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Re: 平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ! 第二章  作者: 冠 三湯切
第二章 第三幕 The Turning point (ゲーム後半戦)
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リメイク第二章 それぞれが秘める信念とは平和を願うそれぞれの意思

 ・・・・・・


 「サクラーーっ!!」


 エルメスだ・・・目、覚めたんだな。


 「はぁ、はぁ・・・サクラ、無事だったのね。グレイシアが何とか橋を繋げてくれたけど・・・サクラ?どうしたの?」


 「やっと・・・乗り換えられたのに・・・」


 「・・・サクラ、ミカミは・・・どうしたの?」


 言え、俺の口よ開け・・・俺は間近で見てたんだ。伝える義務がある。伝えろ、この事を・・・






 「零羅が・・・三上と一緒に落ちた・・・」






 「・・・・・探さないと、ダメじゃない」


 ぐいっ!!


 エルメスは走り出した。けど、グレイシアさんがそれを止めた。


 「何するのよっ!!この下!!霧で見えないだけで、もしかしたらそんなに高くないかも!?」


 「ここ、一番高いところだから・・・」


 「・・・・・っっっ!!!!!なんでよっ!!!何でこうなるのよっ!!!!」


 「俺が・・・覚醒出来なかったせいだ・・・俺が、覚醒に至ってれば・・・こんな・・・」


 何でだ・・・覚醒の条件ってこれくらいの怒りじゃないのかよ。どうしようもないくらいムカつくのに、何で俺は覚醒出来ないんだよっ!!そのせいで俺は・・・


 「違う・・・私が、あんなとこで気絶するからだ。私の!!」

 「やめて、エルメス・・・サクラも。これは、誰のせいでもない。レイラが自分で決めた覚悟。それを蔑ろにするのはダメだから」


 グレイシアさんはエルメスの口を塞いだ。


 「もう、私たちに出来ることはもう何もないのかしら・・・ミカミはいなくなった。これって、私たちの悲願が達成されたのよね」


 シィズさんが下を眺めながら呟いた。


 「いや、まだ終われない・・・三上の命令はまだ生きてるッス・・・まだこの国の核の脅威がなくなったわけじゃない。俺たちはまだ進まなきゃ・・・」


 「・・・くっ!!!ミカミ!!こんな時くらい泣かせなさいよ!!なのにお前は!!私からその時間すら奪うのっ!?許さないっ!!必ず!!殺してやるわっ!!」


 エルメスの言いたい事は分かる。何度殺しても晴れないよな、この今の気持ちは・・・


 「零羅、この敵は必ず取る。全て終わらせて、三上の思惑全てをぶち壊してやる・・・だから、行くッスよ」


 「・・・むーっ!!コラ!!レイサワっ!!いつまで伸びてんのよっ!!」


 「おぅっ!?」


 エルメスは麗沢に八つ当たり始めた。麗沢にもちゃんと説明しなきゃな・・・





 そして俺たちはミカミのタクシーを貰い、この地を後にした。


 神和住 零羅、彼女の勇姿は絶対に忘れない・・・


 今日は四月二十五日、午前八時十五分・・・ゲーム終了まで後、四十八時間。


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 俺たちは橋の反対側に辿り着いた。そこには各新聞社とかTV局等のメディアが多数駆けつけていた。


 「ご、ご覧下さい!!やって来たのは勇者たちです!!王の姿はありません!!」


 「えー、国王による取材禁止の命令が取り消された今日、我々は突撃取材を敢行しようと・・・」


 カメラの前のアナウンサーの話を聞く限り、既にここのリーダーが三上だってのは知れ渡ったみたいだ。そしてここからは俺たちへの取材が解禁されるらしい。


 「あの!!こちらのリーダーはミカミ国王だと言われていましたが、いかような結果に!?」


 マイクがグイッと迫ってくる。苦手だなこれ・・・特に今は感情の整理が出来てないのに。


 「・・・三上は、奈落の底に落ちた。この橋の一番高いところから、真っ逆さまに・・・あいつはそれで・・・死んだ」


 俺は言い切った。転落は生存フラグだって?だったら青薔薇も生きてなくちゃダメだろ・・・けど、青薔薇も落ちて、そして二度と俺たちの前には現れなかった。


 「お、王は・・・本当に亡くなられたのですか?」


 「って事は、もうあいつに殺されるかもって思う必要が無いのか?」

 「そ、そうだ!!王はもういない!!勇者万歳!!」


 メディアたちは取材そっちのけで盛り上がり始めてしまった。こうなるくらいに三上による圧政は強かったのか・・・


 そしてここにいるのはメディアだけじゃない。一般市民も多く集まっていた。徐々にこのざわめきは歓声へと変わった。



 「だけどっ!!!!」


 俺は声をありったけ張り上げた。俺が今やれる事は一つ・・・伝える事だ。


 「まだ、この世界の危機が終わったわけじゃないッス。まだ三上の命令は生きてる。残る3ヶ所をクリアしなきゃ真の勝利とは言えないッスね。それに、それが終わってからが本当の闘いッス。三上の脅威は逆にこの世界の犯罪を少なくしてたって聞いたッス。けど、あいつがいなくなって、世界がめちゃくちゃになってしまったんじゃ意味が無い・・・


 この戦いの終わった先の平和・・・その命を賭して三上と共に死んでしまった人は、どんな時も平和を愛してる優しい人だった。その彼女の思いをどうか踏み躙らないで欲しい。


 平和を願う意志を繋ぎ、伝える。そしてそれを実現させる。俺たちのこれからの全てが平和の一歩になるんだ。全ては平和の為に・・・この言葉の意味をみんな、もう一度考えてくれ。


 三上が存在した意味を、零羅が死んだ意味を。このゲームは俺たちが戦ったんじゃない。何もしてなくてもこの戦いは、みんなで闘ったんだって」


 メディアはシーンとしながら俺の言葉を聞いてくれた。さて、次はどうしよう・・・そうだ。


 「で、俺たちはまだ先に進みたいんスけど・・・確か、コールド地区に行く特急があるとか・・・ないとか」


 「コ、コールド行き特急だ!!おい!!今すぐ切符用意しろっ!!」

 「いえっさー!!」


 そして俺がこんな風に言ったもんだからメディアの人たちは急いで切符を買いに走り回りだした。


 「次の特急の時間は!?」

 「二十分後の、特急『きたかぜ』十号があります!!」

 「それだ!!四葉を用意しとけっ!!」

 「さーっ!!」


 いい時間のがあるのか、てか、四葉ってなんだ?


 「なんか、あんたの言葉でメディアの雰囲気が変わったわね」


 その様子を見てたエルメスが話しかけて来た。


 「そうだったら嬉しいッスね」


 「自信持ちなさいよ、あんたの言葉はみんなに伝わってる。そしてレイラちゃんの意志も、ちゃんと伝わってる筈だ」


 エルメスは俺の肩を叩いて励ましてくれた。


 「はいっ!!二等車抑えました!!こちらでコールド地区へ向かい下さい!!」


 マネージャー巻きしてるけど、音響担当みたいな雰囲気の人が水色っぽい切符を用意してくれた。


 「なら、行くわよ」


 エルメスは俺の手を引っ張って駅の方へと向かった。


 メディアは俺たちを追いかける事はしないみたいだ。付きまとうのは時間の無駄になるし、俺たちにはストレスだって言ってグレイシアさんが駅で他のメディアに伝えていた。


 「あ、これね、特急『きたかぜ』北ヒミナ行き。どう?」


 「わお、なんかこれまた懐かしい感じの・・・」


 「な、懐かしい!?」


 停まっていた電車は、クリーム色車体。朱色の帯、そしてデッカいボンネット。


 エルメスは俺の感想に少し不服そうに驚いていた。


 「いやだって、俺たちの世界こういうのもう見かけないッスから・・・」


 「これまだ結構新しい方の車両なのに・・・」


 あぁ、そう言う事・・・けど、確かに真新しさは感じる。懐かしいけど、まだピカピカ。なんか違和感あるなぁ・・・


 「さてと、拙者たちの号車は・・・むっ?この料金は・・・成る程、ワンランク上という事でござるな」


 あぁ、俺たちの乗る車両は四葉のクローバーマークが付いてる。四葉ってそう言う事・・・つまり、グリーン車的なやつだ。


 車内はカーペット敷の2列プラス2列の座席って感じだ。そしてふわふわした座り心地。最近のピタってなる感じの低反発じゃないのは懐かしいな。


 俺たちは向かい合わせにして座った。


 「ふぅ・・・後、3ヶ所ッスね」


 「うん、後もう少しだから・・・」


 「・・・グレイシアさん、そろそろ知ってる事教えてくれても良いんじゃないッスか?もう三上はいない、グレイシアさんの目的も達成されちゃったんス」


 グレイシアさんはまだ真っ直ぐ前を見てる。愛した人が死んだ。なのにその事よりも使命感が優先されてる感じがする。一体何がグレイシアさんを動かしてるんだろ。


 「まだ分からない・・・私の中のレイは本当に死んだの?レイがアレになった原因がまだ分からない。私は進んで見つける」


 答えになっていない・・・けど、グレイシアさんから分かるのはこの進んだ先に三上のやろうとしていた真意がある。それに向かって進んでるって事だ。


 『プルル!』


 その時無線から連絡が来た、ジョシュさんだ。


 「グレイシアさん・・・なら、俺も一緒に探すッスよ。あいつのやろうとしていた真の意味を・・・ちょっと失礼」


 俺は電車のデッキに出た。


 『サクラ、ニュース見たぞ?お前、本当にミカミを倒したのか?』


 「はいッス。ただ、その代わりに犠牲者を出す結果になっちまったッス」


 『そうか、レイラちゃんは良い子だったからな。お悔やみを・・・それはそうとだ。まだ、旅は続けるんだろ?』


 「あぁ」


 『なら、次のリーダーの情報だ。ナターシャ アメジストセージ、場所はその電車の終着駅、北ヒミナ駅だ』


 ナターシャ、コールド地区の予測はドンピシャだ。


 「エルメスの予測した通りッスね。武器は何か分かるッスか?」


 『武器か・・・なんてったって、最新武器の扱う会社の代表だ。予測が難しいが、鉄砲系統だって考えられるな』


 「鉄砲ね・・・ありがとッス」


 『あ、ついでに言うとだな。更に次のファーヘスト地区のリーダーは多分。ディエゴだ、今朝ファーヘスト方面へと向かったって連絡があったんだ』


 これも予測通り・・・


 「なら、中央は誰がやるんスか?三上はいないんスよ?」


 『うーん・・・流石に知り合いに聞いてもディエゴ以上の存在が思いつかないんだ。もしかしたら、最後の最後は意外としょーもない奴とかの可能性があるかもな』


 「分かったッス。ありがとうジョシュさん、んじゃまた」





 俺は通信を切って席に戻った。そしたら、エルメス以外のみんなが熟睡している。エルメスは変な体勢で寝ているグレイシアさんにブランケットをかけていた。


 「エルメスは寝てないんスか?」


 「私はさっきの戦いで散々寝たから、寝るに寝れないわよ。あんたこそ寝たら?駅着いたらそこはもうリーダーのいるところよ?」


 「ッスね、けどまだなんとなく眠たくないな・・・なぁエルメス、こんな時に変な事言うけど、雑談でもしないッスか?」


 俺は気分的に今は重いことを考えたくなかった。だからエルメスを巻き込ませた。エルメスはなんとなく察してくれたのか合わせてくれた。


 「・・・いいわよ、どんな事話す?あ、このゲームが終わったらとか?」


 「あ、良いッスねそれ。まずは・・・俺たちの世界に帰る方法を探す。んで、いつか俺たちの世界とこの世界が自由に行き来出来るようになってさ、エルメスたちに俺たちの世界を紹介するってのはどうッスか?」


 「ふっ、面白そうだなそれ。けど、その前にこう言うのはどう?まず私たちがこの世界を案内する。この世界も色々綺麗なとことか、楽しいとこもあるんだ、エイド方面とかさ。それで、色々周って、そしたら今度はあんたの番だ。


 私たちにあんたらの世界を紹介してくれ。三上の奴から昔、高速鉄道とか、観光地の写真を見た事があるけど、いつか実物を見てみたいなって思ってな。


 あんたらの世界は国ってのがめちゃくちゃ多いんだろ?んで、話す言葉が違うとも聞いたの。それが不思議でさ、で、それぞれ全然違うような変わった文化があってさ。それ、すごく面白そうだなって思ってね。例えば家の作りとか食文化とかさ・・・」


 三上の奴、エルメスに色々話してたんだな。そんな話をするくらいには中良かったんだな。


 「なら、どの道見つけなきゃな。元の世界に帰る方法をさ、三上は見つけられなくても、俺たちは見つけてみせる。んで、必ず見せてやるッスよ、俺たちの世界を」


 「約束してくれよ?必ず見せてくれ・・・」


 「あぁ、約束するッス」


 「ふふ、なんかこんな話したら、眠くなって来たわね。この座席座り心地のせいかしら?」


 エルメスは大あくびを一回した。それが移ったのかおれもあくびが出た。


 「ふぁぁ、そう言えば電車の音ってさ、なんかリラックス効果があるらしいッスよ?麗沢がなんか言ってた、なんたら揺らぎとか言うやつッス。それもあって眠いんスかね?」


 「へー、レイサワの奴って、ちょくちょくこう言う雑学知ってるのよね」


 「たまーに役立つ程度ッスけどね。さてと、なんか落ち着いて来たし、寝るッスか」


 「そうね、また私の膝使う?今なら許すわよ?」


 エルメスは膝をぺしぺしと叩いてるけど。


 「まぁ遠慮しとくッス、なんか恥ずかしいし」


 「残念ね、じゃ私も普通に寝るわ」 


 エルメスは窓にもたれかかってすぐに寝息を立てて寝た。


 「俺も寝るか・・・」


 滑らかに飛んでいく景色、俺はそれを眺めながら目を少しずつ閉じていった。

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