リメイク第二章 最強の力を持つは最恐の仲間
車の中には零羅ちゃんと睡蓮、エルメスが残り、残りの5人で周囲を固めた、俺は車の左ドア付近だ。
「・・・数はおよそ三十、レオナルド率いる部隊か。魔法族はいないな」
助手席近くのサムさんが周囲を観察してる・・・この感じ、気が抜けない・・・緊張するな。
「サクラ・・・」
そう思ってたらグレイシアさんからアドバイスが来た。
「君が思ってる事、向こうも同じだから・・・それにもう大丈夫。君はもう、あの人たちの敵にならないくらいに強いから、自信持って・・・」
心が落ち着いた、確かに言われてみればこいつら、隙だらけだ。そうか、向こうからしたら三上に匹敵する奴らを3人同時に相手してるって感覚だもんな。
確かに今の俺たちはまだあいつの足元にも及ばないかもしれないけど、こいつらに負ける気はしないな!!
「ッスね・・・みんな、行くぞ!!」
俺の掛け声と同時に先手は俺たちが取った。
「喰らいやがれっ!!」
『ズガガガァンッ!!!』
俺は電撃を連射した。これは電撃だ、ガードしたところであの金属の盾は感電するだろ。
「ぎゃぁっ!!」
「ぐえー!」
気持ちいくらいに倒されていく。
「さっすが先輩!!ならば拙者も!!ひょぉ!!?」
麗沢がめちゃくちゃな構えからめちゃくちゃな攻撃を放つ。
「うわっ!!何だこいつ!!全身火だるまだぁっ!!逃げろぉぉ!!」
「ひゃひゃひゃ!!!喰らうがいいでござるー!!いや待て!拙者が熱い!!」
麗沢、多分大丈夫だろう。
「あいつだ!あの女からやれー!!」
「あの女って私の事?舐められたものねっ!!オルァッ!!」
シィズさんは襲ってきた一人の頭を鷲掴みにして持ち上げた。
「私こう見えて結構鍛えてんのよ?救急隊員舐めんじゃないわよっ!!」
「すとぉぉらぁぁいぃぃくぅぅ!!」
そして投げ飛ばされた一人は謎の断末魔を上げて倒れた。
「シィズ、殺すなよ?」
「無論よ、手加減はしてるわ」
「ならいい、では私もそうしよう!」
サムさんは小さな刀のようなナイフのような武器を取り出した。
「この先は誰一人、先には通さない・・・全員この俺の風に阻まれろ!」
サムさんが剣を振ると突風が発生し、襲ってきた数人をまとめて吹っ飛ばした。風って鍛えればあそこまで出力上がれるんだ。
「さ、寒っ!!?」
そして今度は後ろから猛烈な冷気を感じた、グレイシアさんだ。
「あ、足がっ!!」
「ヤバい、足の感覚が無いよー!」
グレイシアさんは氷の魔法で前方の敵全ての下半身を凍り付かせていた。
順調だ、このまま行けばあのレオナルドがいるところは飛べるな。
『うお、マジかよ・・・良かったこれだけ離れておいて。ちょっと様子見するつもりだったがここまでやられるなんてな』
これは、またレオナルドからの通信だ。
「これが俺たちの実力ッスよ?諦めて負けを認めたらどうッスか?」
『おー、言うねぇサクラ君よ。けどまだこれからなんだよなぁ』
「っ!!エルメスッ!!下っ!!」
珍しくグレイシアさんが叫んだ、俺も振り返る。
「くっ!!こいつら!!」
振り返ったら車のある地面の下から突然別動隊が現れた。
「これは!ポンサンの土竜部隊っ!」
『あいつ今不在だからな、俺様が使わせて貰ってるぜ?』
人の部隊勝手に使ってんのかよレオナルドの奴。
「くっ!!睡蓮っ!!」
俺は車のある方向に駆け出した。けど・・・
「桜蘭っ!!駄目だ後ろだっ!!」
まだこんなにも増援が隠れてたっ!!
「くそっ!!こんにゃろっ!!こうなったら本気でぶっ飛ばす!!うおりゃぁぁぁっ!!」
俺が再び攻撃に転じようとした瞬間だった。
「はぁいっ!!みんなそこまで!!」
さっきまで無線越しに聞こえてたレオナルドの声が間近で聞こえた、俺たちは思わず動きを止める。
「はいはいみんな落ち着いてねー、にしてもあれだな。中々作戦通りには行かねーもんだ。よく俺様の狙いが分かったな?」
狙い?何の事だ? まさかっ!?
俺の予想は大正解だ、声の聞こえた方。それは車の中からだ。
「くそ、してやられたか!!向こうのお前がいる場所、それも嘘って訳か」
「土竜部隊は私たちを零羅ちゃんから遠ざける為だったのね」
睡蓮とエルメスが苦い顔で車の中を見つめていた。
「そゆこと、さっき俺がいるって言ってた場所は嘘だ。本当は土竜部隊を使ってこの地面の下にいたのさ。そして周囲を俺の部下で囲んで散らばらせ、中に残った奴を土竜部隊を使って叩く。それからこれが俺の本命、レイラちゃんを手に入れる事、それが俺様の策だ」
車の中から現れたのは、零羅ちゃんをナイフを突きつけ人質を取った一人の男。染めた感じの金髪のどう見てもチャラ男だ、零羅ちゃんは大人しく手を上げてる。
「さて、とりあえず全員武器を下ろそう。俺様は血みどろな戦いは好きじゃ無いんだ。話し合おうぜ?」
「あんたの話し合いなんてロクなもんじゃ無いでしょ!?」
「よせエルメス・・・」
エルメスが突っかかろうとしたが、隣にいた睡蓮が止めた。
「うん、賢明な判断だな。エルメスちゃんがそれ以上近づいたらこの子どうなってたかな?」
「っ!」
「エルメス、どうやら俺たち2人よりもこいつが上手だったらしいな・・・守りきれなかった・・・」
睡蓮が歯をギリギリさせている、あの村の事もある。今相当悔しいみたいだ。
「レオナルド、話し合うと言ったな。何を話す気だ?」
「俺が陛下から命令されてるのはお前らを殺せって内容だ。けど、俺様はそう言うのは嫌いでね、見逃してやろうと思ってるのさ」
「何よ、私たちを先に行かせてくれるって言うの?」
「そんなとこ、けど流石になにか結果残さないと怒られちゃうからね・・・そこで条件、レイラちゃんを置いていけば見逃してやっても良いぜ?」
あ、そう言えば相当女好きって言ってたっけ・・・てか待て。零羅ちゃんって、まだ10歳も行ってない子だよ?犯罪過ぎるだろ!
「そ、それは流石に倫理的アウトッスよ!?」
俺は思わず口が滑った。
「駄目なら、この子殺す事になっちゃうよ?流石にこんな女の子にそんな真似は出来ねーよ。さ、選べ・・・もしその条件がどうしても駄目って言うなら他の手もある。サクラとレイサワ、あんたらが自害すれば良い。さ、どうする?」
この野郎、ほんとクズ人間だな。
「レオナルド!そもそもレイラちゃんを連れて行ったらあんた!!レイラちゃんどうする気なのよっ!」
エルメスがレオナルドに投げかけた。
「え?そりゃお持ち帰りして〇〇〇してもらったり、色んなプレイを・・・」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!零羅ちゃん!!聞いちゃ駄目ぇぇぇっ!!」
「キャァァァァッ!!この変態!!馬鹿!アホ!!ドジ!間抜け!!」
俺とエルメスは同時に、あまりにもどキツイ、レオナルドの下ネタ発言に大声を出した。こいつマジかよ・・・女性をマジで何だと思ってるんだ?
「あの・・・わたくしは別に、この人に付いていく事で収まるのなら・・・よく分かりませんが別に痛い事はしないようですし・・・」
「ダメぇぇぇっ!!絶対ダメよレイラちゃん!!絶対助けてあげるからくれぐれもそんな事言わないでっ!!」
エルメスが大慌てだ。零羅ちゃん、無知って恐ろしいよ・・・にしてもエルメスの言う通りだ、この状況を何としても打破しなきゃ・・・
「けど、あんたらにはそれしか選択肢はねーんだぜ?早く決めろよ、十秒以内に動かないのなら俺はこの子殺す事になっちゃうぜ?それだけは嫌だろ?」
マズイな、後10秒で何とかしないと・・・
「レオナルドッ!!」
「うおっ!?な、何だサム・・・急に大声出すなよ、びっくりしたぁ」
サムさんが大声て呼び止めた。あまりの迫真な声に俺もびっくりしていた。
「レイラちゃんには、絶対に手を出すな・・・」
「な、何だよ・・・あんた、そんな趣味あったのか?」
サムさん、何なんだ?やたら零羅ちゃんを過保護過ぎるくらいに戦いに巻き込もうとしないし、させようともしない。それに零羅ちゃんもだ、これでもかと言うほどに戦いを嫌ってる気がする。
何か変だよ、まるで戦ってはいけない理由がある気がする。だって零羅ちゃんは戦いに関してのセンスは俺より上なのに、誰もあの子に修行を付けない。
子供を巻き込みたく無いのは分かるけど、これは皆んなで戦わなきゃいけない旅なんだ・・・
「そうではないが、その子に少しでも怪我をさせてみろ。その瞬間にお前の首が飛ぶ」
らしくない、サムさんはさっきまで例え追われる身であっても警察としての信念は捨てないって言ってたのに。何なんだ・・・零羅ちゃんには、何がある・・・
「へー、やれるのか?お前に?やれるもんなら・・・」
「あぁ、やってやるさ・・・」
ナイス!!サムさんの変貌に意識が逸れたおかげで睡蓮がレオナルドの後ろに回り込んでた!!
「しまっ!!」
「きゃっ!!」
睡蓮は零羅ちゃんを奪い返した。
「なーんて、気付いてたぜ?」
「何っ!!ぐっ!!!!」
下だ、まだ地面の下に土竜部隊の奴らがいたんだ。そいつらが睡蓮の足を掴み、その隙に再び零羅ちゃんがレオナルドに奪われてしまった。
「しくじった!!」
「あちゃー、何すんだよ。あんたが無理矢理奪おうとするからせっかくのレイラちゃんの顔に傷付いちゃったじゃねーかよ!どうしてくれんだ!」
本当だ、多分レオナルドのナイフがちょっと当たっちゃったっぽい、頬が少し切れちゃってる。
「あ・・・」
「ごめんなー。ま、安心してよ。俺こんなハードプレイは好きじゃないからさ。優しくしてやるって」
レオナルド奴、元より零羅ちゃんをそこまで酷い目に遭わせるつもりは無いのはいいけど、だとしても・・・
「・・・レオナルド、今怪我したと言ったか?」
「あ?ま、大丈夫だろ。絆創膏で治るくらい・・・」
「違う!!全員その子から離れろっっ!!!」
俺がサムさんのずっとあった違和感を理解する時には既に遅かった。サムさんが叫んだ瞬間、レオナルドの身体は遥か数十メートル上空を舞っていた。
「は? ガハッ!!!」
そしてレオナルドが最頂部に到達する時にレオナルドは自らの身体に起きた出来事が全身を巡り口から大量の血を吐いた。
『ドサッ!!』
鈍い音を立ててレオナルドは落ちてきた。
「はぁ、はぁ・・・何だ、何なんだ急に・・・今のは、ゲホッ!!オエッ!!」
レオナルドは立ちあがろうとするが血を吐いて悶えて倒れ込んだ。
「くっ!!やはり、なってしまったか!!」
「サムさん、これ・・・何なんスか?いや、神和住 零羅って子は一体何者なんスかっ!?」
知っているのはおそらくサムさんだけだ、どうしてこんな事秘密にしていた・・・
「やはり、言っておくべきだった・・・サクラ君、そしてレイサワ君。君たちがこの世界に来た時、出血をしていたのは覚えているか?」
「確か、全身が血だらけに・・・」
「拙者もでござる」
「彼女もそうだった・・・そして彼女を見つけた反逆者たちは彼女を保護しようとしたが・・・」
「アレが起こってたのね・・・」
シィズさんが真っ直ぐ先を見つめる。
「あぁ、だがあの出血量だ。程なくして彼女は気を失った。そして再び目覚めた時に聞かされたんだ・・・彼女の秘密、それは自身の血を見ると見境なく周囲を攻撃してしまうと!!」
ゆっくりとした足取りでレオナルドに近づく影が1人、小さく華奢な女の子はまるで獲物を見つけた猛獣のようにレオナルドに狙いを定めて見つめている。
「はぁ・・・きぶんがいいです、血がながれる・・・このかんじ、だから、もっと こわさせてくださいね」
「ぐぐっ マジかよ・・・これ、二重人格ってやつか?とんだやべー奴が いたもんだな」
レオナルドが身体を引きずりながら距離を取るが、ゆっくりと距離が詰められていく。これが二重人格なのか・・・マズイな・・・
「零羅ちゃん!!ダメだ!!元に戻るッス!!」
これ以上は零羅ちゃん、レオナルドを殺しかねない。止めなくちゃ!
「桜蘭さん? いま、いいところなんです。もうすこし、まっててください・・・いまは、レオナルドさんで、たのしみたいんです」
俺が分かる?分かってるのに止められないのか?
「二重人格じゃない・・・あれは、悪癖だ・・・」
睡蓮が呟いた。
「あくへき?」
「人間、生まれつきある癖ってものがあるだろ?考えると思わず耳たぶを触るとかだ。そして人には大概直さなきゃいけないのに直せない悪癖がある。何をどうしても直させない癖が・・・あの子のアレは二重人格じゃない、そのついやってしまう癖の延長線だ」
癖の延長って・・・なら尚更どうすりゃ良いんだ!?
「そんな、ならどうやって止めればいいのよ!!?」
エルメスが睡蓮に掴みかかる。
「サムさん、確か気を失えば良かったんだろ?」
そっか、気絶させる事が出来たら・・・
「そうだ・・・だが、彼女の実力は」
「あぁ・・・さっきの戦闘の疲労に加え、レオナルド側の戦力もそこまで強大じゃない。そして何より彼女自身の戦闘能力は、ここにいる誰よりも強い!」
問題はそれだ。さっきの一撃だけで分かる。そして一瞬俺に向けられた零羅ちゃんの視線、俺は震えた。蛇に睨まれた蛙の気分になった。
「グレイシアさん、何とか出来ないッスか!?」
「・・・ちっ、さっきから考えてるから・・・けど、どれだけ頑張ってもみんなタダじゃ済まない・・・」
グレイシアさんですらダメか、多分マジで今の零羅ちゃんと本気のグレイシアさんの実力は拮抗するレベルだ。それの衝突はどれだけの被害が生まれるのか想像出来ない。
「へへ、追いつかれちゃった・・・」
「はい、おいつきました・・・どこからしてほしいですか?」
「言葉だけ聞くと・・・凄く良いんだけどなぁ・・・因みに何処からしてくれるのかな・・・」
「まずは、そのうでを粉々にさせてもらっていいですか?」
「っ!!! がっ!!!」
零羅ちゃんがレオナルドの右腕を持ち上げ軽く小突いた瞬間、鮮血が飛び散りレオナルド右腕が原型を止めない程めちゃくちゃになった。
「何だあれは・・・どう言う攻撃なんだ?」
睡蓮が目を見開いて驚いている。そうだよ、零羅ちゃんのあの小さい身体でレオナルドをぶっ飛ばすなんてまず無理だ。あの攻撃は一体・・・
その時俺はふと考えてしまった。この力なら・・・三上に勝てるんじゃないか?
「いたい ですか? そのなみだめ・・・すごいすてきですよ 」
零羅ちゃんは無表情なままレオナルドを覗き込む。レオナルドは恐怖のあまりか目を逸らした。
「め、そらさなくてもいいじゃないですか もっと、たのしみましょう。 ならわたしも、うでをちぎりましょうか?」
「は、は?」
レオナルドの「は?」は、俺のセリフだよ!!零羅ちゃんの破壊対象って自分も含めるのかよっ!!待て待て、固まってんなよ俺!!止めないと取り返しのつかない事に!!
「そうです いっしょに・・・潰しましょう。ほら、のこったうでをだしてください」
「ぎっ!?ちょっまっ!!」
零羅ちゃんが拳を突き上げる。あれ、殴った衝撃で自分の腕ごと潰す気だ。レオナルドは必死に逃げようとするが、零羅ちゃんに捕まった。
「にげないでくださいよ うまく 潰せませんから」
「・・・く、無理か」
レオナルドはもう諦めたように苦笑いしていた・・・
『グシャッ!!!』
俺は目を瞑って祈った、誰か止めてくれ。けど聞こえたのは何かが潰れた音。この現状、止められる奴なんて・・・今の俺に思いつくのは1人だけだ。
もう、ダメだ・・・
・
・
・
「あーあ、駄目だよレオナルド?ルールは守らないと・・・」
嘘、だろ?俺は目を開けた。飛び込んで来たのは背後からレオナルドの心臓をブッ刺してる三上だ。三上はレオナルドを刺して、零羅ちゃんの腕を掴んで止めていた。
「すん ません 」
「ペナルティ、レオナルドは反則負けね」
三上はレオナルドから剣を引き抜いた、レオナルドはバタンと地面に倒れて動かなくなった。
「死・・・いちばんたのしいのに、三上さん。 ひどいですよ」
「そなの?それは悪い事しちゃったかな?けど、君もルールは守ってね?レオナルドは装置ごと僕が壊した。もうここで戦闘しちゃいけないよ?」
「ダメ・・・とめられないっ、もっと壊さないと」
零羅ちゃん、何だあれ・・・三上が止めろと言った瞬間、身体からじんましんが出てきた。そして零羅ちゃんはそれを全身掻きむしって血だらけになっていく。
「困ったなぁ・・・」
もう、黙っていられない!!
「三上ッ!!お願いだっ!!零羅ちゃんを止めてくれぇぇっ!!」
今、零羅ちゃんを何とか出来るのはお前しかいないんだ。
「ん?桜蘭君か、敵の親玉にお願いって中々面白い事するね君も。うーん、今回は解放地区で別の地区のリーダーが勝手に戦闘を繰り広げた、悪いのは僕たちだね。
仕方ない、それに自制心を失ってしまった時のルールは流石に設けてなかったよ。それにこんな事でゲームオーバーはつまらない。いいよ、今回は特別に僕が何とかしてあげる。何なら参考までに僕の戦い方を見ておいたら?・・・安心して、僕が絶対に何とかしてあげるから」
三上は満面の笑みを俺たちに向けた、凄まじい安心感を感じる。複雑な心境のまま、零羅ちゃんと三上の戦闘が始まる。




