リメイク第二章 五つ目の地で待つは一つの誤解
その後俺たちは一人一人部屋をあてがわれた。ひっろいなぁ・・・部屋合計どれだけあるんだ?
俺は外を眺めると日が沈みかけているのが目に映り込んできた。なんだかんだ解放はもう5ヶ所目、ゴタゴタした割には順調だ。次の奴は誰なんだろ・・・
「入るわよ」
どっかーん!!
「ぎゃっ!!」
俺はドアにもたれかかって夕陽を眺めて黄昏てたら、急にドアが開いて俺はすっ飛ばされた。
「あら?何してるのよあんた、地面に顔埋めて・・・」
エルメスだ、全くどう言う馬鹿力してるんだ?普通いきなりドアを開けるにしても勢いで飛んでくなんてないだろ。
「あんたに吹っ飛ばされたんスよ・・・」
「あ、ドアの前にいたのね・・・悪かったわ、気が付かなくて」
「ノックぐらいお願いします・・・」
「気をつけるわ、にしてもあんた軽くて全然気が付かなかったわ」
確かに俺は平均体重下回ってるけどさ・・・
「で、何の用ッスか?」
「一つ聞いておきたいのよ、あんたはグレイシアをどう思う?」
この質問は俺の予想外だった、そう言えばグレイシアさんとは幼馴染なんだよな。
「どうって・・・綺麗な人だなぁ、とか、不思議な人?」
「ズコッ・・・そこじゃないわよ、グレイシアは本当にミカミの奴を裏切ったのかって話!分かりなさいよね!?」
あ、そっち・・・あーそっちか。これは、俺が悪いのか?察すべきだったのか?
「あんた、不思議に思わないの?これまでずっとミカミの奴にゾッコンだったあいつが、このタイミングで裏切るなんておかしいでしょ?私は絶対何か裏があると思うのよ」
エルメスは1人で顎に手を当てて考えている。
「その事なら俺も最初はそう思ったッスよ。けど、今はもう彼女を信じてるッス」
「っ・・・あんたもう少し警戒したらどうなのよ!」
「わっ!!」
俺は癪に触る事言ったかな、エルメスに胸ぐら掴まれてベッドに押し倒された。
「ちょっと、何するんスかっ!!」
「それはこっちのセリフよ!!何で、何であんたはそんなに呑気なのよ!何でそんなにお人好しなのよ!何であんたはこの世界でそんなにも疑わないのよ!!」
・・・何となく分かった、何でエルメスが俺の部屋に来たのか。エルメスは昔グレイシアと三上に襲われた、だから分かってるんだ。グレイシアの行動理念とかそれらを俺以上に知ってる。
そして、多分俺だけなんだ。グレイシアさんを心の底から信頼してもいいと思ってるのは。他のみんなは少しだけ警戒してる、たまにみんながグレイシアさんをじっと見てるように感じるのは気のせいじゃない。
それに零羅ちゃんに加え麗沢だって、グレイシアさんに完全に気を許してる感じはしない。
「俺だって最初はグレイシアさんを疑ったッスよ?いや、むしろ考えてみれば何か俺たちに秘密にしてる事があるのは間違いないとは思ってるッス」
「ならなんで・・・」
「なんて言うんスかね、グレイシアさんは本気で俺を殺そうとしてくれたからかな?」
「は?何、あんた殺されそうになったの?意味わかんない・・・」
「あっはは、俺も何言ってんだか・・・けど、前グレイシアさんに修行付けて貰った時、グレイシアさんは足踏みしてた俺に喝を入れる為、実力差は月とスッポン並みにあるにも関わらず真剣に俺と向き合ってくれたんスよ。
その時思ったんスよ、グレイシアさんは三上を愛してるからこそ、今のあいつを絶対に止めてやるってその覚悟を感じたんス。だから俺は、誰が何を言おうともグレイシアさんを信じるッスよ」
俺を掴む手が少しずつ緩くなって来た。
「あんた本当変わってるわね・・・いいわ、あんたの言葉に免じてグレイシアを、私も信じてあげる」
それは良かった、けどそろそろ退いてくれないかな・・・重たい・・・
「にしてもあんた、誰かに似てる気がするんだけど・・・」
エルメスは俺の顔をじーっと見てくる。
「俺がッスか?」
「なんかねー。どうにも他人の感じがしないと言うか・・・あ、分かったかも。昔の先輩、軟弱でヘラヘラしてる奴だわ。なぁんかあんた見てたらそいつが頭よぎって仕方なかったのよ」
それか、それが原因で俺嫌われたのか。だれだよ先輩なのに軟弱でヘラヘラした奴って。
「あースッキリしたわ」
ガチャ!
「サクラ、少し話しておきたい・・・こ と ん?」
ん?今度はグレイシアさんが俺の部屋に突入して来た。噂をすれば何とやらだな。
って、待てよ?
「・・・スッキリ した?」
「何がよ、確かにやっとスッキリはしたけどさ」
「そ、そう・・・なら、何も しないから 続き したかったら 失礼」
グレイシアさんが妙によそよそしい、その原因を考えよう。
おい、桜蘭よ・・・俺は今どんな体勢だ?エルメスに胸ぐら掴まれて押し倒されてそのまま馬乗りのままなんだけど。そしてエルメスはスッキリしたって・・・
これ・・・とんだ誤解を生んでる最中では?
「あ」
「あ」
俺とエルメスは同時に顔を見合って声を漏らした。
「こ、こういうのは・・・まだ、私も しっかり 調べてないから・・・その、ゆうべはお楽しみに?」
グレイシアさんは何処で聞いたのかのセリフを吐いてUターン。
「ちょちょちょ!!誤解だから!!違うって!!待ちなさいってどがっ!!」
「んぎゃん!!」
エルメスが俺をどかしてグレイシアさんを慌てて追いかけてようとしたら、俺に引っかかってまた正面衝突してしまった。
「いたたた・・・」
「いててて・・・」
「もー!!どうしてくれんのよっ!!へ、変な誤解させちゃったじゃないのよー!!わ、私はあんたに興味ないからねっ!?って!!あんたに言っても仕方ないっ!!待ってグレイシアーーーッ!!」
エルメスも行ってしまった。やれやれ・・・これ、俗に言うツンデレなんだろうか。とは言ってもあの感じ、俺に対するそう言うのは無いだろうな。それに俺もツンデレキャラは苦手だ。
まぁエルメスは言うなればわちゃわちゃしてる小動物的なふうにしか見えないや。楽しい人って事で行こう。さて、確か次は南ウィート地区になるんだっけ。
うーん・・・寝ようかと思ったけど、駄目だ。騒ぎ過ぎて眠くなりそうに無い。色々と頭の中で考え事がぐるぐるしてる。俺も外に出て歩くか・・・
俺は中庭がよく見えるロビーフロアに来た。夕陽が真っ赤に染まって屋敷内を照らす。あったかいけど、何だか寂しいなぁ・・・
ん、あれは・・・中庭の見える大きなガラス窓の前、そこに誰かがいる。エルメスやアレックスさんでもない、ましてグレイシアさんでもない。
あれは、老人か?高齢の女の人っぽいな・・・そしてそこに座って編み物してるみたい。
「おや?あなたが旦那の言ってた子かね?なぁんにもないとこだけど、ゆっくりして行きなさい」
老婆は俺に気がついたみたいだ。
「あ、どもッス。坂上 桜蘭ッス、今日は少しお世話になります」
「サクラ君か・・・ええ名前ですね。あら、わたくしとした事が失礼したね。んしょっと」
「あぁ、別に立たなくても!!」
「いいのよ、たまにこうやってちゃんと歩かないと、足腰鈍ってしまいますから」
老婆は俺の思っていた以上にピシッと美しい姿勢で立ち上がった。
「え?」
「わたくしがアレックスの妻・・・エリザベート アダムスです・・・はて、鳩が豆鉄砲を食ったような顔してますけど、どうなされました?」
俺はぽかーんとエリザベートさんの顔を見ていた。その顔はあり得ないぐらい似ていたんだ。だから俺はエリザベートさんを別の肩書きで呼んでしまった。
「ば、ばっちゃん?」




