リメイク第二章 謎と秘密は己を鼓舞せし旅の標
「あらあら、わたくしはあなたのおばあちゃんではありませんよ?」
「え、いや・・・そうなんスけどね、俺のばっちゃんにそっくりでつい・・・」
と言うのも本当にそっくりなんだ。俺のばっちゃんに・・・
「ん?エリザベート、ここにいたか。調子はどうだい?」
そこへアレックスさんが上から降りて来た。
「今しがた完成したところですよ」
「そうか、それは良かった。あ、そう言えば彼女を紹介していなかったね。私の妻のエリザベート アダムスだ。ところで、サクラ君?何その顔・・・」
多分すっとぼけ〜た顔してるんだろうけど、仕方ないよな。
「いや、まさかのまさかで思ったんスけどね、エリザベートさん。めちゃくちゃ俺のばっちゃんにそっくりなんスよ」
「それは、すごい偶然だね」
「いやそれだけなら良いんスけどね?アレックスさんの性ってアダムスじゃないッスか。ばっちゃんもアダムスって性なんスよ」
「へ?性って事は苗字の事だよね?君は確かサカガミじゃ・・・」
「坂上はおとんの苗字ッス、アダムスはおかん、そしてばっちゃんの苗字なんスよ・・・ウーネア アダムスって言うんスけど、他人の空似にしては変だなーって」
ばっちゃん元気にしてるかなー、ばっちゃんって確かフランスの方でそれなりに有名なジュエリーショップの創業者なんだよな。今は別の人に経営引き継いでるけど。
おかんはあんましそう言うジュエリーとかが好きじゃなくて日本に飛んできて、おとんと知り合ったんだっけ。
「成る程、それはまた不思議な事だね」
アレックスさんは興味深そうに話を聞いてくれた。それでふと思い出した。
「あ、不思議と言えば、そのばっちゃんの姉ッスよ。ばっちゃんの姉は50年ぐらいずっと行方不明になってたのに、2年前に急に見つかったってな事があったんスよね」
これはマジで不思議だったよ、そもそも本当にばっちゃんに姉がいたのかってのもそうだけど、その遺体がめちゃくちゃ若かったんだよな。
あー、そう言えば昔からばっちゃんがやたら日本好きなのは、姉が戦争の時から日本にいるからとか言ってたっけ。生き別れたとか何とかで。
ま、やたら日本日本ってばっちゃんが言うからおかんは何となく日本に行くことにしたんだよな。それでおとんと出会ったと。
「ん?二年前?」
俺は少し物思いにふけっていたらアレックスさんは俺のその2年と言う単語に引っかかった。
「どうかしたんスか?」
「・・・サクラ君、一つ聞いておきたいんだ。君の祖母のお姉さんについてだ。まさかとは思うんだが、名前はニヒル アダムスじゃないか?」
・・・・・・ほへ?
何で、異世界のこの人がニヒル アダムスの事知ってんだ?
「その通りッス・・・」
「そして、その事件・・・私も知っている。ミカミ君から聞いたんだ・・・サクラ君、君に一つ教えておきたい。このアダムス連合王国の初代国王の名前は、ニヒル アダムスだ」
流石にバカの俺でも点と点が繋がるのを感じた。
「ニヒルが行方不明になってたのは、この世界にいたから?50年前にここへ来た・・・いや、この世界は時間の流れが違うのなら、500年前?」
なんてこった・・・
「そう、今年はこの国ができてから五百二十年経つ、創歴と呼ばれているんだ。ニヒル アダムスはその時にこの国を創ったって言われている・・・」
「ちょっちょっちょっ!!アレックスさん!ちょい待ち!!ちょっと頭の整理がつかなくなって来たから、とりあえず全員呼ぼう!!」
頭がパンクしかけてる、これはもうみんな呼ぶしかない。
俺は大急ぎでみんなを呼んで経緯を説明した。
かくかくしかじか、あれこれそれどれ・・・
「まさか、そんな事が・・・」
サムさんも驚きのあまり言葉が出てこない。
「ふむ、世界は狭いな!と言うやつでござるな!」
麗沢はまぁ、期待してなかったよ。何かのアニメの台詞か?
「マジか・・・あれ?って事はさ、今こう言うのはどうかと思うんだが」
睡蓮が何か気がついたような感じだ。
「何がッスか?」
「いや、あんたがその、ニヒルさん?のはとこだとするじゃん。って考えるとこの国は王国制じゃないか・・・てなるとサクラは」
「あ!」
『この国の王位継承者では?』
何故か睡蓮と零羅ちゃんがはもった。
「マジ?」
「マジで?」
「うん、言われてみればそうなるのか?いや、どうなるんだ?うん?マジでか?」
2人して質問をしたのに当のアレックスさんからは疑問で返された。
「いや、そうなるんじゃないですかっ!?つまり王子様ですっ!!異世界の王子様ですよ!!」
あれ、なんか零羅ちゃんがふんすっ!て感じで力込めて興奮してる。
「ぬおっ!!その展開は美味しいでござるな零羅殿!!異世界に飛んだ普通の青年は、実は異世界の王子だった!!王道にして最高の展開でござる!!YEAAAH!」
「そうですよね!麗沢さんっ!!」
ピシガシグッグッ
何してんねや?この2人・・・てか、零羅ちゃん結構漫画好きか?この突然ジョ○ョネタにも息ピッタリじゃねーか。
「まぁ、兎も角だね。この真実とミカミ君の暴走に関係があるにせよないにせよ、今はまだ進むしかない。全て終わらせて、全てを解き明かそう」
アレックスさんはやっと落ち着いて仕切り直してくれた。そして何だか気が楽にもなった。俺たちは多分なるべくしてここに来たんだ。その理由までは分からないけど、繋がりはここに確かにあった。
本当に何の関係もなくこの世界に来たって考えるよりは、少し気が楽だ。そしてそこを突き進めば元の世界へ帰る方法も見つかる可能性が出て来た。
本当に小さな事だけど、俺たちが先に進む理由は確実に一つ増えた。
「ッスね・・・あ、グレイシアさん。一応言っておくッスけど、さっきのはマジで事故ッスからね?」
一応俺からも今のうちに言っておこう、それこそこの事で気まずくされてもやだし。
「分かってるから。けど、アレは誰でもそう思う。だって昔レイに聞いた事あるから、あぁ言う時は首を突っ込まずに見なかった事にしろって。アレは本当に大切な人と2人きりで誰にも見られないようにする事だって言ってた・・・さっきのは最後まで行ってなかったから、大丈夫って事」
う、うん?結局わかってもらえたのか?
「・・・・・あ、そう言えばグレイシアさん。さっき俺に言いかけた事って・・・」
話変えよ、このままじゃ麗沢あたりが突っ込んできそうだ。と言うよりむしろ零羅ちゃんが話を理解できなくて続きを聞きたそうにしてるんだけど。
「あぁ、レイは異世界の三人の中でもやたらあなたを注視してたって事。あなたの力を買ってるのか分からないけど、レイに観られたらそれを出し抜くのは難しいから。それを言いたかった」
へぇ・・・原因は皆目見当もつかないけど、やだなぁ。けど、俺に銃の扱い方を教えたりとか言われてみれば確かに麗沢たちと俺とでは何か対応が違う風には感じるなぁ。けど、零羅ちゃんのことも気にかけてたよな?
「ふふ、サクラちゃん。そんなに心配しなくても良いのですよ?あなたはあなたらしくしてれば良いのです。例え先の見えない物語があったのだとしても、あなたが自分を曲げなければどんな困難も越えられますよ。ほら、良かったらこれを着てごらんなさい?わたくしはただ作りたくてこの服を編んでいました。けどほら、あなたのサイズにぴったりです」
エリザベートさんが急に俺にさっきまで編んでた薄手のセーターを着せた。うん、めっちゃピッタリだ。
「わ、本当だ」
「これもきっと何かの縁なのでしょう。わたくしたちは見えない糸で結ばれています。人類みんな、きっとどこかで繋がっているのです。それを切る者の強さなんてたかが知れてますよ」
エリザベートの言葉、すっごい元気が出た。なんだかマジで三上に勝てるんじゃないか?そんな気分になった。みんなの表情も、グレイシアさんや麗沢ですらキリッとしてみえる。
「ははっ、やっぱりエリザベートには敵わないな。さてと、立ち話もなんだろ。そろそろ夕食にしよう、ブッフェスタイルで用意したんだ。好きなだけ食べて英気を養って行ってくれ」
食堂に案内されて今日はバイキングだ、やったね。
はぁ、最近ガソスタのレストランばっかりで野菜系が全然食べれてないんだよな。いつもなら避ける野菜だけど今日はちゃんと食べよ、無限ピーマンは意外と好きなのよ。
俺たちはたらふく食べてこの日は寝た。
そして次の日、まだ夜明け前だけど、行かなきゃな。時間は待ってくれない、次は南ウィート地区だ。
俺は着替える、そして昨日もらったセーターをインナーに着た。これどう言う素材だ?夜明け前のこの時間は結構寒いけど、このセーターあったかー。昨日の西日が強い時は程よい着心地だったのにさ、これはユニ○ロもびっくりだよ。
俺はそれを着て外へ出た。みんないるな、アレックスさんもだ・・・エルメスはまぁ、来ないよな。
「よし、みんな揃ったわね」
シィズさんが点呼を取ってる、これは修学旅行か?その後アレックスさんがみんなの前に立った。
「さて、次の地区のリーダーはレオナルドだと聞いた。彼は見た目以上に策士な男だ、勝利の為の手段を選ぶ事をしない、かなりの強敵になるだろう。そしてその先も彼に匹敵、もしくはそれ以上の実力者をミカミ君は揃えてる筈だ」
敵は徐々に強くなるか・・・他にはどんな奴がいるんだろうな。一癖も二癖もあるような奴ばっかりなのかなぁ。
「だがこのリーダー達、恐らくミカミ君に近しい人たちで揃えてるみたいだ。例えばグレイシアちゃんの同期のテンショウ学園の魔法技術学科に関係した人物も多そうだ。
つまり、軍の上層部たちをリーダーに入れてはいないと私は考える。あくまでもミカミ君独自の私設軍、それがリーダーだ。そこで私はリーダーになり得るであろう人物のリストを作っておいた。渡しておこう」
サムさんがアレックスさんからリスト表を受け取った。
「これ、昨日の間に使ったのですか!?」
「今の私に出来るのは、情報を探る事ぐらいしか出来ない。文字の情報と実際に戦うのでは天と地ほどの差はあるが、無いよりはましだと思ってね。役に立たれれば良いんだが」
チラッとリストを見たら名前と、その人の武器や戦い方について細かく書いてあるみたいだ。確かにサムさんでも知らない相手が来るかも知れないからな、これは凄い役に立つんじゃ?
「これは凄いです!!ありがとうございます!!」
サムさんはビシッと敬礼した。
「みんな、聞いてくれ。みんな既に感じてはいるだろうがこのゲーム、何か裏があるのは間違いない。何をどう考えても楽しいから世界も自分すら壊すのは理由として考えにくい。だがその真相を知る為にもまずは勝たなくては、勝ってこのゲームの先に待つエンディングを迎えよう。そのエンドがどんなものかはわからないが、これだけは分かる。今のミカミ君を倒す事で世界を破滅から救える事は間違いないんだ。そして必ずこの世界に平和を取り戻そう!!全ては平和の為に!!」
流石国王陛下、言葉に重みがあるなぁ・・・俺たちは全員ビシッと敬礼していた。
あ、やっべ左手になってた・・・俺は慌てて直した。




