リメイク第二章 始まるは世界の命運を懸けた最悪のゲーム
The Bad end game
さてと、そろそろやってみるか。
「なぁ麗沢、ちょいと俺と手合わせしてくれないッスか?」
俺は麗沢に試合を申し込んだ。
「お?やるでござるか?」
「あぁ、たのむわ」
「ではでは・・・とぅ!」
麗沢は炎を纏い突っ込んできた、やはり俺よりは魔法の扱いは上だ。見極めろ、そして学べ。確かにこいつに出し抜かれるのは腹立つけど、実際こいつの方が扱いが上手いんだ。けど、
「ほぁ!?」
この攻撃、足元とか前が見えないんだろうな。また石に躓いた。
「ここだ!」
俺は一歩だけ下がりヒップシュートで引き金を引いた。綺麗なまで麗沢の腹に風の魔法が当たった。
「お、おう!?おわう!!」
ぽいーんって感じて麗沢が上に飛んでいった。
「ほっ!」
そして見事に着地した、10点。
今のは風のクッションぐらいの威力だ、そんなに強くない。なんとなく俺の実力は理解出来てきた。俺は銃を使っても尚威力不足だ。中距離での戦闘は俺はほぼ無力だろう。
今はゼロ距離射撃だ、出来る限り相手を俺と接近、もしくは誘い込んでで撃ち込む。それが俺の戦闘スタイルになると思う。
「ふむ、流石は先輩!拙者の『威流総麗の火斬』を打ち破りたりけり!!キリッ!!」
意味わからん。
「しかし先輩、『後の先』なんて戦い方をするようになったのでござる?」
「あ?ごのせん?」
そして聞きなれない単語を聞かされた。何だそれは?
「『後の先』でござるよ、相手の動きを先読みして返す技の事でござる。横書きにすればカウンターとも言えるでござるな、さっきグレイシア殿と戦っておられたが、アドバイスでござるか?」
あぁ、カウンターの事。
「そんなとこ。俺の戦い方はその、後の先?ってやつが向いてるっぽいッス。先手必勝は俺には合わないんだと、俺には不意打ちか、それがダメなら銃を使った近接戦闘が1番俺に合ってるみたいッス」
「ほぅ、成程・・・いささか卑怯ともとれるが、実際の戦いとなるとそうも言えぬでござるからな」
俺と麗沢はしばらく試合形式で修行していた。
「おーい、流石にそろそろおなか空いてこない?一応ご飯出来たわよ?」
シィズさんが俺たちを呼びに来た。そう言えばお腹すいたな・・・
「お?ナイスタイミングでござる!食事はやはり時間と言うのも一つのスパイス!さらに運動後の空腹はさらに一味を加えてくれるものでござるからな!!ひょっほーい!」
麗沢はるんるんでアジト内の食堂?のような所に向かった。さてと、俺も行こう・・・ん?なんだか凄い良い匂い。シィズさん焦がさなきゃ普通に美味しいのか?
「ほへ?」
食堂には目を疑う光景が広がっていた、今朝の黄身が潰れて焦げてしまった目玉焼きはゴミに見える。
「よし!来たわねサクラ君よ、見てよこれ、何よこれ」
シィズさんが苦笑いで俺に質問した。俺に質問するなや・・・聞きたいのはこっちだ。
「これ、誰が作ったんスか?」
「零羅ちゃんよ・・・ジョシュが上手いことこっちに食材を流してくれてね・・・それからグレイシア様加わってこれよ」
「あー・・・あの子お嬢様っぽいッスもんね。それにグレイシア様って要するに元プリンセスみたいなもんだもんな。そりゃこんな綺麗なの作れるわ・・・」
テーブルの上には定食の代表とも言える豚肉の生姜焼きが並べられていた。
「あの、ジョシュと言うあのていしょくやさん?から食材を頂いたので作ってみたのですが・・・」
零羅ちゃんがひょこっとエプロンを付けた格好で出てきた。
「凄いッスね・・・やっぱアレッスか?英才教育的な?」
「い、いえ・・・最後に料理を作ったのは確か5年くらい前です。確かにその時は料理を教えて頂いていたのですが、手を切ってしまい、それから料理を禁止されてしまったのです。本日は久しぶりでしたが、グレイシアさんに色々と教えて頂いたのでなんとかなりました」
うわ・・・過保護・・・けど久しぶりでも、これだけ綺麗に作れるもんなの?それともグレイシアさんがまた上手いこと教えてた?
「私は、盛り付け教えただけだから・・・」
て事はこの子の実力か・・・こう言うのを天才って言うのかねぇ。にしても、零羅ちゃん、あんな目に遭ったのに肝が据わってると言うか何というかだな。
「よし!じゃ、頂きましょう!!」
「いただきやッス」
「おぉ、神の恵みに感謝がうんたら・・・」
麗沢は無視しよう、これ毎日やるなよ?めんどくさい・・・俺は一口食べた。
「ん゛!!?」
「おっ!?」
「わっ!!」
みんなして感嘆詞を叫んだ。
「お、お口に合いませんでしたか!?」
零羅ちゃんはワナワナして困惑してる。
『う、うんめ・・・』
そして全員声を揃えて呟いた。めちゃくちゃ美味しかった。
ほうれん草のおひたしは、ほうれん草がシャキッとしてて程よくごまが効いてる。おひたしは昔ばっちゃんと一緒に作ったけど、しなしなになっちゃったんだよな。
そして次にメインのこの豚肉の生姜焼きだよ、別にあの定食屋さんの使ってる豚肉は高級では無い筈なのにこの柔らかさ。そしてこのタレ、ふんわりと切られた千切りのキャベツとの相性も抜群で、ご飯が進む進む。
「くぅ・・・女子力少ない方とは思ってたけど、料理一つでここまで差が付くものなのね・・・くそぅ」
シィズさんはこの料理のセンスの差を感じて悔しそうにしてる。
「わ、ご、ごめんなさい!!」
「違うわよ、褒めてるの。ほら、グレイシア様もう食べ終わっちゃったもの」
「うん、美味しかったから」
グレイシアさん、もう食べ終わったの?早くね?
「すまぬが白米おかわりを所望するでござる」
流石に麗沢はおかわりするだろう・・・な?
俺は一瞬目を疑った。俺、今ようやく半分くらい食べ終わったのに麗沢の奴、茶碗が何杯も積み重なって顔が見えん。今の間にどれだけおかわりしたんだよ。
「いやはや、この豚肉一口で米一合は行けるでござるなぁ」
「あ、ありがとうございます・・・ご飯はいっぱいあるから遠慮しなくて良いとジョシュさんが仰ってました。よく食べて英気を養ってくださいと」
それは有り難いな、腹が減っては戦は出来ぬって奴だ。三上を倒すのにどれだけかかるのか分からないんだ、食べ物に困らないのは凄いラッキーだ。
「ふむ、では拙者もご馳走様でござる。いやはや、ここまで美味いと言える料理は産まれて初めてでござるよ。感謝するでござる」
「あ、あの・・・ありがとう、ございます・・・喜んでくれたなら・・嬉しい・です」
零羅ちゃんは恥ずかしそうにぺこりと頭を下げる。
「俺もご馳走様、俺も感謝ッス。麗沢、せめてこのお礼に皿洗いくらいはやるッスよ」
「お、それは名案!!」
「え、いえ、あのわたくしは・・・」
「良いから、一応飲食店バイトは経験済みッスよ?それに一人暮らししてたッスから皿洗いは日常茶飯事ッス」
「そ、それなら・・・お願いしても、良いですか?」
これだけ美味しいもの食べさせてもらったんだ、皿洗いくらいはしなきゃな。
「おッス、零羅ちゃんはゆっくりしてて良いッスよ」
「お、お言葉に甘えさせていただきます!」
零羅ちゃんは大きくお辞儀した。
さーて、洗うか!!
『ブッ ブブッ』
「ん?麗沢オナラした?」
「失敬な!今のはテレビの電源の音でござるよ!」
「あ、すまん」
って、待て・・・テレビつった?今・・・
「麗沢つけたんスか?」
「いや?拙者今泡まみれでござるよ?」
テレビは食堂のとこに一台あるけど、今そこには丁度誰もいない。誰がつけたんだ?待てよ・・・ここには、勝手にテレビをつけれる奴がいる。
俺はテレビを見た、そしてさっき見た顔がそこには映っていた。この異変に気がついたのかシィズさんたちが戻ってきた。
「ど、どう言う事よ!!今日の処刑はもう!!」
そうだ、今日はもうこいつが出てくる事はない筈なんだ。なのに、今三上はテレビ越しに俺たちを見てる。
『やぁ、突然ごめんね国民のみんな、緊急放送ってやつだ・・・さてと、「反逆者たち」の皆さん、そろそろ勇者たちも落ち着いてきた頃だろうから次のステップに移行してみない?』
あの野郎、ほんとに何処に目をつけてるんだ?言った通りだ、今ちょうど落ち着いた頃なんだ。
『始めるのはゲームだ、僕と君たちとのゲームをしようよ。けど、ただのゲームじゃない。世界の命運を賭けたゲームだ。まずその前に、僕はこれより毎日行ってきた国家反逆罪の処刑を全て終わらせよう』
そして三上から出された提案はゲームだ、そして三上は今までの処刑をこれからは一切止めると言い出した。何だ、こいつはこれから何をしようとしてるんだ?
『さて、次にルール説明するよ。このゲームの参加者はアダムス16地区に住む全員。老若男女問わず、全ての国民がこのゲームの参加者だ。この国民のすべき事は一つ。「坂上 レイノルド 桜蘭」「麗沢 弾」「神和住 零羅」、この異世界の勇者三人を倒す事。この三人を倒したら僕はこれまでの全てを放棄してその者にこの国の支配権を譲ろう』
な、何だそりゃ・・・三上、お前は戦ってみたいんじゃ無いのかよ、完成した『反逆者たち』と、これじゃまるで・・・
『なら、君たち三人はどうすれば良いのか、気になってくる頃だね。君たちのすべき事は冒険だ。このアダムス16地区にそれぞれリーダーと呼ばれる者を一人づつ用意した。その全てを倒す事。君たちのいるそのボーダーはワンちゃんがリーダーの務めを果たした。つまり、そのボーダー地区は解放されたんだ。リーダーを倒し解放されればその地区内での戦闘は一切禁止される。あと君たちはあと15の地区を解放すれば君たちの勝ちになるね。これを最後までやれば、僕は負けを認めてこの世界の『反逆者たち』にひれ伏そう』
確かにシンプルだけど、そのルールだとどっちも三上は・・・全く一体全体訳がわからん。馬鹿なのか?
『けど、それじゃあまりにも僕が不利になるよね。だから、ひとつだけ僕に有利なルールを一つ設ける。それは時間指定だ。4月28日、午前8時6分18秒。これがこのゲームの終了までのタイムリミットだよ、今日は4月7日。後三週間だ。なに、普通にクリアしていけば全然間に合うから安心して。
それで、国民が勇者たちを倒せず、勇者たちが僕を倒せなくて期日が来た場合の結果を先に教えてあげるよ。僕はこの世界全ての人間をこの地上から全て葬り去る」
三上の言葉に俺は固まった。ただでさえ理解が追いつかないのに、こいつは今この世界全ての人間を殺すって言ったのか?どうやって?何で?三上は常に俺の想像を超えてきやがる・・・本当にこの男は何なんだ?
『さて、このゲームの勝者は一体誰になるのかな?また細かい説明は後日伝えるよ、細かいルールとかをね。でも、ゲームは今から始まる。さぁ、世界の命運を賭けた最悪のゲームの始まりだ!!』
『ブッツ・・・ン』
ゲームの始まりを告げ、テレビの電源が切れた。俺たちは何も言わずにしばらく固まっていた。みんなして考えたたんだ、何故こうなったのか、これからどうするのが一番良いのか。けど、考えが纏まらない・・・
「シィズ!!サクラ君たち!!今のは!!?見たのか!?」
そしてサムさんが息を切らして走ってきた。
「・・・あぁ、サムさん。俺たち、これからどうすれば良いんスか?」
これは多分俺が考えて出さなきゃいけない答えだ。けど、俺は何もできなかった、考えられなかったんだ。だから他人任せみたいな言葉が出てしまった。




