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ギルド本部

主人公の一人語りの部分を全てカッコ内だと読みづらいと思ったので今回から地の文を主人公の視点にしていこうと思います。

ただ、作者個人としてこの視点は苦手なのでいくつか3人称視点にもどったりするなど視点がコロコロ変わってしまうのは流してもらえるととても助かります…

ワイスのグラデーション状に変化した神秘的な髪といったワイスの可愛さをもっと店主に伝えようと思ったのだが、本人がどうやら恥ずかしいのか顔を真っ赤にして止められてしまった…仕方ない、じゃあヴィヴィアンの凄さを…ってあれ?なんでこの店に来たんだっけな。…あぁそうだ!二人に似合うアクセサリーも買いに来てたんだったな。まだ二人にはバレるわけにはいかないから…そうだな、ちょっと不自然かもしれないけど外で待っていてもらおうかな。


「すいませんが、ワイスとヴィヴィアンは外でちょっと待っていてもらえますか?」

「畏まりました」

「はい。」


 二人が店の外へと出て扉が閉まったのを確認してから、店主に向き直りさっそく贈る品を選ぶことにする


「それで、あの二人にはどういう品にするの?」

「そうですね…ヴィヴィアンは速さに、ワイスは攻撃力に特化しているんですが、その二人に合う効果、もしくは二人共当たる前に倒すか、そもそも当たることがない傾向のステータスなんですが、やはり防御に不安を残しているのでそれを補うことができる効果ですね。」

「なるほどね。…もしかしてあの二人は中位ジョブなの?」

「えぇと…まぁそんなところです。それより装備品をお願いします」


 店主はケモの良さをわかっているから悪い人ではないと思うがあまり最高位ジョブであることは言わないほうがいいかな。なんて言ってもケモ好きに悪い人は居ないからな!あの奴隷店主も首輪など繋ぎこそすれ出てきたどの子も健康状態は良さそうだったからな。まぁ、愛用の剣を見られてるから今更な所もあるけれど…


「あら、ごめんなさいね。ついつい気になっちゃって…冒険者に詳しいことを聞くのはタブーよね。それじゃ装備品の話に戻るけれど、攻撃と防御の両方の効果がある代わりに効果が低めなのと、どちらかに特化しているタイプ。どっちがいいかしら?見た目もそれぞれ変わるわ。」

「それじゃあその二種類ともとりあえず見せてもらえますか?」

「わかったわ。…これら四つが前者のタイプこっちの四つが後者のタイプよ。」


 そういってカウンターから出された物はネックレス、イヤリング、指輪、腕輪、髪飾りなど様々で八つとも上街で見た装飾品とは違って華美な装飾ではなく、地味めでありながらも装備品としての効果を持つ為なのか自然と目に着くような物だ。


「うーん、どれもこれも凄くいい物ですね、八つ合計だといくらしますか?」

「かなりするわよ?この八つは私が扱う物の中でもかなり強力な部類だから全部で300万ユノ以上はするわ。」

「300…払えなくはないんですが手持ちがかなり心細くなりますね…」


 これまでにもワイスを買ったり、孤児院に寄付したり、いい服を買い揃えたせいでもう400万ユノ切ってるからな。あぁー、ゲーム時代の倉庫が使えたらどれだけよかったことか…2億ユノは溜め込んでたし武器強化の素材や使わなくなった装備品なんかも取り出して売ることができたら金には一生困らなかったと思うんだけどな。

 まぁいつまでも使えなくなったものを欲しがっても仕方ないし諦めるしかないな。


「というより効果を高めるためにこの八つはそれぞれ二つ以上着けようとするとそれ以上着けようとすると破裂してしまうから持て余しちゃうわよ?」

「あ、そうなんですか…うーんどれも決めがたいですね、店主さんはあの二人には何が似合うと思いますか?」

「そうねぇ…こういうのは貴女が選んだ事の方を喜ぶと思うわよ?」

「うーん、じゃあ直感で!この4つをお願いします!」

「この4つね?それじゃあプレゼント用に梱包してあげるからちょっと待ってね」


 手馴れた手つきでくるくるとその4つを女性らしい可愛らしさのある包みに包まれていくの見ながら、渡すタイミングを考えていると、ふと壁にかけられた地球の頃でも見かけた家具が目が入る。


「これって時計ですか?」

「えぇ、そうよ。珍しいでしょう?」


 この世界においても時間は1日24時間と地球と同じ考え方ではあるが、時計というのは基本的に非常に高価な品で、まず貴族や豪商などの一部の物のみしか持つことのできない物となっている。

 理由は単純でその構造が複雑だからだ。現代の地球でも機械式時計というのは16世紀頃には携帯サイズにまで小型化されたがそれから何百年と経った現在でも安くて6桁はする品物で、まず経済面に余裕がなければ買えない代物だ。当然クォーツ時計やデジタル時計などはあるわけもないので全て機械式時計のみとなっている。


 なお、時計を持つことが出来ない一般市民は1時間に1度鳴る教会の鐘で時間を把握するか、教会の鐘がない農村や鐘が届かない街の奥地などは日時計を頼りに生活している。


「参考までに聞きたいんですがこれっていくらくらいですか?」

「これ私のお得意さんからのプレゼントなのよ。私の装備品で何度も命を救われたお礼にってね、ありがたい話だわ。値段を聞くなんてこの時計が気になるの?」

「ええ、機械式時計にはちょっと憧れていまして…。それにしても何度も命を救われるなんて凄い効果の装飾品なんですね」

「ふふ、ありがとね。素材自体は同じ品質でも効果は私の方が強い自信があるわよ?」


 流石のプロ意識ってとこか。慢心ではなく、確固とした評価と実力による自信の表れってことだろうな。むしろ自信のない店主の品物なんて不安しかないしな。

 しかし時計か。前の頃でも機械式時計にはすっごい憧れてたけど10万も時計には払えないからな…それに機械式の安い品は信用ならないって言うから買うに買えない品だったんだが、イーリスになった今なら!いつか絶対買ってやるぜ!


「はい、4つとも梱包が終わったわ。全部で160万ユノだけれどさっきの首輪を見付けれなかったお詫びと貴女達が可愛いさに気に入ったから特別にキリよく100万ユノに負けちゃうわよ!」

「ありがとうございます!またいつかここを利用させてもらいますね!」

「えぇ、待ってるわ。次は貴女のを用意しておくわね。」

「はい!それじゃあ失礼します。」


こうして目当ての品を購入してほくほく顔で店を出て行くイーリス。そしてそれを見送る店主の顔は良いものを見たと言わんばかりの表情をしていた。


「…ふぅ、それにしても可愛らしい子だったわ。顔付きはクールな印象を受けるのにコロコロと表情が変わる魅力的な子だったわァ…あんなローブじゃ味気なさすぎるし次来たときは着せ替えてあげたり私自慢の可愛い装飾品をつけさせてあげたいな…うふふ。これだから女の子専門の装飾品店はやめられないのよねェ。」



 そう呟く店主の顔は狩人のような目つきをしていた…



==============



「…ッ!?」

「イーリス様?どうかされましたか?」

「い、いえ。なんでもありません。次は現状のランクで潜れる階層では張り合いがないですしランクアップの条件を確認しにギルド支部…いえ、ここでいうと本部でしょうか?そこに向かいましょう。」


 まるで獲物を見つけた狩人に睨まれたような悪寒を振り払うようにしてやや早足気味にギルド本部へと向かう一行。

 歩く事数分、ギルド本部に着いたのはいいが今まで以上の視線の集中っぷり、しかもその視線の質の違いに戸惑う一行。


「ど、どうして皆さん私達を見るんでしょうか…?私がいるせいでしょうか?」

「いえ恐らくワイスだけのせいではないと思いますよ?…二人とも少し警戒していてください。」


 厄介ごとに巻き込まれる前にさっさと退散する為にギルドカード取り出して用件を伝えるとするか…男性のギルド受付が一番空いてるしさっさと終わらせる為にもそっちでいいか。


「Dランクのイーリスとヴィヴィアンです。次のランクアップ条件を確認しにきました」

「あっ!は、はい!それではギルドカードをお預かりします!」


 ギルドカードを預けて事務作業が終わるのを待ちながらイーリスは回りの視線に警戒心を強めていく


(この視線は最初顔を隠していなかった頃に感じた視線と同じだな…かといって今から隠した所でもう遅いし、このあとまたフードで顔を隠すにもヴィヴィアンやワイスの二人と一緒にいるローブ人間っていうのもまた怪しすぎるからこれはもう慣れるしかないか…。)


「え、えっとイーリス様はDランクなので次のランクアップには試験を受ける必要があります。なので試験資格を得る為の条件が以下の通りです。」


 えーっと何々?Dランク以上の魔獣討伐クエストのクリアもしくは一定数の討伐?あとは…採集系もしくは護衛依頼か。


「イーリス様は推薦状によりDランクからの開始となっていますが、依頼達成数がまだ非常に少なくCランクになるには冒険者としての知識や経験が不足しているのでそれらの経験を積むことで試験資格を得ることができます。」


 実力はあっても冒険者や依頼者との暗黙の了解といったルールの理解が薄くトラブルに巻き込まれやすいからそれを理解して初めて可能になるってことか。


「わかりました、それじゃあさっそくこの黎明草の採取依頼受注します。」

「承りました。見本は必要でしょうか?」

「まだ見たことのない薬草なのでお願いします」


 そのあともいくつかの討伐依頼などを受注し、受付を離れて急ぎ足でギルドを出ようとするが…


「よう嬢ちゃん。いまちょっとチラっと聞こえたがまだ依頼達成数が少ないみてえだな?なんだったら俺達が手伝ってやるぜ?」

「(なにがチラッとだよ、ずっとすぐそばで聞き耳を立ててたじゃねえか)いえ、結構です。それでは。」


 あまりにも即答、あまりにもバッサリと断り呆然とする冒険者達を置いてこれ以上はもう勘弁とばかりに更に歩みの速度を上げるイーリス達。

 そのまま建物を出ようとするがやはりそううまく行くわけもなく回りこまれてしまう


「おいおい、随分な嫌われようじゃないか。そんなにあからさまに避けなくてもいいんじゃないか?」

「ですから結構です。それでは。」

「ッ!おい!こっちが下手に出てりゃ調子に乗りやがって!俺様達を知らないのか?CランクPT「アンダードッグ」って言えば…おい!!」


 アンダードッグって…意味をわかっているのいないのか随分と滑稽なPT名だな。というかそのクソ気持ち悪い視線を向けながらうちの愛娘に布越しだろうと触れようとするんじゃない。とにかくその手はかわして…このまま立ち去りたいが相手がそうさせてくれそうにないな。仕方ない相手にするしかないか…


「…なんでしょうか?」

「なんだ?じゃねえ!Dランクのしかも女のくせして俺らを無視するなんて礼儀がなってねえんじゃねえか?」

「え?えぇ…そうですね、すみませんでした。それでは失礼します。」

「おい!…なめやがって!オラァァ!」


 はぁ…どうしてこうすぐに実力行使に出ようとするんだ。それにギルド内での乱闘騒ぎはしたらいけないってギルドから説明を受けなかったのか…?

 仕方ないな、触りたくもないがこのまま何度も殴りかかられては面倒だし軽く投げ飛ばして…の必要はなさそうだな。


「…貴方は今イーリス様に何をしようとしたの?」

「…ッ!クソッ!てめえその手を…離し…うおおおおォォッ!?」


 うわぁ、ヴィヴィアン容赦ねえな。腕を掴んでからの投げ技で綺麗に空中1回転をして派手な音をたてながら背中から落とされてるな。ありゃあしばらく痛みと衝撃で動けなさそうだ。


「助かりました、ヴィヴィアン。」

「いえ、従者として当然のことをしたまでです」

「それでも助かりましたよ。もう行きましょう」


 当然だけどヴィヴィアンも怪我はなさそうだし俺も触らずにすんで良かったし万々歳だな。さて、やりたいことも終わったから宿屋に戻って2人にアクセサリーをプレゼントしないと!…ん?


「クソッ!もう容赦しねえ!おい!囲め!」


 おぉ、もう立てるのか。流石はCランクか?


「へへへ…謝るなら今のうちだぜ?なァに、お金じゃないさ俺らだってDランクから巻き上げるほど鬼じゃねえよ。ただ一晩あんたら二人が相手をしてくれりゃぁ許してやるよ…ぐへへ…!」


 …あ?今なんつった?


「…そこの貴方。今の言葉すぐに取り消しなさい。」

「あぁ?なんだと?…ッ!「2度は言いません。次に私達をそういう目で見ればもう容赦はしませんよ?」


 再度問いかけるが男達は完全に萎縮してしまっている。イーリスがその膨大な魔力を男達にのみ意識を集中させて向けているからだ。いつしかの商人達にも有効だったので魔力を向けるのは殺気のような威圧感になるのではないだろうかと考えたからだ。


「あッ…あぁ…カッ…」

「…気絶してしまいましたか。はぁ…起こすのも面倒ですからもう行きましょう。」


 そのまま周りで様子を伺っていた冒険者達や本来止める役のはずのギルド員などは皆突然泡を吹いて白目のまま倒れている8人の冒険者達を唖然と見つめるままであった。 

機械式時計…とっても憧れます。でも10万くらいしないとすぐ壊れるので買えませんね…世界一高い時計マリーアントワネットという時計は50億するそうです。時計に50億ってなんかもうよくわからないですね。

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