リメイク第二章 闇に埋れし真相はやがて知る真実
頭撃っても死なない、けど完全に死なない不老不死なんてあり得ない。
三上も多分同じだ、だから木っ端微塵になるやり方をやろうとしてる。木っ端微塵・・・睡蓮を殺すにはそれしかないのか?
「サクラ・・・スイレンを、バケモノを殺す方法は一つだけあるから」
グレイシアさんが口を開いた。なんか、まるであまり言いたくなかった感じがする。
「どうやるんスか?」
どんな理由があって言いたく無かったのかは聞かない。何となく分かる、恐らく三上を殺せる方法も同じなんだろうな。グレイシアさんは澄まし顔に見えるけど、ずっと葛藤してるらしい。
「・・・バケモノの親には特徴がある。それは二つの核を持つ事、その二つがある限りバケモノは死なず、何度でも復活を繰り返すから。
脳と心臓部、そこにある二つの核を破壊する事が出来れば、バケモノは完全に生き絶える」
答えを聞いた瞬間、俺は動いていた。今度こそ終わらせる為に。
「なぁ睡蓮、俺、あんたの事を親友になれるかもって思ってた。俺、友達が少なくてさ、麗沢ぐらいしかいないんだよ。それに、この世界に来て他のみんなが魔法の扱いが上手くなるのに、俺たちは同じくらいだった。あん時から勝手にだけど、睡蓮とならこの世界でも何とかやれるかもって思ったんだ。
他にも色々あったよな。みんな、とんでも能力を見せ付けてくるけどそんな中でも睡蓮、お前だけは俺と同じ目線に立っててくれた。だから一緒に解決出来た事も多かった」
俺は剣を振りながら聞こえるはずもない睡蓮に語りかけた。
そして睡蓮の動きがもっと遅くなって来た。同時に回復の速度も遅くなる。
グレイシアさんのアドバイス、やるなら一回の攻撃で心臓と脳を攻撃する。その為には睡蓮よりも俺が速くなくちゃいけない。
「けど、そんなお前は俺が勝手に妄想してた理想の存在なだけだったんだよな。シャルロットと戦った時も、俺と一緒の連携もただの茶番だった訳だ」
睡蓮から感じる感情は一つ・・・恐怖だ。ただ目の前の自身を殺す者を恐れてる・・・何も聴こえていないんだ。ただ目の前に迫る死を恐れてそれから逃げる為にもがいてる。
見てられない、本来の睡蓮なら真っ直ぐ俺を見てくれてただろ?そして俺には思い付かない発想が出来ただろ?それが出来ないって苦しいだろ?
だから終わらせるよ、俺がお前を救ってみせるから。だから安心して死んでくれ・・・
『ザグッ!!!』
俺は隙を見つけて一気に突進し、睡蓮の心臓に剣を突き刺した。
『グッアッ!!』
そして俺は剣から銃を取り外した。睡蓮は俺のいた場所に攻撃を放つ。けどそこに俺はもういない、風の魔法を放って大きく上に飛び上がった。
「今度はもう逃がさない・・・」
俺は睡蓮の頭の上に乗り、魔法をチャージし始めた。
『ぐっ!!うおおおぁぁぁあっ!!』
睡蓮は心臓に刺さってる剣になんて目もくれず、眼前の脅威に向かった。それが、お前の敗因だ・・・
「もう遅い・・・さよなら、睡蓮」
『ダァァァァァンッッ!!!』
俺は真下へ電撃を放った、電撃は頭の上から身体を貫通し、地面に達した。
睡蓮の動きは止まった。そしてゆっくりと地面に向かって倒れていく。
「今まで、ありがとな・・・」
俺は睡蓮にお礼を言う。けど、まだ終わってない。もう一つ問題が残ってる。
「やはり、殺しがいのあるのは・・・あなただったみたいですね、桜蘭さん」
零羅だ、睡蓮を殺した今、零羅のターゲットは俺へと移った。
「殺したいって言ってたのに、随分と大人しく見てたッスね」
「一つまなんだのです、観るのもひとつのたのしみだと・・・それをこのグレイシアさんと戦いながら観させてもらいました。じつにゆういぎなじかんでしたよ」
「一回気絶させたのが効いたんスかね、前より話が分かるじゃないッスか」
今の零羅は比較的大人しいな。前の時みたいなおどろおどろしい感じはしない。睡蓮の言ってた悪癖、零羅は頑張って抑えようとしてるんだ。
ん?悪癖?癖?なんか今の零羅のこれは癖と言うより・・・
「そうですかね・・・なら、わたしもだいぶ人間っぽくなれましたか?」
「・・・お前、誰だ?」
俺は思わずこんな質問を零羅にしていた。
違う、これはまるで別の誰かと話してる気がする・・・こいつは俺の知ってる零羅じゃない。
「・・・わたしは零羅、それ以上でも以下でもないですよ。共に生き、共に歩んで来た存在・・・そして、成長した。これが本当のわたしです」
二重人格・・・まさか、零羅はこの世界に来て、成長して来た事であの破壊衝動に人格が芽生えて来たって言うのか?
どうする・・・このままじゃ、俺の知ってる零羅は完全にいなくなってしまう。
「ん?」
俺はふとある事に気がついた。俺の身体、服の中だ・・・なんか違和感ある、手紙?
俺の服の内ポケットにいつのまにか手紙が入っていた。これは、シャルロットから?
「どうされました?桜蘭さん、睡蓮さんを殺したあなたと、戦ってみたいのですが」
「零羅、残念ッスけど今日はもう終わらせないと。今必要なのはあんたじゃない、いつもの零羅ッス・・・グレイシアさん!!ちょっと伏せて!!」
俺は零羅に向かってある物を投げた。睡眠ガスグレネード、シャルロットお手製の爆弾だ、なんか服の中に入ってた。
パシッ・・・
零羅はそれをキャッチしてしまった。あれ?やべ・・・
「なんですか?これ・・・おや?」
「あぁっ!?」
ぶっしゃぁぁぁぁっ!!
その爆弾を持ったまま俺の方へ来た零羅は、手元でそのままガスが撒かれた。そして俺と零羅は思いっきり睡眠ガスに巻き込まれた。
やば、意識が・・・俺と、多分零羅も一緒になってぶっ倒れた。
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「んっ・・・ん?零羅?」
「あ、桜蘭さん、気が付かれましたか・・・」
この感じいつもの零羅だ。良かった・・・俺はどうやら公園のベンチの上で寝ていたらしい。身体を起こすとみんな来ていた。
「事情は私が説明しておいたから・・・」
グレイシアさんがみんなに伝えてくれたのか。あの時呆然としてたエルメスも、今は落ち着いてるみたい。
「にしても、スイレンがタナエ村を壊滅させて本人だったなんて・・・そして、連続殺人鬼。何度聞いてもやっぱり頭で整理しきれないわ、なんでこうなっちゃったのよ・・・けど、サクラがケリ付けたのよね」
けど、まだモヤモヤはしてるらしい。
「それより、睡蓮は何処に?あいつの遺体は・・・」
「消えたよ」
俺の質問に即答したのはグレイシアさんだ。
「はい?消えたって、どう言う事ッスか?」
「文字通り、この世界からアマガミ スイレンと言う存在そのものが消え去ったって事だから。君が聞きたかった事、そろそろ教えておかなきゃね。もうそろそろ時間がないから」
「グレイシアあんた、やっぱりなにか隠してたのね・・・言いなさいよ。あんた実はミカミの本当の狙いも分かってるんでしょ?」
エルメスがグレイシアさんを睨んだ。
「私が知ってるのはバケモノになる条件と、覚醒の為の条件だけ・・・レイの真の狙いは知らされてないから」
グレイシアさんの今の言い方、裏があると認めたようなもんだ。けど、何がどんな理由があってもあんな処刑やこんなゲームをやって良い訳ない。
「なら、覚醒の条件ってなんなんスか?」
「その答えの前に答えるべ事、まずバケモノになる条件を聞いて。スイレンがなったあのバケモノ、通称は親って呼んでる。あれは異世界からこの世界にやって来た人間の成れの果て。初めは全ての魔法を扱えるようになって、凄まじい回復、そして五感のどれかの感覚が発達する。けど、それが扱えるのは一カ月だけだから。一カ月過ぎてしまうと、その人はあのバケモノへと変貌するから」
一カ月で俺たちは睡蓮と同じ末路を辿る、グレイシアが言ったのはそう言う事だ。
「グレイシアッ!!なんで、なんでそんな事を今まで黙ってたのっ!?そんなの、そんなのって!!!」
エルメスはグレイシアさんの胸ぐらを掴んだ。
「酷いかもしれないけど、これは現実だから・・・それに、言ったところで不安を煽るだけ。バケモノは不安みたいな恐怖心が強いとより早くバケモノになるから」
エルメスは歯軋りしながらも、手を離した。
「一カ月、おおよそゲーム終了時期と同じでござるか・・・」
「そのようですね。わたくしたちがバケモノになるまで、後一週間もありません・・・ですが、その条件を満たしてもバケモノにならなかった存在がいます・・・そして、バケモノ以上に強くなった存在。つまり、そう言う事なんですよね?」
流石に察するのが早いな零羅、つまり、バケモノにならない方法があるとすれば一つだ。
「そう、覚醒がバケモノを克服する唯一の手段。覚醒は、完全に意識を保ったままバケモノ以上の力を得る。そして、その力はほぼ不老不死に近いから。レイが今もあの姿なのは覚醒の影響」
「けど、その三上も完全に不老不死って訳じゃないんスよね。バケモノと覚醒は似て非なる存在ってんなら、覚醒って多分、バケモノの力を意識を保ったまま使う事、だからバケモノの弱点はそのまま三上にも通用する。違うッスか?」
俺は睡蓮との戦いで思った予測を口にした。
「正解・・・レイも完全不老不死なんかじゃない。殺すには睡蓮と同じ、脳と心臓を破壊すれば、レイを殺せるから」
「それが、あいつの弱点・・・なの?」
こくり・・・エルメスの問いにグレイシアさんは頷いた。
「バケモノの条件はこんな感じだね。なら、覚醒の条件はサクラ、分かる?」
「え、いや・・・全然・・・わかんない。けど、睡蓮の真逆に向かうって考えたら、あの時の睡蓮の逆、恐怖心の逆?」
「いい線行ってるから・・・バケモノになるのは恐怖心に呑まれる事。そして恐怖に捕らわれたらもう逃げられない。なら、どうするか・・・抗うだけ。自分を奮い立たせて、異常な精神状態になるくらいになれば、覚醒に繋がる」
異常な精神状態に・・・自分を奮い立たせたのは、睡蓮と戦った時から今も続いてる。
「・・・グレイシアさん、なんかコツとか言ってなかったッスか?」
「コツ・・・あ、レイは確かビーンが殺されてブチ切れた時、覚醒したって。つまり、ブチ切れる事が覚醒の条件かも」
ブチ切れ・・・今まで何回かプッツンする事はあったけど、それじゃ足りないのか。
「成る程、つまり超サ○ヤ人って訳でござるな!俺は怒ったぞー!!的な感じでござるな?」
・・・麗沢は今のこの状況でも明るいなおい。
「その例えとても分かりやすいです麗沢さん!!つまり、あの感じですね!!フ○ーザさんにクリ○ンさんを殺されてしまったあの感覚を思い浮かべれば!!もしくはセ○さんに頭を踏み潰されてしまった人造人間さんの言葉を聞いた悟○さんの怒りの感じを!」
零羅、切り替え早いな・・・もう麗沢に合わせてるよ、と言うか中々コアなとこまで知ってんな。俺高校になるまでセ○編途中で止まってたのに・・・
「あ、それより零羅?あの暴走の時の記憶ってちゃんと残ってるッスか?」
「っ・・・は、はい・・・そう言えばまだ謝ってませんでした。本当、すみません!!頑張っているのですが、止められず・・・」
「いや怒ってはいないッスよ?ただ、あれって覚えてるもんなのかな?って」
あの時の零羅は少し違った、特に一度気を失わせた後だ。雰囲気、言葉づかい、全然違って感じたんだ。
「はい、覚えてます・・・グレイシアさんと戦ってて、その時上手く桜蘭さんがわたくしの隙を突いて・・・あれ?気を失ったのってその時でしたっけ?桜蘭さん、何かわたくしに投げませんでした?それで意識を失った気も・・・」
記憶がごちゃごちゃしてるのか?俺はチラッとグレイシアさんを見た。そして首を横に振った。そうだよな、ただでさえヤバい状況だ。更に不安にさせる様な事を今言うわけにはいかない。
覚醒に至れば変わるかもしれないし、今は黙っておこう。
「あれは、シャルロットがいつのまにか俺の服に手紙と一緒に忍ばせてたみたいなんスよ。睡眠ガスグレネードッス」
俺は手紙とグレネードの一部を取り出した。
「シャルロットの?なんて書いてあるのよ、てか、そんな爆弾仕込まれてたの今まで気が付かなかったの?とんだ鈍感ね」
鈍感ですいませんね。それより手紙の中身を読もう、俺も読んでないから気になってる。
『平和を願いし者たちへ』
あれ、意外と洒落て・・・
『やほー!!シャルロットちゃんだよっ⭐︎まずはここまでおめでとー!!よく頑張りましたー♡
追伸、この書き出し見て洒落てるかもとか思った君・・・駄目だこりゃƪ(˘⌣˘)ʃ」
いらっ・・・なんだこれ、
「サクラ・・・ちょっといい?」
「何スか?エルメス」
「シャルロット、今度ぶっ飛ばしていいかしら?」
「奇遇ッスね、俺も一発拳骨やってやりたいと思った所ッス」
こんな所でエルメスと意気投合した。にしてもなんなんだ?この文章、やけに長そうに見えたけど書いてあるのこれだけだぞ、あと全部余白。
「ったく、あの子はもう。イタズラ好きと言うかなんと言うかなんだから・・・ほら、そろそろ行かないね。こんなとこで喋ってる時間は無いんでしょ?」
エルメスはさっさと行ってしまった。俺はもう一度チラッと手紙を見た。ん?余白の部分・・・なんか、うっすらとある。
『この先は、サクラ、一人で読んで。 誰もいない、広い所で』
これは、上の文章はフェイク?この手紙って俺にだけに渡したってのか?何で?どうしてだ?




