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【書籍化決定】コミュ障の天才魔法使いは、王都の片隅でのんびりお店経営はじめます~魔法学園主席の少女は実力を隠して静かに暮らしたい~(旧タイトル:厭世の魔法人形屋)  作者: 八星 こはく
第四章 フィーネ・フェルナーへの依頼

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第65話 ノエルの魔法具

 翌朝、独立都市モンドの魔物調査任務が始まった。

 ローゼリア王国やリヨン王国に寄せられた情報としては、最近、各国とモンドを繋ぐ街道に魔物が現れることがあるそうだ。


 商品を積んだ馬車が襲われ、被害を訴える商人が増えているらしい。

 この状況が続けば、商業都市としての役割が失われてしまう。

 そうなれば、両国にも甚大な影響が出る。


(冷静に考えれば考えるほど重大な任務だよね、これ……)


 街を出た瞬間、ノエルがローブから大きな鏡と小さな水晶玉を八個程取り出した。


「すっごい‼ これ今、そのローブから取り出しましたよねっ⁉ ポケットそんなに大きくないですよねっ⁉」


 興奮したユーリアが大声を出すと、逃げるようにノエルがエドガーの背中に隠れた。

 だが、隠れたまま饒舌に喋り出す。


「こ、これは魔法鞄を応用して作ったローブなんだ。仕組みはほとんど魔法鞄と同じで、ローブの内側にあるポケットの一つから色んな物を取り出せる。理屈はそれほど難しくないし、常に魔力を使う必要もない。ただ作るのにはわりと時間がかかって高価にはなるんだけど、結構人気の商品でもあるんだ」

「凄いですね!」


 怒涛の早口を気にした風もなく、ユーリアは無邪気に拍手した。

 魔法具だと指摘された時は少し不安になったが、ユーリアが気にしている様子はない。


「ノエル。それより水晶の方を説明しろ。こいつらにも手伝ってもらいたいんだろう?」

「あっ、うん。あの、でも……」

「なんだ?」

「結構もう喋ったし、エドガーがやって……」


 弱々しい声で言うと、ノエルは彼の後ろで体育座りをしてしまった。

 魔法具の話ならいくらでもするのかと思ったが、そうでもないらしい。


(……いや、喋り疲れたっていうより、誰かに協力を頼むのが苦手なのかな)


 昨晩夕飯を食べる際に聞いた話によると、二人は幼馴染でノエルは昔からこの調子らしい。


「仕方ないから代わりに俺が説明する。この鏡は、結界内にいる魔物を見ることができる魔法具だ。この鏡に対応する結界は水晶玉を用いて張る必要がある。水晶玉に魔力を込めると、魔力量に反応して限界まで遠くに水晶玉が飛んでいく仕組みだ」

「……魔力量に応じて、自動的に結界の広さを決めてくれるわけか」


 ブルクハルトが頷く。魔法具に関しては、フィーネよりもずっと彼の方が詳しい。


「ああ。要するにこの魔法具の優れた点は、魔力量を感知して限界を教えてくれるところにある。人力だけで結界を張ろうとすると、魔力が不足した場合は精度が落ちるからな」


 一般的な結界魔法は、まず結界を張る範囲を確定させて発動する。

 エドガーの言う通り、魔力量が不足した場合は結界の精度が落ちるものだ。


 もちろん優れた魔法使いであれば、精度を保って結界を張れる範囲等理解しているが、便利な魔法具であることに変わりはない。


(でも、この魔法具の凄いところはそれだけじゃない……)


 水晶玉の一つを手に取りながら、フィーネは勇気を出して口を開いた。


「つ、つまりその、複数人の魔力を合計して、結界が張れるってわけですよね……?」


 魔法といえば、自分で魔法陣を描き、自分の魔力を用いて発動させるもの。

 お互いに魔法を使って協力し合うのはよくあるが、一つの魔法を複数人で発動させることはまずない。


「ああ。だから、余力を残しても広い結界が張れる。魔物の居場所が分かっても、魔力切れになっていたら意味がないからな」


 言いながら、エドガーはユーリアを除く三人に水晶玉を二個ずつ配った。


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