アクセサリーショップ
とても遅くなりました…すいません。
久しぶりすぎて登場人物の名前などを忘れてしまっているかたも居ると思いますので今回はなるべくルビを振っています
海底監獄から帰還した3人は早速ダミーの首輪を買うために上流家庭や豪商などが足繁く通う場所として有名なウォートリス地区にやってくる。
そこは、他国、自国両方から評判の高いアクセサリーや衣類を専門に取り扱う店や数百年の歴史を誇る老舗など貴族街にも出店している店も多く、観光としては一つの名所にもなっている有名な地域だ。さしずめ地球でいう銀座やロデオドライブといったところだろう。
そんな街にローブを羽織っていれば当然街の治安部隊にまず間違いなく目を付けられるのだが、3人が3人とも非常に整った姿をしているおかげなのとローブを現在着ているのはイーリスだけであり、ヴィヴィアンとワイスは上街で買い揃えた上等な服を着ているおかげで特に問題が起こることもなくウォートリス地区に並ぶアクセサリーショップを見ていく。
(首輪以外にも2人はこれからの長い付き合いの為にも何かの装飾品を贈りたいけど女性は何を貰えたら一番喜ぶんだ?あー、クソこんな事ならできるのかどうかともかくとして彼女の一人でも作るべきだったな…と、とにかく何か見ていれば思いつくだろう。最悪店員さんのセンスに任せてしまうのもアリだしな。)
インドア特有の女性経験のなさを今更ながらに恨みつつ、ひとまず最初のお店へと入っていくと、営業スマイルで一人の男性がやってくる。
二人にはアクセサリーの事を内緒にしておきたいので適当に見て回って気に入った物があったら言ってくださいと伝えてから最初に応対してきた男性の店員に首輪の事について聞いていく。
「いらっしゃいませ!何をお探しですか?」
「首輪…えっと、隷属の首輪に似たようなデザインの首輪はありますか?」
「隷属の首輪に似たデザインですか…?いえ、そのような物はございません。奴隷に付けるような品と似たデザインのアクセサリーなんかを作ってしまえば作り手は叩かれるだけですからそのようなデザインの首輪などありえませんよ。」
(あぁー常識的に考えてそりゃそうだな。かといってずっと付けたままっていうのもなぁ…)
「そうですか…それじゃあ200万ユノ以内でオススメの動きを阻害しないアクセサリをお願いします。」
「それではこちらなどいかがでしょうか?」
そう言われて渡された品物は金色の台座と枠にマリンブルーの綺麗な大粒の青色の宝石がはめ込まれていて職人の技を感じるの一品なのだが、それと同時に一目で高級品とわかるようなイヤリングでありこのような物を付けて治安が悪い下町に行ってしまえばまず間違いなく襲われるであろう。そしてなにより男から見ても二人に着けてあげたいとは思えるような物ではなかった。
「あー…そう、ですね。私としてはあまりこのような派手な物は好きではなくて、もう少し控えめな物はありませんか?」
「当店では華美なデザインを好むお客様が多いのでそのご要望にお応えするのは難しいですね。…つかぬことをお聞きしますがお客様は冒険者でしょうか?」
「はい。そうですね」
「少々お待ちください」
ローブの上から帯刀してはいるが、柄の部分がはみ出していて動きを阻害しないアクセサリの要望からイーリスが冒険者なのだと察したのだろう。しばらくすると何やら1枚の手紙のような物をもって戻ってくるのでそれを受け取る。
「これは女性冒険者の間では有名な【リンド】というお店の紹介状になります。冒険者といえど女性ですからやはり飾りたい気持ちもあると聞きました。ですが、冒険をするうえで何の効果を果たさない装飾品は動きの邪魔にしかなりません。しかし機能性を重視したような装飾品となると今度はデザイン性に劣ることがほとんどです。ですがここのお店は装備品としての高い効果を発揮しつつ、かつ装飾品としても優れていると有名なお店です。」
「そんなお店があるんですね」
「当然、それらの装飾品は他の装飾品と比べると価格がかなり高額になってしまいますが、お客様がご提案されたご予算ならば十分だと思います」
「なるほど…しかし何故そのような事をわざわざ?」
「お客様に当店の名前を覚えていただく為なのと、ここの店主は職人気質な方で自分が気に入った客でないとランクの高い装飾品を売らないことで有名だからです。お客様の容姿なら問題はないとは思いますが念のため渡しておきます。」
「(ははぁん?これは高ランク冒険者と勘違いされてるな?まぁ、Dランク冒険者がアクセサリーなんかに200万ユノもかけたりしないもんな。それにしても容姿…?どういう事だろうな。)わかりました、しっかりとここのお店の名前を覚えておきますね。それでは失礼します。」
「ありがとうございました!」
アクセサリー店を出た一行はさっそく紹介されたお店へと向かっていく。
ほどなく着いた場所は意外にも上街ではなく、下町と上街を分ける大門のすぐそばに建っていた。
恐らく冒険者が利用しやすく治安が一番良い場所としてここに店を構えたのだろう。早速店内に入るが意外にもその店主は比較的若い女性のようだ。
「あら!あらら!随分と可愛らしいお客さん達ね!これは驚いたわ!」
(お、おう?職人気質なんて言うから無骨な男性を思い浮かべたが…いやでも普通に考えておっさんが可愛いデザインをした装飾品を売っているなんて絵面的にかなりヤバいもんな。)
「これを受け取ってください。」
「あら、紹介状ね。でも安心して!私は可愛い子には可愛くて強力な装飾品を売るのが私の売り方なのよ!貴女達の名前は?」
「(あぁ店員さんが言ってたのはこういう…)イーリスです。」
「ヴィヴィアンと申します」
「ワ、ワイスです。」
「聞いた事のない名前ね…ランクはいくつ?」
「Dランクですよ」
「D?にしてはあの店の紹介状付きなのね。ちょっと剣を見せて頂戴」
「わかりました。…いえこっちのほうがいいですね。」
渡したのはインベントリから取り出したのを見られないように後ろに振り向いてから取り出したのは聖剣の方だ。
「これは…貴女何者なの?Dランクがこんな国宝級にしかみえない剣を持ち歩いているなんて冗談が過ぎるわ。本当のランクはいくつ?」
「訳ありという奴でして…このことは他言無用でお願いします」
「…まぁ、その容姿で冒険者なんてやっているんならわからなくもないけれど。わかったわ、私はこう見えても口が堅いのよ?任せなさい。…それであの店から紹介状を書いてもらったって事は金は問題ないのね?何がいいの?」
「200万ユノ以内で隷属の首輪に似た物を(…それと二人に合うアクセサリーを2つお願いします)」
「(首輪の方はわからないけど後のは任せなさい。)」
最後のほうはバレないように小声で店主に伝えると奥の二人に視線を移したあとにそのまま店の奥の方へと消えていく。
「これでなんとかなりそうですね。首輪が見つかったらすぐにそれは外してしまいましょう」
「あ、ありがとうございます」
「イーリス様、少しよろしいでしょうか?」
「どうしました?ヴィヴィアン」
「できる限りイーリス様の剣は晒さない方がよろしいかと…アルベルト様の持つ魔剣と同クラスの剣を持つ冒険者の存在は非常に脅威です。」
「ごもっともですね…この剣の異常さは私もわかってはいたつもりですが本当に必要な時以外は使わないようにしますね」
そういったやりとりをしている間に店主が戻ってきたようだがやや渋い表情をしている。
「ごめんなさいね、隷属の首輪によく似た首輪はなかったわ。やっぱりどうしても首輪に似ていると色々と問題が起きてしまうようね。(その代わり2人に合うアクセサリーは安くしてあげるわ)」
「そうですか…わかりました。それじゃあオーダーメイドを…」
「あ、あの!私このままでも大丈夫ですよ?」
「えっ?でもそのままじゃ…」
「私はイーリス様の事を信用しています。この首輪はイーリス様との主従関係をはっきりさせるうえでも私は大切にしたいんです。」
(主従関係って…俺はそんなつもりで買ったんじゃなくてただケモを愛でたかったんだがなぁ。)
「ううん…いいでしょう、ワイスがそこまで言うのなら首輪はそのままにしておきますね」
「はい、ありがとうございます!」
「あらあら、随分とワイスちゃんに好かれているのね?私としても可愛い子に種族差なんて関係ないから見ていてとても気分がよくなるわね」
「わかりますか?そうですよね、特に私はこの毛並みがとても気に入っているんですよ。」
「えっ…?えっえっ?イ、イーリス様?」
「ええ、よくわかるわよ。獣人族の子はあまり見たことはないけれどそれでも今まで見てきた獣人族の子の中でも頭一つ抜けて可愛いわ。こんな子が居たのなら私も買ったのだけれど…」
「あ、あの…もう…」
「ふふふ、ダメですよ?ワイスはもう私達の大切な仲間なんです。この毛並みを独り占めできるのは私だけです!」
「羨ましい限りね、ワイスちゃんもこんなにいい人に買ってもらえてよかったわね?…あら?」
「ええ!ケ…獣人族は最高なんです!…あれ?どうしました?ワイス?」
「い、い、いえ!な、なんでもありません!なんでもないのでもうこの話はやめにしませんか!?」
「は、はい…?どうしてですか?」
「ど、どうしてもです!」
ふと、突然顔を下に向けて手で顔を覆っているので不信に思ったイーリスがワイスに近付いて話かけると慌てて後ずさりながら無理矢理に話しの流れを断ち切るワイスであった。
次回はここまで遅くはならないとは思いますがこの先も以前ほどの更新ペースは難しいと思います。




