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Re: 平和を願いし者たちよ、この世界で闘う者たちよ! 第二章  作者: 冠 三湯切
第二章 第三幕 The Turning point (ゲーム後半戦)
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リメイク第二章 友を救うは委ねた者の殺意

 エルメスは避けられなかった。けど、ナイフが突き刺さる事は無かった。


 「させないから、スイレン」


 「グレイシア・・・」


 グレイシアさんだ。彼女は人差し指と中指の間に挟むようにエルメスの前でナイフを受け止めていた。


 「な、なに?なんなのよこれ・・・」


 エルメスはまだ動けない。さっきの俺だ、突然の事すぎて理解が追いつかない。


 「見ての通り、スイレンは私たちを殺そうとしてた。ただそれだけだから」


 グレイシアさん、今の言い方やっぱり最初から・・・


 「グレイシア、いつから気がついていた?」


 睡蓮も同じ事思ったらしい。


 「タナエ村で、あなたを見た時から」


 「っ・・・最初から知っていたのか、知っていて何故泳がせた?」


 「実際に見てはいなかったから。それに、君の力は必要だった、みんなを強くする為にも、君自身の為にも」


 「三上の為にってか?分からないな、やっぱあんたは。あの男1人の為に住人たちを犠牲にさせたって言うのか?」


 「そう。私はレイの為になら、彼を殺す為なら、殺人鬼をここにのさばらせる事は厭わない」


 グレイシアさんの目つき・・・何だこれ、何物にも形容出来ない・・・正直不気味だ。


 「成る程な、単純明解で分かりやすいか・・・」


 「単純?少し違うスイレン。この世界は君が思うよりも複雑だから・・・」


 今のグレイシアさんの言葉・・・何となくは感じてたけど、やはりこのゲームの裏を知ってる?そして、三上のやろうとしてる本当の意味を・・・


 「複雑ね・・・確かに全てに理由を付けるのなら、俺たちの出会い、三上の存在、そしてあんたら。全てが一つに繋がってるのなら確かに、複雑だな・・・」


 「ん・・・」


 その時零羅が目を覚ました。しまったな、やはり俺の攻撃力の無さは改善されてない。完全に気を失わせられて無かった。まだ、血が少し流れてる・・・


 「スイレン、エルメスは放っておいても私が来てる。君に勝ち目はもう無いから。レイを倒すには君の力は必要、だから今は協力して。けど、二度と人を殺してはいけないから」


 「グレイシア・・・俺はな、一度言った言葉は曲げたく無いんだ。俺はもう後戻りはしない、俺のこの癖は何物にも変えられない。それがどれだけ悪いことでも、俺はその罪を背負って俺の為に生きる」


 「そう、なら・・・ここで殺さなきゃいけないから」


 あぁ、天上 睡蓮なんて奴は最初から何処にもいなかったんだな・・・俺が見てたあいつは、俺の願望が映し出した虚栄だ。


 もう落ち着いたよな、次はちゃんと引き金を引ける・・・


 「さぁ、行くぞ!!」


 ・


 ・


 ・


 ・


 ・


 は?


 今、何が起きてる?睡蓮は俺たちを殺す為に向かって来た。その殺気を感じ零羅も睡蓮を見ていたのに、その睡蓮は俺たちの遥か手前で急に倒れ込んだ。


 「はぁ・・・はぁ・・・」


 睡蓮は地面に手をついて肩で息をしてる。馬鹿な、そんな風になるまでは追い詰められなかった筈。


 「この反応・・・そう言えばサクラ、スイレンがこの世界に来たのはサクラたちのもう少し前って言ってた?」


 「え?確か、そんな感じだったと思うッスけど?」


 グレイシアさんはじっと真剣な表情で睡蓮を見つめた。


 そして睡蓮はさらに激しく悶えだした。呼吸は乱れて朝の量が半端じゃない。


 今がチャンスだ。だけど、ここが一番危険にも感じる。零羅ですら攻撃の構えを解いて様子を伺っているくらいだ。


 「サクラ、その判断は正しいから、今は近づいてはいけない。スイレンはもう戻れない、始まってしまった。少し離れて」


 俺はさらに距離を取った。


 「零羅」


 「・・・・・壊しがいがないですからね、いいですよ。すこしようすみます。さぁ、どうなるんでしょうね」


 睡蓮の痙攣のような動きは止まった、けどすんごいゆっくりと立ち上がった。


 「あの顔・・・」


 俺が見た表情は最近多かったあの虚な顔、心ここに在らず、そして怯え・・・


 「俺は・・・い、生き・・・て、死なな 死ななな・・・」


 そしてブツブツとぼやくように何か言ってる。けど、呂律が回らなくてまるで赤ん坊のように同じことを繰り返す。


 そして次の瞬間だ。


 『ドガァァァァンッッ!!!』


 何とか後ろに避けて無事だったけど、突然何か巨大なものが振り下ろされた。衝撃波と土煙、俺は睡蓮を見失った。


 「おもしろいですね・・・アレ、そうはおもいませんか桜蘭さん?あんなにおびえちゃって、わたしたちもいつかアレになってしまうのでしょうか・・・」


 零羅が俺に微笑みかけるように話して来た。俺を襲う気は無いのか?いや、この俺を殺す事よりも今の睡蓮を殺してみたいってのが本心か。


 土煙の中で何か巨大なものが蠢く・・・何だアレは?


 「アレはバケモノ。かつて私たちの世界に現れ、世界を恐怖に貶めた存在」


 グレイシアさんが呟く。そして土煙の中から睡蓮だった何かが現れた。


 『グルルルゥォォ・・・』


 何だこれ、人間じゃ無い・・・これが本当に睡蓮なのか?身体は鱗のような皮膚に覆われて、大きな尻尾、巨大な翼のようなもの、こんなのもう人間じゃない。()()()だ。


 「来るっ!!」


 睡蓮はその巨大な手を振り上げ、一気に振り下ろした。


 さっきの攻撃とは桁違いだ、俺のいた場所周辺が衝撃で消し飛んだ。


 「凄い威力ッスね・・・」


 「うん、バケモノは凄い強いから・・・エルメス、あなたは下がってて。そしてシィズとレイサワ呼んできて欲しいから・・・今のエルメスでは戦えない」


 「っ・・・わ、分かったわ」


 エルメスは重たい顔して2人を呼びに走った。


 「さて、サクラ・・・一つ、質問良い?」


 「なんスか?」


 「聞きたい事いっぱいあると思うけど、まだ、戦える?」


 グレイシアさんの言いたい事が理解出来た。


 「俺が殺すって決めたッスから」


 「それで良いよ、その顔なら君に任せれるから」


 グレイシアさんは優しく俺に微笑んだ。そしてまたいつもの澄まし顔に戻る。


 「なら、レイラは私が足止めしておくから。だからサクラはスイレンを殺して。一人の力だけで」


 「あぁ、けど、助言くらいはして欲しいッスね。俺はあのバケモノを知らない。零羅相手にしながら申し訳無いッスけど」


 「分かった」






 「さぁ、行くぞ!!睡蓮ッッ!!」


 俺と睡蓮は同時に攻撃を繰り出した。攻撃は振る、けどあいつの動きを見据えろ。こんな真正面にぶつかったんじゃ俺は勝てない。


 ここだっ!!睡蓮の懐に飛び込み、剣を振り抜いた。俺の渾身の一撃だ。睡蓮の腕は綺麗に切断された。


 『グガァァァァァァッ!!!!』


 「痛そうだな!!けど!この痛みは死んじまった人たちの痛みよりかは小さい筈ッスよ!?」


 睡蓮は苦しそうにもがいている。けど、その腕はすぐに治り始めた。


 「サクラ、腕を落とした程度ではダメ。今の睡蓮の回復力だけならレイに匹敵するから」


 成る程、回復力が三上な奴を相手してるって考えよう。にしてもあのバケモノは覚醒に近い存在ではあるっぽいな。覚醒の失敗があぁなるのか?


 まぁ今はその事を考えるよりも、どう倒すかだ。生半可な攻撃ではすぐ回復する。なら、一撃でしかも、即死を狙うしか無い。即死を狙える場所と言えば、頭だ・・・


 「うおおおっ!!」


 俺は睡蓮の攻撃を掻い潜る。この巨体だ、動きは読める上に俺の身体能力でも問題ない。けど、生きる事の執着は変わらない。睡蓮の回避に関しては異常なまでに早い、攻撃が当てられない。


 ただ全てが当てられない訳じゃない、急所を狙うと途端に速くなる。なら、手足を攻撃してあいつの機動力を削ぐしかない。


 「くらいやがれ!!って、硬っ!!」


 剣で切ろうと思ったけど、こいつの皮膚めちゃくちゃ硬い・・・まずいな、今この引き金を引きたくない。今のこの銃は魔法をマックスにチャージした状態だ。出来る事なら確実に止めをさせるタイミングで撃ちたい。


 だから今は剣術で睡蓮を止めなきゃ・・・


 「サクラ、魔法は撃つだけじゃない。今の君なら剣に纏わせる事もできるから」


 グレイシアさんのアドバイス、俺は今まで魔法の扱いが下手で武器に魔法を纏うのが出来なかった。けど、言われてみれば・・・今ならやれる気がする・・・


 「分かった、やるッス!!」


 ズバッ!!!


 上手くいった。とは言っても微弱な電気を刀身に流し込めた感じだ、その結果刀身に振動が発生して切れ味を上げることに成功した。高周波ブレード的な感じだ、これは便利かも。低燃費かつ高威力だ。


 『ググゥゥッ!!』


 「痛がってる暇なんて与えないッスよ!!おりゃぁ!!」


 俺は走りまわって次々に切り刻んだ。そして少しずつ動きが鈍くなって来る。


 「うおおおっ!!今度こそ!!終わらせるっ!!」


 そして、今度こそ俺は睡蓮の眉間に銃を撃ち込んだ。


 『バァァァァンッッ!!』


 睡蓮は大きく後ろへと倒れた。


 「ふぅ・・・」


 これで終わったんだ・・・けど、まだ零羅がいる。彼女を何とかしないと。


 「ふふ、桜蘭さん。とてもつよくなられたみたいですね。グレイシアさんとはいいひまつぶしにはなりますが、すこしみいってしまいました。つぎはわたしにもやらせてもらえますか?」


 まだ、動けるよな?俺・・・さぁ、構えろ!!


 「ん?なにをしてるのですか?」


 「決まってるだろ零羅、あんたを止めるんだ」


 「いえ、そうではなくもういいのですか?睡蓮さんは」


 「え?睡蓮は俺が確実に眉間に・・・」


 何を言ってるんだ?零羅の奴・・・俺の渾身の一撃を眉間に撃ったんだ。


 「・・・サクラ、ちゃんと殺した?」


 「グレイシアさんも何を・・・俺は・・・」


 いや、違う・・・睡蓮はこの程度では死なない。俺は心の何処かで逃げた・・・殺したと思うことにしよう、そう考えたんだ。


 まだ、俺の覚悟は足りなかった・・・睡蓮は、バケモノになったあいつは、そして三上も・・・こんな俺の一撃では死ぬことはない。


 まだ、生きている!!


 俺は振り向きざまに剣を振った。寸前まで睡蓮の巨大な爪が迫っていた。


 「どうやらグレイシアさん、零羅の相手まだ続けて貰わなくちゃいけないかもッスね・・・睡蓮、お前どうやったら死ぬんだ?」



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