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レイチェルは双子が用意した炭火アイロンのフタを開けて、暖炉の中で真っ赤な炎をゆらめかせながら燃えている炭を金属製トングでつかんで炭火アイロンに入れる。じゅうぶんにアイロンが熱を持ったところで、待ち針で折り目をつけたオレンジ色の布地をアイロン台の上で伸ばしながら、しっかりとした折り目を作っていった。
さらに丸くふくらんだ布地の針山から銀色の針に糸を通し、まさに針子としての作業に取りかかろうとした時だった。ソワソワとレイチェルの作業を見つめていたルルとララが前に出た。
「あの、私たちもお手伝いできないでしょうか?」
「裁縫なら心得があります」
「お二人に手伝って頂けるのは助かりますが……。本当によろしいですかセリナさん?」
「うん。ルルとララさえ良いんだったら」
何しろ後でベルントさんとヴォルフさんが尋ねて来る予定だけど、いつ頃になるか分からない。服は早く仕上がるに越したことはないし、双子が作業を手伝うという申し出は私にとってもありがたかった。
「じゃあ……。お二人には、ソデ部分をお願いできますか?」
「はい!」
「了解しました!」
こうして、双子は右ソデと左ソデ。レイチェルはワンピースの身ごろ部分を針と糸でぬう作業に取りかかった。レイチェルはさすが本職のお針子だけあって動作に一切の迷いがなく布をぬう動作も素早い。一方、ルルとララもお針子のレイチェルには及ばないまでも、中々の早さで作業を進めていてスジが良いように思える。
それにしても三人が黙々と細い針と糸を使って緻密な作業をしているというのに、ワンピースを作ってもらっている私は手伝えることがなく、完全に手持ちぶさたとなった。熱心に作業を続ける三人をこのままボーッとながめ続けるというのはいたたまれない。
「私、ちょっとお茶を入れるわね」
「お茶なら私が用意を……」
「ううん。こういうのは手が空いてる人間がやるべきだから、私にやらせてちょうだい」
「セリナ様、大丈夫ですか?」
「お茶の用意くらいなら問題ないわ」
ルルが立ち上がりかけたが左手で制して、私はダイニングルームにある飴色の食器棚から白磁器のティーカップと対のソーサーを取り出す。
なにぶん、相変わらず右手には銅製ボウルがくっついているので何気に不自由ではあるが、銅製ポットに水を入れて火にかけて沸騰させ、白磁器のポットとティーカップに一度、熱湯をそそいで容器に湯通しする。次に熱湯で温めた白磁器のポットに入れたお湯をぜんぶ捨てる。
そして白磁器のポットにカモミールをベースにレモングラスやミントをブレンドしたハーブを銀色のスプーンで入れて熱湯を注ぎ、ポットの上から布をかけて茶葉の風味がしっかり抽出されるようにしばらく蒸らす。
次に熱湯を入れておいたティーカップからお湯を捨てて、金属製の茶こしを置いてポットからお茶をそそげば白い湯気と共に清涼感のある香りがただよう、琥珀色のブレンドハーブティーを淹れることができた。




