リメイク第二章 掴み得た休息は勇者達への褒美
「あ、そう言えばサムさん。ボーダーで無線機貰ってたッスよね?ジョシュさんか何か情報得たりしてないッスか?」
俺はふとボーダーで貰った無線機を思い出した。サムさんが持ってる筈だ。
「それがどうにも通信が悪くてね、ミカミが妨害しているのかもしれない。ノイズまみれで変な音がしてたんだ。多分今も・・・あれ?」
『ブッ、き か? き え か? おい、サムやい』
「ジョシュか?」
『お、やっと通信回復したぜ。俺だ、みんなの定食屋のジョシュだ。そっちはどうだ?西ボーダーには着いてるだろうが。リーダーは見つかったか?』
「あぁ、先程ポンサンを倒したところだ」
『え、もう倒したのか!?すげーな。こちとら王国軍の電波から情報を探る手段を得たばっかりだってのに。あ、サム。なら次は何処へ向かう気だ?』
「私としてはインダストリベルトを目指そうと思う。中央線沿いから攻めて次は南下する予定だ」
『なら丁度良い、インダストリベルトのリーダーが分かったんだよ。王国軍所属の男、ランディ ブーゲンベリアだ。エンデン町の旧変電所にいるらしい』
俺は隣でサムさんとジョシュさんのやりとりを聞いていた。次の目的地にいるのはランディって奴か。
「あいつか、分かった。何か分かればまた連絡してくれ」
『おうよ、任せときな』
通話が終わった。
「サムさん、誰なんスか?ランディってのは」
「彼は、元々は警察で私の元部下の男だったんだが、途中で王国軍へと転向したんだ、拳銃の扱いが異常に上手いやつでな、今でも覚えてる。数百メートル先の的を早撃ちで全弾命中させていた。戦うとなれば奴は遠距離のスナイパーライフルを使い攻撃をするだろう、今回のポンサンのようには行かないかもね」
げ、スナイパーかよ。FPSゲーやってた時、いっつもヘッドショットやられるんだよな。
「あ、ところでスナイパーライフルは知ってたりするのかい?」
「むっろーん!!スナイパー!即ち狙撃手とは・・・・・・・・・」
麗沢の長い話がまた始まった。さてと、リーダーの情報も得たし、知りたいのはこれくらいか。
なら三上は祭りで何が知れるようにしてたんだ?時間のこ
とに関してはどう考えてもたまたまだし・・・
『や、みんなどうも』
「ぎゃあっ!?」
突然あの三上の爽やかボイスが聴こえた。俺は思わず飛び上がってしまった。
「な、何故この周波数が!?」
『ふふっ、なんででしょ? まぁ実のところ言うと君らの使う周波数自体は理解出来てないよ。これは電波塔からのダイレクト通知だ、まだ君らは西ボーダーでしょ?だからそれに届いた。と言うか、その無線機を頼りにポンサンにたどり着いたんじゃないの?』
ん?三上の奴何言ってんだ?
「リーダーはサクラ君の働きのお陰で見つけられた。そもそも無線機はこの地区では使えなくなっていたのだが?変なノイズばかりでな」
『え、ノイズ? どうやら何か手違いがあったらしいね・・・まぁとりあえずは何とかなった訳だ。この通信はルールの再確認だと思ってくれれば良いよ。
とりあえずゲームの内容は今回みたいにリーダーの持つ装置の破壊が勝利条件で良い。けど、毎回毎回リーダーの場所を虱潰しして探してたら流石に時間がかかるでしょ?だからリーダーを倒すごとにボーダーのジョシュさんへ次の地区のリーダーの情報を流すようにしたんだ。それを君たちは受け取る。単純明快なルールになったでしょ?』
「そこは理解したよ、だからこそ分からないな。何故追い込まれてそんなに嬉しそうにしているんだ?」
サムさんが俺が一番聞きたかった事を聞いてくれた。
『そうだね、今はただこのスリルを楽しみたいかな?嘘じゃないよ?本当に楽しいんだ。君たちもギリギリ、僕もギリギリ。面白いとは思わない?』
いや、全くだ・・・
『・・・兎も角、次どう行くかは自由だけど、このゲームを最も簡単に攻略するなら順当にインダストリベルトから行くのがベストだね。解禁していく情報も君たちの行動を予測して立ててる。僕にたどり着くのが楽しみだよ。
さて、今日一日くらいはそこでゆっくりして行ったら?今日の祝いを君たちに、駅前のホテルを使うと良いよ。そして英気を養ってまた明日に備えようか。じゃね』
そして三上は通信を切った。
「これ、どうするんスか?」
「言われた通り、ホテル行ってみる?私疲れたもの」
シィズさんはホテルへ行く気満々だ。確かに俺も疲れてきた、罠臭いが、戦闘は無しってルールは三上が決めた事。なら普通に休めるだろ。
「・・・癪だが、今日寝泊まりする場所も次の作戦を考える場所に時間が要る。行くとしようか」
サムさんが行く決定をしてくれた。
「くわぁぁ〜〜〜・・・ねむ」
その途端、グレイシアさんが大あくび。なんだかんだ緊張してたみたいだ。
そして俺たちは西ボーダー駅へ向かい、その駅前にある結構綺麗なホテルに着いた。
「おぉ、俺ビジホとかは泊まった事あるッスけどこう言うのは無いなぁ・・・」
「ようこそいらっしゃいました勇者様方。話の方は国王から聞いております、どうも御苦労様でございました。お部屋は最上階のスイートルームをご用意しております」
到着するや否や、ホテルの人がやって来て丁寧に挨拶と案内された。にしても、スイートルームか・・・俺初めてかも。
「こちらがスイートルームになります、窓からは西ボーダーの景色が一面に広がり、東の方に見える我が国屈指の工業地帯インダストリベルト地区の夜景はとても美しいですよ」
へぇー、あそこか。まだ昼間だから明るいけど遠くの景色にすんごい大きな工場地帯が見える。で、あそこが一応次の目的地なんだっけ。
「ほー!これは素晴らしきスゥィートルゥゥムではござらぬかっ!!ふむ、このソファの座り心地、本革でござるな!?」
「・・・?麗沢さん、これ本革では無くてフェイクレザーですよ?わたくしの家にもありました」
「ぬっ・・・流石に詳しいでござるな、零羅殿」
麗沢テンション上がり切ってるなぁ、口から出まかせになってるよ。あいつ意外とおぼっちゃまって聞いてたからスイートルームとか行ったことありそうだと思ってたが、案外普通か。
因みに俺はばっちゃんは結構金持ちらしいけど両親は普通だからな、この見た目で海外旅行経験なし、飛行機も修学旅行の沖縄が初めてだ。だから俺も正直言うと早く疲れ取りたいよりも、このスイートルームの景色に興奮してる。
「さてと、少し休憩がてら作戦会議をしよう」
サムさんが本題に乗り出した、俺はベッドに腰掛けて話を聞く。
「次の目的地だがインダストリベルト、ミカミはやはり私の予想を想定していたらしい。それを踏まえてのリーダー情報を私たちに寄越した。私としてはこの策に飛び込むのは危険と考える。そこで聞きたいんだ、次を別の地区から攻めるべきか、あえて策に飛び込むべきか」
うーん、また難しい選択だな。
「確かに危険ね、要するにミカミ国王の言う通りにすれば時間はかからないけど、常に居場所がバレてるのと同じ。先の地区で対策されたらおしまい。けど、そこから外れた場所を行ってもリーダーを一から探さなきゃいけない。時間がかかりすぎるわね・・・
けど、私は策に乗っても良いと思うわ。それを逆手に取る、情報がくるのならあえてこっちから罠を仕掛けることも可能よ」
シィズさんの作戦、成る程ね。けど終始あいつに手球に取られてるからなぁ。
「私も、そっちが良いと思うから」
「うむ、拙者もでござる」
「そうですね、当たって砕けろって奴です」
って、あら?満場一致かい!!ここで否定したら、地味に時間かかるかなぁ。
俺は一応首を縦に振った。
「満場一致か、ならばそれで行こう。私としても既にインダストリベルトへ向かう手筈を整えていたからな」
サムさんもかよ。
「ならば次の目的地はインダストリベルト、リーダーの名はランディ ブーゲンベリア。更なる情報では居場所は旧エンデン変電所、そこに潜んでいるらしい。そして武器は間違いなくスナイパーライフル。
奴の狙撃の能力は折り紙付きに加え、旧変電所の地形は彼の能力を最も活かす。それで・・・・・」
俺たちはランディの情報を聞きながら作戦会議を続けた。
そして、
なんだかんだ終わった。後はどうしようか、そう話してたら、下に降りてそろそろ祭りが本番になるから行ってみようってなった。
サムさんはなんか、さっきの無線機のノイズが気になるとかで近くにいる知り合いのとこに行くんだってさ。
secret
ゲームの裏側
日が傾く、西ボーダーから離れインダストリベルト地区との境付近、そこには誰も知らない秘密の洞窟がある。
そこへ一人の男が向かっていた。男の名はポンサン・ミィ、数時間前桜蘭たちと戦ったリーダーと呼ばれる男のだ。彼は戦いの後ここへ来た、理由はたった一つ。
「あれでよろしかったので?」
ポンサンはそこにいたもう一人に語りかけた。
「うん、色々と手違いでヒヤヒヤしたけどね、訳の分からないノイズは出てくるし、見つけられた偶然は本当ラッキーだったよ。それより、桜蘭君はどうだった?」
「難しいですね、実力としてはまだまだあなたの足元にも及ばない。しかし素質は無いが、努力次第では化けるタイプではあります」
「だね、彼はきっとそもそもの魔法の技術にセンスが無いみたいに思えた。けど、一つだけ飛び抜けた素質はあったでしょ?」
「はい、彼の言葉・・・あの青年の言葉があの街を創り替えた。我も不思議な気分でしたよ」
「ふふっ、そうだね、彼の特筆すべき特徴はそこにある。勇者の言葉・・・桜蘭君の言葉はきっと、僕の思い描く以上に世界は彼に味方するだろうね。けど、それだけでは僕には勝てない。今日の戦いはまだ小手調べだからね」
「えぇ、ですが我の役目は果たしました。ゲームの行く末、見届けられないのは残念ですが、何とか勇者達はこのゲームのストーリーの流れに乗ってくれました。後は・・・」
「そう、彼らには僕を超えてもらわなきゃね、そうじゃなきゃつまらないよ」
「・・・嬉しそうですね、ミカミ陛下」
「僕は争い事は嫌いだけど、戦いは好きなんだ。だからどうしてもね、彼らの成長を考えると笑いが込み上がるんだ」
「成る程、陛下らしい。では我はそろそろ行かなばならない」
「うん、きっと待ってるだろうからね。じゃ、さよなら」
「っ・・・意外と、痛くは無いのだな。死ぬのは」
「せめてもの僕からの贈り物だよ、さぁ。行ってらっしゃい」
どさっ・・・
ポンサンは地面に倒れた。そしてその前には爽やかな笑顔が目立つ少年のような男、三上 礼が立っていた。
三上は倒れたポンサンを担ぎ上げ、立ち去った。
「さぁ、ゲームが始まった、もう戻れないよ?・・・全ては、平和の為に・・・」




