第26話 戦いの終わり
(終わった……‼)
安心すると、全身の力が抜けた。倒れそうになったフィーネを、慌ててユーリアが抱き上げる。
「大丈夫、フィーネ?」
ユーリアに抱えられるとホッとする。フィーネのそんな気持ちを見透かしたように、ユーリアもそっと微笑んでくれた。
「うん、なんとか……」
魔法人形を介して戦うのは想像していたよりもかなりきつかった。
しかも今回は、『派手に戦う』という普段なら考えもしない要素もあったのだ。
それに、戦闘は終わったが、魔法人形の操作自体はまだ続いている。若干の吐き気を覚えながら、フィーネは全身をユーリアに委ねた。
「ねえ、ユーリア」
「なに? 水でも飲む?」
「コカトリスの首、持ってきてくれない?」
ゆっくりと手を動かし、地面に落ちたコカトリスの首を指差す。
「あれを村の入り口に飾っておけば、しばらくは効果があると思うから」
知能が低い魔物も、さすがにコカトリスの死骸があればこの村が危険だと気づくはずだ。
だから、コカトリスの死骸だけは消滅しないように結界魔法を使ったのである。
「分かったわ」
フィーネをゆっくりと地面に置くと、ユーリアはコカトリスの首を回収に向かった。
重たい物を運ばせて申し訳ないが、もう自分で首を回収する力は残っていない。
なんとか自力で立ち上がると、ビアンカが近寄ってきた。
彼女も大量の魔力を消費して疲れたのだろう。汗をかいたせいで、前髪が額にはりついている。
「村の人達に声をかけてくるわ。英雄の戦果は、皆で褒め称えるものでしょう?」
「……うん、お願い」
ビアンカが結界を張ってくれたおかげで畑は無傷だ。それに、村人達が混乱することもなかった。
彼女がいなければ、フィーネが結界も張らなくてはならなかったのだと思うと恐ろしい。
「ねえ、ビアンカ」
「なに?」
「この村の人達みたいに……みんながちゃんと協力し合えてたら、あんなことにはならなかったのかな」
「……さあね」
怒りと諦めの滲んだ声で呟くと、ビアンカは皆を呼ぶために去っていった。




