここを閉じた事なんてこれまでにないわよ?」
「門が閉まってるのなら・・・どっかから侵入するしかないって事ッスか?」
「あいつの事だからルートを絞ってるのかも」
『キンコーン・・・』
その直後、このシーンとした街にドアのチャイムが鳴り響いた。犯人は・・・まぁ、分かってたよ。グレイシアさんだ。
グレイシアさんはこの門の横にあるベルを鳴らしていた。てかそれ、そんな音鳴るの?
「何してんのよあんた・・・」
「閉まってるのなら、開けてもらえば良いから・・・ほら、開いた」
グレイシアさんが指差すと、ゴゴゴゴって音を立てながら巨大な門が開く。
「うっそ・・・コレで正解なの?」
けど、門はちょっとだけ開いて止まってしまった。そして、門の奥から一人の男が出てきた。
なんだこいつ・・・こいつがまさか、フォックスなのか?けど、そんな強そうじゃないぞ?腹は出てるし、顔も麗沢より丸いし、足短いし。
「やっ、グレイシアちゃん元気してたー?おっひさーだねー」
むかっ、なんだこの喋り方・・・グレイシアさんの知り合いなのか?
「えっと・・・誰だっけ?」
「うひょっ!?ぼくの事忘れちゃった!?ぼくだよぉ〜、昔、エイドでコロシアムやってたじゃんかー」
「あー、二十年前の・・・」
「そうっ!君たちが聞いてるお楽しみがこのぼくちんだよー、千人の部隊に加え、このビルの中で待ち受けているのは?そう!これは言うなれば!!国王親衛隊!!四天王参上だよーん!!あ、えっとこれこれ、ポチっと」
『ボォォォンッ!!』
目の前に急に煙幕が・・・そしていつのまにかあのチビデブの横に3人の影がいる。
「およよっ!!!だからジュネットちゃん!!決めポーズはそんなんじゃないってば!!って、煙が!!うぇふぉっ!!!」
「五月蝿いな・・・来てやっただけ有り難く思え、こっちは新しい鉱脈見つけて忙しいんだ。てか、なんなんだコレは、ミカミの話だと世界滅亡がうんたらなんだろうが。それがこんなんで良いのか?」
「済まないなジュネット、うちのバカ息子はどうにも形にこだわる性格でな・・・ポップスも、このバカ息子に付き合ってもらって済まない」
「俺は良いですよ、こう言うのは案外嫌いじゃないですから、特撮は好きです」
会話が聞こえるが、中々煙が晴れない・・・
「はいはい!!良いからみんなポーズに集中するんだよー!次!背景の爆発いくよー!!えっと・・・どのボタンだ?およ、これだ!!ポチッと!!」
『ドカーンッ!!』
後ろでカラフルな爆薬が爆発した。
「あー、懐かしー面々だから・・・」
現れたのは、炭鉱夫みたいな人と、ジャングルの迷彩を着た男。そして槍持った五十代くらいの主婦。で、さっきのチビデブ。それぞれなんか、ポーズをとってる。
「うん!!決まったねっ!!」
「は、恥ずかしい・・・五十にもなってこれは、流石にキツい・・・」
けど、チビデブ以外は顔真っ赤だ。
「ふふ、グレイシア。懐かしの面々との再会、楽しんでくれた?」
三上の声!?何処から!?あ、あれはっ!!
「屋上かっ!!」
「流石の視力だね桜蘭君。これが僕からのお楽しみさ、あの冒険で出会ったこの人たちを急遽呼び寄せたんだ。そして、これが意味している事、何か分かるね?」
予想通りってか、狙いは戦力の分散・・・
「僕の元へ来る事が出来るのは一人だけ、最終決戦はやはり一対一に限るでしょ?けど、君たちがこの人たちに素早く勝てる事があれば追いかけても良いよ・・・じゃぁ、最終決戦、開始だ」
あれ?あの4人は何処に消えた?
『ズゴゴゴゴ・・・・』
そして今度は門が完全に開く、そして中から数えきれない程の兵士達が出てきた。
「さぁ、まずはこの千人の兵士たちをどうやって潜り抜ける?」
・・・・・
「よし、みんな。準備はいいわね?」
「はいッス」
「御意」
「了解です」
「出来てるわ」
「出来てるから」
「やっと私の番が回ってきたわ。よしっ!!!突撃じゃっ!!!」
まずは俺が前方に電撃を放つ。兵士たちは急いで避けたが、その直後に零羅の強烈ストレートが道を切り開いた。
「今だっ!!!ビルに突っ込め!!」
俺たちは全速力でビル内部へと突入した。
「くっ!!逃すなっ!!!っ!?」
「残念、ここは私が相手よ」
そしてシィズさんはビルの目の前に立ち塞がった。
「みんな行って!!」
「はい!!任せたッス!!!」
俺たちはビルの上を目指す。
アダムスビルの目の前、シィズは千人もの兵士と相対していた。
「シィズ!!たった一人でこの数を相手にする気か!?」
「えぇ勿論。それより君たちこそ、三上君に頭の上がらない腰抜けが、私に勝てると思ってるの?」
シィズは余裕を見せる。
「こ、腰抜けだと!?」
「腰抜けよ。ほら、腰に力が入ってない。三上君曰くもうすぐこの世界が滅亡するのに、君たちはその三上君を止められない。だからその恐怖で腰は引けてる・・・」
「だ、黙れっ!!我ら中央王国軍は各地より選ばれたエリートだ!!救急隊かぶれのお前とは違う!!」
「へー、エリートね。なら、それ相応の力を見せて貰わなくちゃ・・・けど、本当に私に勝てる?最後に一個だけ忠告しておくわ。この私を倒したいなら、今の三上君を10人連れて来なさい」
「・・・な、何を言っているんだ?シィズ?」
「そのままの意味よ。さ、私にも時間はないし、この際だから教えてあげるわ。私ってさ、本当は・・・とーっても強いのよ?」
「・・・へ、減らず口がっ!!陛下から許可は得ている!!この不逞な輩を殺せっ!!!」
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「・・・ふぅ、流石に1000人は時間かかるわね・・・けど、なんとかなったか・・・後は頑張ってね、桜蘭君。信じてるから。私はこれから少し用事があるの、だから追いかけられないわ。ごめんね」
シィズの足元には兵士の山が築かれていた。




