リメイク第二章 食事を愛する勇者はそれ故に決める覚悟と信念
「くっ!!この魔法はっ!?」
ワンコが防御に回った!すげーぞ麗沢!!
「ふぉぉぉぉぅっ!!!」
麗沢が再び突っ込み、ワンコとぶつかり合う。これ、麗沢が押してるのか?
「んぐぐっ!!このっ!!」
ワンコは麗沢の攻撃をなんとか捌いた。
「お?oh!!NOOOOOOO!!!!!!」
けど麗沢は何も考えてなかったのか、そのまますっ飛んで行った。
「アァァァァッッ!!!止めてくれぇぇっ!!でござるゥゥゥ!!!」
麗沢ゴロゴロと縦回転しながら、縦横無尽に周辺を転がり回ってる。
「わぁぁっ!!麗沢止まれっ!!こっち来んなっ!!」
「そんな事言われてもぉぉぉぅっ!!」
「・・・レイサワ、多分この異世界に来てから、突然の魔法の使用で身体がその変化に追いついてないみたい」
グレイシアさん!!解説は良いから早くあいつ止めて!!
「わぁァァァっ!」
「んぎゃゃぅっ!!」
麗沢は周りにいる軍人たちを次々と倒していく。
「くっ!!このままでは陛下の好きなこの街がまた燃えてしまう!!貴様!!止まれっ!!!」
「止められるのならば止めろでござるぅぅぅっ!!」
どっちが正義の味方かわかんねーな。ワンコは構え直し麗沢に向ける。
「行けぇっ!!」
「のほそほほのほほほほろろ!!」
衝撃波と麗沢の変な叫び声が響く。そして・・・
ぽいーん・・・麗沢が上に飛んだ、落ちて来た・・・
『どっかんこ!!!』
そして麗沢は護衛対象の筈の車にぶつかって停止した。
「はぁ はぁ・・・こいつ、何者だ」
ワンコは息を切らしてる。
「おい麗沢!?無事か!?てか、何やってんスか!!」
「むぅ、拙者もやりたくてやった訳じゃないでござる。突っ込んだらブレーキが効かなくなっちゃったのでござるよ」
麗沢は自分の足を頭の上に持って来た状態で止まってる。
「はぁ、やれやれッスね・・・ほら、立つッス」
「うむ、よっこいしょういち・・・」
『ガコン・・・・バダァァァンッッ!!』
「わぁっ!?」
麗沢が体勢を起こした途端、車のドアが外れて倒れた。
「お、扉が外れるとは!ふむ、拙者中々のものでござるな!キリッ!!」
「おらっ!少しは緊張感持たんか!!バカタレ!!」
俺は麗沢を小突いた。
「お?そう言えば結構緊張したからお腹が空いて来たでごさるなぁ」
「このっ!!あほんだらぁっ!!」
ポカポカポカポカ・・・・
「あいたたたっ!!先輩痛いでござる!!」
「うっさいやい!こちとら魔法もろくに使えなくて結構既にナイーブなの!!それなのになんスか!?あったりまえのように魔法使いっからかしてさーっ!!」
「いやそれはあまり関係が・・・」
ねーよ?確かに関係ねーよ!?けど、俺は今お前に腹が立ったんだ!!
「あの・・・」
あん?誰の声だ!?知らんな!!
「大体な!今だから言うけどよ、異世界に来ていきなり唐揚げってどう言う神経してんスかっ!?んで食後にピザってよぉ!!」
「そんな事言われましても・・・腹が減るものは減るのでござる。腹一杯食べれる時に食べねば」
「だろーな!?こちとら今朝はくっそ塩辛い目玉焼きだ!!んでそれから修行しても魔法はポンコツだわ!剣もグレイシアさんに片手で止められるわ!もーなんなんスかっ!!」
なんか最初は麗沢への忠告だったのが、だんだん愚痴になって来た。ワンコは俺の嘆きにポカンとして攻撃して来ない。
「あー・・・結構気にしてたのね、それ」
後ろでシィズさんがぼやいたのが聞こえた。やっぱり俺ってめちゃくちゃしょぼいんじゃんっ!!なんで俺だけこんなんなんだよーっ!!
「け、けんかは いけないと 思います・・・」
「ぁ゛あ゛ん゛!?」
「ひいっ!!?」
俺は喧嘩腰に振り向いたら後ろのドアの向こうに避難する小さな影があった。
「あ・・・」
女の子の声だ・・・そうだった、ここには俺今の三人目の救出に来たんだ・・・なのにその護衛対象にめっちゃビビられた。
「おい金髪・・・いくら自身の実力が無いからと言って周りに当たり散らかすな。その後ろのは誰かは知らんが一応は女の子だろ?それなのにその姿は・・・男としての誇りは無いのか?」
ワンコに何故か叱られた。しかも煽る感じじゃ無くてガチトーンだ、俺があまりに大人気ないからか・・・
「す、すいません・・・」
俺は素直に謝った。
「まぁ良い、それよりもそこの太ったお前・・・さっきのは炎の魔法だろ?だが、我らヒィ一族に貴様のような奴はいない。この状況はあの時と少し似ているな・・・貴様、ニホンから来たのか?」
気付かれたっ!!なんだかんだで洞察力あるなこのワンコっ!!
「もはや隠す必要もあるまいっ!!其方の予測通りでござるっ!!拙者の名は麗沢 弾なりっ!!ネット上の名はレイダースとも言うっ!!因みにさっきの技は必殺!丸蹴汰斬でござる!!今考えた!!キリッ!!」
今考えるな・・・てかネーミング適当過ぎだろ。
「成る程理解できた、三人って訳か・・・そうなんだろ?サム!!異世界の存在が三人いた!それを先に見つければ、陛下への反撃の手段になり得る!そう言う手筈だったんだろ!?」
名前は馬鹿っぽいのに・・・そこまで読みやがった。
「っ・・・」
サムさんも歯を食いしばってる、この状況を打破する方法を考えてるんだ。
「だがその目論みは読みが外れたな。太った方は確かにそこそこの使い手だが、そこのもう一人はてんで駄目だ。我が最初に陛下と戦った時は我らが束になっても勝てなかったと言うのに、同じ存在だとしても才能と実力は天と地程の差があるらしい」
三上の奴、あいつもこいつと戦ったのか?それでその時点で既にめちゃくちゃな強さを持ってたってか・・・くそ、ずりーな!!
「ならば貴様らはこの世界の事をまだ何も知らないらしいな、こうしよう。異世界の者共よ、我らと共に陛下へ忠誠を誓うと言うのならば今回の件、見逃してやらん事もない。お前たちが我らの仲間になるのならば、もう二度とサムのような反逆など起こす気も無くなる。陛下も下らない処刑もする必要がなくなるかもしれん。破格の条件だと思わないか?」
思う、思うけどさ・・・
「いやでござる、キリッ!!」
俺が言おうとしたら麗沢が即答した。
「なんだと?」
「拙者は食事を愛する者、食事とは野菜であれ肉であれ、手塩にかけて育てた存在を頂く行為に違いはないのでござる。拙者はその育ててくれた者らへの、そして拙者の為に育ってくれた事への感謝をして頂くのでござる。
それが自分の身を脅かす程度で命を弄ぶ者とは拙者、一緒に食事などしたくないでござるよ」
麗沢の奴、昔以上にこだわりが半端なくなってんな・・・高校の時から弁当食べる時にアーメンとか言ってたし。
「ほう、ならば貴様はこのまま我らの敵となると言うのか?」
「駄目でござるか?拙者は食事をするときは必ず心に一切の曇りも無く、平穏な心で頂きたいのだ。少しでも揺らいだ心で食べた料理は例え五つ星のシェフの作る超一級のコースでも、心次第でそれはゴミに成り果てる。そんな勿体ない事は拙者絶対に出来ないでごさるよ」
「ふん、食材への感謝というやつか、それは中々良い心掛けだ。だが、それだけで身を滅ぼす事になるぞ?もう一度だけ聞こう、我らの仲間になれ」
「誰が何を言おうと、拙者は其方らの仲間にはならぬとここに来たときに決めた。拙者がこの世界へ来たのは一週間程前でござる。そこで数日間、拙者は水だけの生活を送っていた。そんな中、拙者はこの者らに救われたのでござる。そして彼らに拙者は一つのおむすびを貰った。何も入ってない、少し硬い塩おむすび。だが拙者にはそのおむすびはこれまで食べたどんな物よりも美味しく感じたのでござる。誰かを思って握られた思いは暖かく、心を穏やかにさせたでござる。
拙者は昔から食事を愛していた、だが拙者はまだ本当の意味での食材への感謝を知らなかったのだ。拙者は食事を通し、食べる意味、生きる意味を悟ったのでござる。其方にとってはそれだけの程度の事かもしれぬが、拙者にとっては食事とは命以上に価値のあるものでござる!!キリッ!!」
麗沢は剣をワンコに向かって構えた。めちゃくちゃな構えだけどな。そして俺は今少し反省してた、麗沢の奴、何も考えてないようで結構考えてたんだ・・・ここに来て誰にも見つからずに何日も水だけか、俺はまだ恵まれてたんだな。
唐揚げ山盛り食ってた程度で怒ってすまん。
「行くでござるよ!!ふぉぉぉっ!!!」
麗沢は奇声を上げて剣に炎を纏い飛んでった。
「またさっきの技か!!さっきは思いがけない攻撃だった故油断したが、二度目は効かぬっ!!」
「っ!!駄目だ麗沢!!よけろ!!」
俺の目にはしっかり見えた。このまま行けば見事なまでにカウンターを喰らう。
「おうっ!?」
「終わりだ・・・レイサワッ!!」
「ひょおっ!?」
え、
「は?」
突然麗沢が視界から消えた。ワンコの前には放たれた炎が何もない場所を燃やしてる。
「お?おお?」
「な、何が・・・奴は何処に!?声だけが聞こえ・・・」
「隊長!!上っ!!」
ワンコの部下で上を見たら、太陽が眩しい・・・けど、その太陽光の中に誰かが・・・
「ぁぁぁぁあああああ゛あ゛あ゛あ゛っ!?」
「くっ!!逆光が!!って なにっ!?キャウンっ!!」
ワンコからワンコな断末魔が聞こえた。そう、麗沢の攻撃が完了したんだ。と言うか、上から降って来た。なんつー幸運だ。俺が見た限りの今の麗沢の行動はこうだ。
さっきの要領で剣に炎を纏い攻撃する為に突進したまでは良いとしよう、その後だ。麗沢は石ころに躓いて回転しながら上空へと飛んでいった。丁度互いに炎を纏っていた為、いい感じにそれが目眩しになって麗沢が吹っ飛ぶ瞬間をみんなして見逃したんだ。
それでその後ワンコは麗沢を見失い、部下の声で上を見たがその方向には太陽が登って来ていてワンコは思わず手で顔を覆ってしまった。けどそこにはもう麗沢が落ちて来ていたんだ。麗沢はタイミングよくワンコをその太った体重で押し潰した。
「HAーHAHAHA!!参ったか!!今のが拙者の奥の手でござる!!この拙者による回転と太陽の二段構え!!技の名は・・・えーっと、『威流総麗の火斬!!」
当て字入れんなや、要するに太陽のピザじゃん。どんだけピザ好きなんだよ。イル ソーレはイタリア語の「太陽」って意味なんだって。こいつ、自分の技ピザ系統で縛りでもする気か?
まぁともあれ、ワンコをなんとか倒した。




