リメイク第二章 休息はこの世界を知る為の手蔓
俺たちは今絶賛祭りを満喫中だ、それに観光もしてる。こんなので良いのかとも思うが、色々とこの世界をぐるっと周るにはそれなりに準備がいるんだって。だから本格的に動けるのは明日になる。
だから今は出来る限り休んだり、楽しんでおこうって事だ。
「で、あれがビーン・ムゥの銅像よ」
シィズさんがさっき見てた銅像の解説をしてくれた。この人の誕生日が今日で、世界を救ったこの英雄を讃える日なんだって。
「誕生日とは言えども、一応死人を祀る行事なんスよね?えらく派手じゃないッスか?」
「そうだね。けど最初はレイ、もうちょっと淑やかにしたかったって言ってた。けど、その後アレックスが来て生前彼は葬式はでっかく派手なのが良いとかで、それを踏まえてレイとアレックスが話を進めていったら、花火も上がるこの大騒ぎの祭りになっちゃったから・・・」
グレイシアさんはなんかこうなる経緯を思い出してるみたいだ。にしても、先代の王のアレックスって人、エンターテイナーか何かか?
「そう言えば、グレイシアさんはビーン様を知ってるのよね、彼ってどんな人だったの?彼と直接会ったことのある人ってこの中だとサムとグレイシアさんぐらいだものね。サムはビーン様の事をすごく称えてたけど、いまいちどう言う人なのか伝わらなくてさ」
シィズさんが興味本位で聞いてる。派手好き、確かにこんな銅像があるし、この顔自体が派手好きそうだ。
「一言でいうなら、ちゃらんぽらん」
「え?」
「それでおっちょこちょいだった」
「え、そんな感じだったの?」
「うん、レイの突拍子の無い行動にいつも振り回されてたから。けど、いざ戦いとなると目の色が変わってた」
その点に関してはそもそも三上自身元からヤバい素質はあったって訳だろうな。
「へ、へぇ〜・・・確かにサムも前にビーン隊長は一見抜けてるように見えて、常に周りを見てるって言ってたわね」
ふぅん・・・そんな人なのね、俺は銅像を見た。凛々しく作られてるけど、確かに抜けてそうな感じもする。あと偏見かもしれないけど、女好きっぽそう。
「なぁ、あんたら」
「あ、あれ?ステーキ屋の店の人!」
俺たちを呼んだのはさっき俺に銃をぶっ放した人だ。
「そういや名乗ってなかったっけか?俺はジョナサンだよ。それより、まだしっかりと謝れてなかったな、さっきは本当にすまなかった」
店の人は俺たちに頭を下げた。
「いや、もういいッスよ」
「なんつーか、情けねーよな。自分の事の為にあんたらを簡単に犠牲にしようとした。人である道を踏み外そうとしてた。けど、あんたの言葉で目が覚めたぜ。恐怖に屈するにはまだ早いだろ。いや、人間ってのは恐怖に抗うもんだろうがよってな。
とは言え、それでも呑まれるのもまた人間ってなもんだ。この先出会う奴らも、あんたらに味方する奴もいれば、殺しにかかる奴もいる筈だ。そして俺はあんたを信じることにしたんだ。だから勝ってこいよ」
「勿論ッスよ」
「お詫びの品っちゃ心許ないが、全員分のコーラ持ってきたぜ!」
ジョナサンはどんっとコーラの瓶を目の前に出してきた。
「今日はこれで乾杯と行こうぜ!!」
「む!!それは瓶のコーラではござらぬかっ!!?昨今ではあまり見かけ無くなった!!やはり瓶の炭酸とは別格よのぉ!!キリッ!!」
早速飲んでるよ。でも確かに、瓶コーラって妙に美味しいよな。
「おうよ!それでもって、サクラ!!こいつをお前に渡すぜ!!」
ジョナサンはクルクルと何かを回しながら俺に手渡した。これ、あのリボルバー拳銃だ。
「聞いたぜ、次の相手はランディだろ?奴は遠距離射撃の名手だ。けど、近づく事が出来たならこっちのもんだ。ま、そこが難しいんだけどな」
「まぁなるようになれ、ッスかね。俺は考えるより行動ッスから」
「へっ、根拠も全然ねーし、こんな情けないキャラしてるのに、なんでだろうな。信じてみても良い気分になれるのは」
「な、情けないって・・・俺、そんなんスか?」
「うーん、情けないと言うより、頼りないかな?」
「シィズさん、ひどいッスよぉ!!」
「あはは、ごめんごめん」
むー、まぁいいや。コーラ飲も・・・
「あの、桜蘭さん・・・これ、どう飲めば・・・」
「あ、零羅ちゃんも知らないか。これ使ってあけるんス」
さっきやったから多少教えれる。
『ブッシャァァァッ!!』
かと思ったけど、何故かこれだけ大噴火した。
「わ、わーっ!!?なんでぇ!?」
「お、残念でござるな。仕方ないでござる。零羅どの、こちらを飲むでござる」
麗沢、お前コーラの栓を抜くのが異様に様になってんのなんで?
「んぐっ!!ケホケホ!!! な、なんですか!?この、しゅわしゅわした飲み物!!わたくしはじめてです!!」
た、炭酸も飲んだこと無かったのかよ・・・
「炭酸、はじめてなんスか?」
「こ、これが炭酸・・・はじめて飲みました・・・成る程、これが炭酸というものなのですね」
零羅ちゃん、すごいキラキラした目でコーラの瓶を眺めてる。俗世に疎いなんてもんじゃないだろこれ・・・
「んっ・・・ぶふっ!!あっ!し、失礼しました!!」
零羅ちゃんから変なゲップが出た。
「いや、炭酸飲むと大半こうなるッスよ?ほれ、麗沢」
「御意先輩!!では山手線!外回り!東京!有楽町!新橋!浜松町!田町!高輪ゲーrrrrrrゥゥゥ!」
麗沢は、7駅目で盛大なゲップをかました。
「な?こうなるんスよ。だから恥ずかしがらなくて良いッスよ。って、俺もっぷ・・・と」
「ふふっ、炭酸って面白いんですね」
零羅ちゃんは優しく笑う。
「よし、決めたわ!!今日は全力で遊ぶわよ!!特にレイラちゃんこう言うのあまり知らないみたいだし!サクラ君たちも、こういうのは久しぶりなんじゃない?輪投げに射的!りんご飴!綿菓子!全部私が奢るわ!!」
そしてシィズさんはこの俺たちに気を効かせて大見得を切った。
「まー!経費はサムから落ちるんですけどね!?」
ずこっ!!
「シィズ、私も奢ってもらえる?」
その中、グレイシアさんはシィズさんの袖をちょんちょんと引っ張ってなんか聞いてる。
「え?別に構わないわよ?けど、グレイシアさんは・・・」
「レイ、貧乏性だから・・・それに私が家計の財布持つと余計なもの買うからダメだって。だから祭りの時はいつもお小遣い五百円までって言われてた」
子供か・・・と言うか三上、おかんみたいな事すんなや。あんたの奥さんだろうが。
そんでもって、この祭りはなんやかんやシィズさんが全部奢ってくれた。
そして夜になり、今夜上がる花火がいい感じで見れる場所をシィズさんが知ってた。桜吹雪の舞う川の土手だ、これもう花見なんだか、夏祭りなんだか、花火大会なんだか。そこら辺の祭りを一度に堪能した気分だ。まぁ、夜になると少し肌寒いけど・・・
その後、ホテルに帰りバッタンとベッドに寝転がった。
あー、疲れた。けど、明日からはもっと疲れる旅をしなくちゃいけないんだよな。そろそろ、気を引き締め直すか、はぁ、意識飛ぶぅ・・・
翌朝、俺は何故か勝手に目が覚めた。しかも寝覚めが良い。けど、まだみんな寝てるみたいだ。
二度寝、と思ったけど流石にそう言うのはやる気になれないな、顔洗おっと。
顔を洗って、部屋に戻るとグレイシアさんが窓の側に立って景色を見てた。
「おはようサクラ」
「おッス、グレイシアさん起きるの早いッスね。早起き得意なんスか?」
ブンブン・・・
「昔はレイによく起こされた。怒られながら、私はベッドから落ちても寝てたから・・・そしてレイが掃除機を使って私を転がすと私は嫌々起きる。けど、もうそれは出来ない、何もかもが変わったから、私も変わらざるを得なくなった。私は朝起きるのは嫌い、だから誰よりも早く起きるようにした。起こされる事をやめたの」
三上・・・グレイシアさんへの愛情ってのは、本当何処に消えたんだろうな。そこまでして、自分の妻を裏切って更に世界を滅ぼす理由・・・そんな理由なんか、あっちゃダメだろ。
「グレイシアさんって、まだ三上の事好きなんスか?」
「どうして?」
「あ、いや。やたらグレイシアさんの話はあいつの事をよく話すなって思って・・・」
これ、流石に今聞くべきじゃなかったよな。俺たまに空気読めないって言われる事あるんだよ。思わず聞いちまった・・・
「そうだね、今でも好きなのかもしれない。あの思い出が捨てられないから、だから今私は彼を殺す旅に出る」
この顔・・・泣いてるのか、怒ってるのか、形容できない・・・
「? どうした?サクラ?大丈夫?」
「いや、問題ないッスよ。一緒に頑張りましょうかグレイシアさん」
「うん、君こそ頑張らなきゃいけないから・・・頑張ってね、サクラ」
グレイシアさんは俺に少しだけ笑いかけた。なんだか、少し癒された気がする。




