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「カモミールをベースにブレンドのハーブティーを入れました。よかったらどうぞ」


「ありがとうございます。セリナさん」


 木製テーブルの上に熱い湯気の立つ白磁器のティーカップと共にお茶うけの焼き菓子を置けば、レイチェルはオレンジ色の身ごろ布を針と糸でぬい付けていた手を止めて、少し肩の力を抜いた。


「ルルとララも、あんまり根をつめすぎないでね。……本来なら、お休みのはずだったんだから」


「セリナ様こそ普段、働きすぎなくらいですから」


「私たちのことは気にせずに、ゆっくりなさってて下さい」


 こちらを気づかってくれる二人の前に琥珀色のハーブティーを差し出すと、双子は嬉しそうに白磁器のティーカップを持って口元でかたむけた。レイチェルも熱いハーブティーに息を吹きかけ、温度を冷ましてから口をつけホッと息をはいた。


「すごく爽やかな香りがします……。それになんだか飲むと落ち着きますね」


「カモミールはリラックス効果があるし、身体を温める作用や胃腸にも良いと言われていてハーブの中でも特に薬効が高いとされているからかしら」


「へぇ、そうなんですね」


「ほかにレモングラスやミントも入ってるのよ。レモングラスも健胃に良いと言われているし、ミントは胃の消化促進をうながすと言われているわ。どれも健康効果やリラックス効果が期待できるから、適度に休憩しながら作業してね」


「お気遣いありがとうございます。セリナさん」


 レイチェルはふわふわの髪を揺らしながら柔らかく微笑んだ。私も自分が入れたハーブティーに口をつければ白い湯気と共に清涼感のある香りが鼻腔へ抜け、目が覚めるようなハーブティーの味わいを舌の上で感じる。そして、淹れ立ての熱い琥珀色の液体がノドを通って胃を満たしポカポカと身体を温めていくのが実感できた。


「ハーブといえば……。ちょっと二階のテラスで植木鉢やプランターに水あげてくるわ」


「分かりました」


「どうぞ、ごゆっくりなさってて下さい」


 返事をする双子と穏やかに会釈するレイチェルをダイニングルームに残し、調理場に入ると水差しの中にたっぷり水を入れ二階へと上がる。


「それにしても左手だけで水を運ぶって何気にキツイわね」


 相変わらず右手は銅製ボウルがくっついて、はがれる気配がない。ゲンナリしながら二階につくと木製テーブルの上に水差しを置き、大きめで厚手のショールを上から羽織りなおす。


「うん。これだけしっかりショールを羽織ってたら二階のテラスで水やりする分には、道ばたの通行人から見られても問題ないわよね」


 肩から胸元、腕部分はショールで隠れているのを姿見鏡で確認してから水差しの中でなみなみとたゆたっている水に魔力を注入していけば『魔力入りの水』ができあがった。


 左手で水差しをかたむけて、テラスに置いていた銅製のじょうろに水を移してから鉢植えやプランターに水をそそいでいけば、かわいていた茶褐色の土が水を吸い込み、土の色を濃くしていく。不意に黒っぽくなっていた土からいくつか、小さな緑色の芽やごくごく小さな若葉が顔を出し始めているのが見えた。


「あっ! もう芽がでてる。……順調に育ってるのね」


 かなり育てやすいハーブの種を選んで購入したが、無事に芽が出たということはこのまま魔力水で育てても問題なさそうだ。私は安堵しながらテラスの植木鉢やプランターにたっぷりと魔力水をあたえた。

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