リメイク第二章 覚悟すべしは己の未来
俺は岩の上に登ってみた、反対側は結構海が荒れてる、この先は遊泳禁止らしいな。
それにしても、ここならだーれにも見られないし、のんびり出来そうだ。たまには1人になりたい時もあるんだよ。
「はーっ・・・このまま全裸にでもなろうかな」
・・・何言ってんだろ、相当疲れてんのかな。
「やりたいなら、すれば?」
「え、いいんス・・・か?って、あれ?誰もいない」
「下」
下?俺は崖の下を眺めた。そこにはおかっぱみたいな頭の女の子が海から顔だけ出してこっちを見てた。
「わ!聞いてたんスかっ!?てか、君!!そこ遊泳禁止ッスよ!?危ないから・・・」
「それは人間の為のルール、我々には関係のない事」
「は?」
「という訳で、よろしく人間」
な、何言ってんだ?この子・・・
「なるほど、そこからじゃ見えないらしい。おまえの疑問の答えはこれだ」
『ザッバァァァン!!!』
その子は水面から勢いよく飛び出した。そして俺はまた度肝を抜かれる、その子の下半身にはイルカのようなヒレがある。
「に、人魚ぉ!?」
「そう、けど私は人魚だが普通の人魚ではないワダツミ、そしてお前も、人間であって普通の人間ではない桜蘭だ」
人魚の子は俺の隣にちょこんと座った。髪どうなってんだ?なんでサラサラ?
「お前はこの世界に存在しなかった、突如現れた不確定な存在」
それにしても、何なの?電波・・・って呼ぶにはかなりさっきから的確な事を。
「お前はこの世界をどうする?守る気?」
「そりゃ、そうッスよ?三上の好きにはさせるもんか」
「そう、それは分かってる。けどそこから君は始まる、零はやがて壱となる。あの男は無を零へと導いた、そしてお前は、零を壱にしなければならない。けど、壱が始まればもう後戻りは出来ない、零へ戻す事は叶わない。壱の先の道は苦悩の連続、それでもお前は、闘い続けるか?」
ちょっと何言ってるのか分からない。
「・・・お前は、まだ闘うか?」
「それは、勿論ッスよ。まぁ、三上を倒してはい終わりにはなるとは思えないッスけど、節目にはなると思う。で、その後の事はまだ何も考えられない。俺は馬鹿だからさ、今はとにかくみんなの平和を願って戦い続けるだけ」
うん、上手く纏まったかな?
「いや下手くそ、けど、それがお前らしい一番の答えだ桜蘭」
「・・・てか何で君は俺の名前知ってるんスか?」
「君ではないワダツミ、さっき言ったぞ。そしてお前の名前は見えたから知ってる。お前は桜の咲く時に生まれ、そして人生の門出の意味を持つサクラランにサクラという呼び名を当てた」
何でそんなとこまで知ってるんだ!?ばっちゃんから聞いた、それが俺の名前の由来・・・
「お前は今、更なる人生の門出をする。この先はお前が決めなければいけない・・・つまり、もう少し頭使って生きろ」
ずってーーんっ!!
めっちゃ意味深な言葉の後に、単純な毒舌吐かないでよ。海に落ちるとこだったよもー。
「がんばりまーす」
「あーっ!姫っ!何してるのですよー!!」
あれ?また何処から声が・・・あ、また海の向こうだ。頭に貝殻の髪飾りを付けてるウェーブした長い髪の、このワダツミよりは年上っぽい人魚の女の子だ。
「あ、姉さん・・・こんなとこまでご機嫌よう」
「ご機嫌良く無いのですよっ!!また一人でこんなとこに!!お父様カンカンなのですよっ!!」
「あらま」
ワダツミは口に手を当てて驚いてる風にしてるけど顔が全くと言って良いほど無表情、グレイシアさん以上に無表情。
「それに!人間に見つかってしまったらどうする・・の、ですよ?」
初めてもう一人の子と目が合った。
「ど、ども・・・」
「ひ、姫?彼は・・・一体なんなの、ですよ?人間?」
「人間、名前は坂上 桜蘭。けど、姉さんの心配する事は起きない」
「どういう事なのですよ? あの、サクラさんでしたっけ?あの〜、お身体は大丈夫なのですよ?」
何故に身体の心配?
「何がッスか?」
「あ、人魚の声を人間が聞くと頭狂って海に落ちて死ぬ」
ふぁっ!?ワダツミなんつー事を平気な顔で言うなぁっ!!
「そうなのですよー!!どうするのですよー!!」
「い、いや俺は別に大丈夫ッスから」
「そ、そうでした!!と言うよりサクラさん?凄く冷静ですねぇ、私たちに驚かないですし、少し尊敬するのですよ」
言われると照れるな・・・と言うより、そこまで驚かないのは前にユニコーンとかに会ったせいかな、人魚もあり得なくも無いって思ってさ。
「あ、それよりも姫っ!!早く帰るのですよっ!!怒られるの私なんですから!全く、勉強を抜け出したと思ったらすぐこれですよ!」
「ここで桜蘭に会うのが、私の運命だった」
「はぁぁぁぁ・・・・・・サクラさん、うちの姫が申し訳ないのですよぉ」
「いや、俺も中々変わった体験出来て良かったッスよ」
何この近所の子供が悪戯して謝ってる感じのやりとり・・・
「うーん、仕方ない。勉強は面倒だが帰るとしよ・・・桜蘭、会えて良かった」
ワダツミは海にダイブした。
「すみません、すみません・・・姫がご迷惑をおかけして。あ、そう言えば自己紹介してなかったのですよ。私は人魚のシレンなのですよ、まぁここで会ったのも何かの縁なのですよ」
「あ、こちらこそ宜しくッス」
「あなたは悪い人間の匂いがしないのですよ、もし海で困った事があったら助けに行きますから、それから海で死んだらちゃんとみんなで骨まで食べて大地に還元させてあげるのですよ」
ひえっ!!この子も結構頭変な子っ!?
「あ、人魚ジョークなのですよー。そんな怖い顔にならなくても良いのですよ。では、お達者でー!!なのですよー!」
何そのアメリカンジョーク見たいなノリ・・・
あ、人魚たちと話してて忘れてたけど、そろそろ時間じゃん、行こっと。
「あ、こらっ!!サクラ!!何処行ってたのよっ!!」
エルメスたちはもう着替え終わって俺を待っててくれたみたいだ。
「いやちょっとそこの岩場に」
「何だ、そこにいたの・・・探して損したわ」
探してくれてたの?
「あっはは〜、すんませんッス・・・てか、あれ?睡蓮は?」
今来てみたら睡蓮がいない。
「それがアイツもまだいないのよ、何やってるのかしらね。後で説教してやろうか」
「すまーん!!昼寝してたら完全に寝てたっ!!」
少し心配してたら睡蓮は慌てて走って来た。
「おっそいわよっ!!」
「だから済まないと言っただろ」
「とても反省してる風には聞こえなかったわよ!」
大分俺への八つ当たりが無くなってきたけど、相変わらず睡蓮への喧嘩腰は変わらないみたい。
「ま、兎も角全員集まったわね!よしっ!!じゃぁ行くわよー!!」
そして俺はチュニアさんの工房に戻った。
「あ、こっちじゃよー」
そして今度は工房の奥へと案内された。
「わ、武器一杯!!にしてもこの槍凄いッスね、装飾がなんかゴージャス・・・名前は、は、『はりゅうちぎり』?なんて読むん?」
「あ、それは破流血斬ね」
この派手な槍についてシィズさんが答えてくれた。当て字?なんかヤンキーみたいな・・・
「それはかつてビーン隊長が使ってたやつのレプリカなんだ。レプリカと言っても、性能は変わらずの所謂兄弟槍みたいなものだ。因みにここの籠手は火威斗、前にワンコが使ってたやつだ」
そしてサムさんが更に詳しく教えてくれた。にしても、ここの武器、みんな派手だなぁ。そう言えばあのセブンスイーグルも結構派手。
「さて、まずサクラ君や、君の武器からじゃ」
チュニアさんが取り出したのはセブンスイーグル、あれ、特段変わった印象は無いなぁ。あ、マガジンが異様に長くなって、グリップの形も少し変わってる・・・
「元々これはあの国王が流血光刃と組み合わせて使うように儂がかすたむしたものじゃ、それをサクラ君の銃一丁で遠
中、近距離に対応出来るように更にかすたむ!名付けて『魔装剣銃セブンスイーグル』!!!」
わぁ!!また凄いネーミングだなこのじいちゃん!!
「・・・で、何が変わったんスか?」
「まずそのまがじん、魔法チャージ用のタンクを倍に増量したのじゃ」
あー、成程。元はガスガンって言ってたから、そのガス入れる部分を増やしたわけね。
「で、その次。これが大きな変更点じゃ、速攻式近接戦闘アタッチメントを取り付けたのじゃ、そのすらいどを一端すらいどすとっぷがかかるまで引いてみ?」
ガシャッ、
俺は銃の上のスライドを目一杯引く。そうすると普通のブローバックするガスガン同様に引いた状態で固定された。
「こいつ見た目は派手じゃが、元はただの玩具に違いは無い。じゃから本物のおーとまちっくのみたいにぶろーばっくなんて機能は要らない、魔法を撃ち出すのに必要なのは正直そのガスタンクのみじゃ、そこでじゃ!!」
ガシャコン、ジャッキィィンッ!!
「け、剣っ!?」
俺の銃は、まさかの剣へと変身した。本物の銃で言うところの・・・あの、薬莢出るとこ。そこにブレードを取り付けるアタッチメント的なやつがあって、チュニアさんはそこに鞘みたいなやつからブレードを取り付けた。だからまるで俺の武器は剣と銃が融合した変わった武器になった。
「それが魔装剣銃の名前の由来じゃ、魔法戦闘即装転換システム剣銃、それがサクラ君専用のセブンスイーグルじゃ、わっははー!中々の出来じゃろ!」
うん、なんかネーミングはやたらかっこいいのは分かった。
「ほぅ!!これは正に『試製拳銃付軍刀』の応用でござるな!!あの使えないと言われたあの武器を実用段階に引き上げるとは!!流石でござる!」
キラキラ! 麗沢は楽しそうに俺の武器を見てる。てか、何?その、しせいなんとなって。
「なに?え?銃と剣の組み合わせってもうあったのぉ?」
チュニアさんもこの組み合わせは誰も思いつかないだろうと思ってたのか、なんか麗沢のあれでショック受けてるっぽい。
「うむ!確か1920年代に、当時の小学生が発案して陸軍が開発してたのでござる。しかし、実銃と剣の組み合わせは重心のバランスが悪いとかで結局頓挫したのでござるよ。しかし、それが魔法となると別なのでござるな。む、成程、エジェクター部にブレードが固定されるのでござるな」
「し、小学生の・・・発案」
麗沢、もう少し空気読んでやりなさいよ、と言うより俺は普通にすげーって思ったんだから、台無しじゃねーか。
「で、これ剣を収めるにはどうするんスか?」
「ん!それはじゃな、この鞘に剣を収めればほら!!簡単に外れるのじゃ、遠距離では銃のまま、近接戦闘になる際には剣を取り付ける。それを切り替えながら戦うのじゃ!」
あ、テンション戻った。けど、これが俺の新しい武器。重いけど相手に近づかれた際の対応がやっと出来る。
「これがサクラ君の武器じゃ。そして次、スイレン君じゃな。お主にはこれじゃ」
「な、ナイフ?」
チュニアさんが睡蓮に渡したのは一本のナイフだ。
「お主、投げナイフ得意じゃろ」
「な、何故それを!?」
「見りゃ分かるわい。そいつの名は睡剥辻撫酢ナイフ、意味は直ぐに分かるじゃろ?」
またなんつー当て字・・・てか意味ってなんだ?スペツナズは、ロシアの特殊部隊かなにかだったよな。詳しく無いけど。
「と言う事は・・・こう言う事か!」
バシュッ!!
「ひっ!!」
睡蓮のナイフの刀身が突然飛んできた。壁にナイフの刃が刺さってる。
「流石じゃのぉ、お主は様々な面で基礎が出来ておる。じゃが、守る為の戦闘は得意でないと見た。じゃからどんな事になっても仲間を守れる力を、お主に授けるのじゃ」
「どんな事になっても・・・仲間を守れる力・・・」
睡蓮はナイフを強く握り締めた。
「そして、お次はレイサワ君じゃな」
チュニアさん、何だかんだプロだ。なんつーか、それぞれの心に響く武器を作ってくれた。だからこそ気になる・・・麗沢の武器は?
「お・・・お?」
麗沢は何故かキッチンでよく使う道具を手にしていた、武器とは程遠い。これは目玉焼きを作ったり炒め物等の料理に多用するアイテム、フライパンだ。
「あの、これは何というか武器でござる?」
「儂が普段からよく使うフライパンじゃが?」
( ゜д゜)
↑みたいな顔に麗沢は今なってる。俺も多分この顔だ、まさかの中古品。
「何を落ち込んでおるんじゃ、このフライパン凄いんじゃぞ?油引かなくても目玉焼きは作れる上、とーっても頑丈な素材じゃ。流血光刃程じゃ無い限り傷も付かんわ。そして何よりそれは魔法を纏うことの出来るフライパンなのじゃ。これさえあればカセットコンロ無しにそれ一つで料理ができるのじゃぞ?」
た、確かにそれを聞けば麗沢らしいっちゃらしいけど・・・
「ふむ・・・打撃武器としてならば、ゲームでもたまにあるでござるからな、フライパン」
「しかも取っ手も取れて収納にも便利じゃ」
ティファ○ルかよ・・・
「何事も全て使い方次第じゃ・・・麗沢君ならばそいつを最も有効な使い方が出来る筈じゃ」
何事も全て使い方次第か・・・確かに使い方によっちゃフライパンだって立派な武器になり得るもんな。その気になれば人間はそこら辺の石ころだけでも人を殺せる。
「む、ならば有り難く頂戴するでござる」
「ほほほ。で、最後にじゃ・・・レイラちゃんはこのゲームで最も重要な役割を果たす役目を持っておる。じゃからこれだけは最も入念に手入れしておいたぞ。
はじめに聞いておくとするかの、お主は儂の最高傑作を受け取る覚悟はあるか?」




