XIII(九州)
@九州連邦共和国鹿児島県薩摩硫黄島沖合―高度1500メートル
2月12日九州標準時刻1832時
〈国分!目を覚ませ!国分!〉
(…………?)
混濁していた意識が急にクリアになっていく。
国分が目を開けると、親友の日向の顔が目の前にあった。
〈大丈夫か?国分?一人で飛べる?〉
「た、たぶん」
どうやら、飛行中に意識を失っていたらしい。
〈よかった。……国分が墜ちていたら、一人っきりで飛ばなきゃならなくなっていたよ〉
日向は心底安心した様子で国分の下から移動し、国分の右側数メートルのところに移る。
「ここは?」
〈地上の観測点システムが死んでるみたいだからはっきりとはわからないけど、薩摩硫黄島のあたりのはずだ。高度は……1000メートル前後ってとこだと思う〉
「上昇する?」
〈無理だ。エンジンが半分死んでる。――それに、魔力も残り少ない〉
「ほかのみんなは?」
すると、国分の言葉に日向は目をそらし、いいにくそうに答えた。
〈はぐれた――墜落しているかもしれない〉
「……わかった。それよりこのあとどうする?」
〈…………〉
「日向?」
〈…………〉
「おい!日向!大丈夫か!?」
国分の問いかけに日向が反応しない。
唐突に日向のSAKURA-14のMF28魔導エンジンが停止する。
「まずい!」
日向の身体が失速し、海面に向かって下降を始める。
その様子を見て、国分は日向に何があったのかを悟った。
意識を失ったのだ。
国分は反転、降下。
日向の身体にSAKURA-14がぶつからないように注意しながら海面すれすれで受け止める。
日向を受け止めると、国分は飛行を再開する。
しかし、あまり速度も高度もでない。
国分も連戦で消耗しきっていたし、飛行鞄もかなり性能が低下している。
しかも、自分の武装以外に、意識を失った人間とその飛行鞄、武装まで抱えているのだから当然のことだ。
「(……必ず帰ろう)」
国分は意識を失った日向に向かって小さく呼びかけると、自分の武装であるMG42改を三点シリングからはずし、棄てる。
さらに1つだけ残っていた250発マガジン、副武装のM92Fの予備弾倉も1つ以外は放棄。
さらに国分は苦労して日向の飛行鞄のベルトからM2重機関銃を外し、予備弾倉も棄てていく。
国分が棄てた武装が、次々と暗い海へと吸い込まれていった。




