第15章:初めての襲撃、そして一撃崩壊 (その 4 )
ようやく、外の世界がはっきりと見えたこの女性に抱かれていたおかげで。さっきまでは高すぎて見えなかったあの窓も、今は彼女の腕の中から完璧に見えていた。
「なんてこと、この家、一体どうなってるの?!」
俺を抱いている女性は、木材が散乱し、屋根に大きな穴が開いた家の惨状を見て、パニックと困惑の表情を浮かべた。
「わあぁ、まま、あにゃ、あれぇ」
俺は窓の外を指差し、強い好奇心に目を輝かせながら彼女を見上げた。
「ん?」
彼女は俺が指差す方向を見た。「あれは……うーん、大丈夫よ、可愛い子」
彼女は頭を俺の頭に寄せ、額と額を触れ合わせながら、俺を抱き寄せた。
「あれはただのマンモスよ、怖がらなくていいからね? ママがついてるわ」
「うわぁぁあ……」めちゃくちゃかっこいい。本当にでかいな。マンモス……ああ、マンモスか。
俺は驚いて目を細め、ふと何かに気づいた。
え……ちょっと待て、それって前世で存在してて、もう絶滅したはずの動物じゃないのか?
前世では、マンモスといえば厚い毛皮と湾曲した牙、それにまさに今目にしているような鼻を持つ巨大な草食動物で、何千年も前に絶滅していたはずだああ、そうか、自分が転生したんだったと忘れてた。
「でかい」って言葉で表現されるものが、現実にこれほど本当に途方もない大きさになるとは、想像もしていなかった。え……一体全体、ここで何が起きてるんだ? だが、普通のマンモスとは何か違うようだった。体型は確かに、俺が知ってるマンモスに似ている巨大な体、厚い毛皮、長く湾曲した牙。だが同時に、尻尾にもう一つの頭があって、それが激しく動き回っていた。
ふむ、ってか、こんな時にあの男はどこにいるんだ?! 窓の外を呆然と見つめた後、俺は視線を女性へと戻した。「まま、ぱぱ、どこぉ?」
「パパは……」
彼女は一瞬、何か心配事を考え込むように黙り込んだ。だがすぐに、さっき途切れた言葉の続きを話し出した。
「あなたのパパは今、ここのみんなと一緒に、あの魔物と戦ってるのよ、いい子ね。心配しないで、ちゃんと帰ってくるから、ね?」
彼女は左手でそっと俺の頭を撫でながら、額にキスを落とした。
俺は再びあの魔物の方へと視線を戻した。
え……あの体、村の家より大きいじゃないか。なぜか、落ち着かない気持ちがこみ上げてきた。もしあの男や村人たちが負けたらどうする? いや、俺が何かしなきゃいけない。あいつを助けないと。あの魔物、あまりにもでかすぎる。勝てるかどうか分からない。俺に何ができる? 思考がさらに深まっていく。だって、ここは異世界なんだろう?
それに気づいてすぐ、俺はもう一つのアイデアを思いついた。だがそれは、少し馬鹿げているかもしれなかった。
ふむ、試しにあの魔物の方へ手を伸ばして……いや、正直言って、どんな攻撃にすればいいのか全く見当もつかない。だが、前に読んでた小説を思い出すと、よく火の玉を放って攻撃してたな。
元科学者として、俺は魔法というものを単に「まだ解明されていない科学」として捉えている。
もし前に読んだ小説にあったような火の玉を作りたいなら、完璧な化学反応が必要だ。うまくいくかどうかは分からないが、まあ、少なくとも試す価値はある。
まず、空気中の湿気から水素分子と物質を分離・収集し、燃料として使えるよう思い描くところから始めた。それを密度の高い球体に圧縮する。次に、それを濃縮した大気中の酸素で包み込み、究極の酸化剤として機能させる。あとは、熱のきっかけ巨大な発熱連鎖反応を引き起こす、ほんの小さな火花だけが必要だった。
俺はその一連の構成が自分の手のひらの上に収まっているところを思い描き、あの高反応性の分子が今にも轟く炎となって爆発する寸前の状態にあるのを想像した。そして―
「アレックス? どうしたの、可愛い子?」
その女性が優しく尋ねた。俺が遠くへ向かって手を伸ばしているのを見てのことだった。彼女には何も感じ取れなかった。彼女にとっては、たぶん俺があの大きな魔物を見て怖がり、ぼんやりしているように見えていただけだろう。
俺はあの魔物に視線を固定させたまま、迫りくる燃焼反応に思考を巡らせていた。
これは何と呼べばいいんだ? ファイアボールか? それともインフェルノ……? ああ、まあいい。
インフェルノ。
ヒュンッ……パチッ……パチッ……ドゴオオオンッ……
プルルルァァァ。
突然、何の前触れも警告もなく、巨大な火の玉が俺の手のひらから放たれ、家の外を突き抜けて、まっすぐあの巨大な魔物へと突っ込んでいった。そして、あのマンモスは苦しげな鳴き声を上げた。
ん?……
地響きが即座にこの家に伝わり、一瞬の沈黙が訪れた。
え、ええええ?! うわぁ……な、なんだったんだあれは?! 火の玉が、俺の……手から出てきた……すげえ!! めっちゃかっこいい!!!
俺は目を見開いた。家の窓から見ていると、あのマンモスの腹にすぐさま穴が開き、生まれたばかりの巨大な傷から黒煙が立ち上っていた。それはあのマンモスの腹を、まっすぐ貫通していた。
待て強すぎる、強すぎるだろ。俺の火の玉があんなにでかくなるとは思ってなかった。俺、めちゃくちゃ強いのか?!
「……」
待てよ、爆発音は聞こえたのに、マンモスの体はもう煙を上げて、巨大な穴だらけになってる。さらに目を凝らして、まるで双眼鏡を使うように見てみると渦巻く煙の中で、高原が明るく燃え上がっているのが見えた。山が、俺の火の玉によって焼き尽くされていたのだ。
な―なんだって?!
その衝撃を完全に処理する前に、遠くから足音が轟き、この家へまっすぐ向かってくるような慌ただしい足音が響いてきた。
タッタッタッタッタッタッタ。
ドガアアン!!!
「あなた!」
玄関のドアが激しい音を立てて勢いよく開き、俺たちは反射的に振り返った。ジョージが戸口に立っていた。その息は、ひどく乱れていた。
「ジョージ? ど、どうしたのあなた?! びっくりさせないでよ、それにその慌てた顔、どうしたの?」
彼女は、ドアがあんなに激しく叩きつけられたことに驚きながら、俺を抱いたまま彼のもとへ急いだ。
「あなた!! 見たんだ……うちの家の方向から火の玉が飛んでいって、こっちにまっすぐ向かってくるのを。何か、大丈夫か?」はぁ……はぁ……はぁ……
彼の呼吸は、荒く乱れていた。
「え? 火……の玉?! どういうことなのジョージ?」
ラティーナは困惑した表情を浮かべた。
「そ……そうなんだ、その……火の玉が……」
彼は家の外を指差しながら、必死に説明しようとした。
「馬車くらいでかかったんだ! はっきり見たんだ! それに、少ししてから山の方角で爆発があって……」
彼の声は次第に小さくなっていった。まるで、自分が目にしたものを信じられなくなり始めているかのようだった。
ゴクリ……俺は唾を飲んだ。
待て、まさか……あいつが言ってるの、さっき俺が放った火の玉のことか?
ゆっくりと視線を動かすと、ジョージも振り向き、俺たちの目が合った。心臓が一気に激しく高鳴り始めた。
な、なんで俺を見てるんだ?! いや……そんなはずない。生まれたばかりの赤ん坊が、あんなでかい火の玉を撃ったなんて疑われるはずが……な、ないよな?
だが、見つめられれば見つめられるほど、彼の表情に、俺は落ち着かない気持ちにさせられた。
もしかして―俺に何か疑いを持ってるのか?
その男は、何かを疑っているかのように、俺をとても長い間見つめ続けていた。彼が何を考えているのか、俺には理解できなかった。
くっ……あの目つき、気に入らないな。あんな目で俺を見て、一体何を考えてるんだ? あ! また新しいアイデアが浮かんだ。もしかして、人の心も読めるんじゃないか? 視線を合わせたまま、俺はその馬鹿げた考えを弄んだ。試してみよう。
もし読心術が本当に存在するなら、それは特定の脳波の周波数で作動するものだと、俺は想像した。かすかな信号を拾うためには、感覚的な雑念を排除する必要がある。
人間の視覚は脳の処理能力をあまりにも多く消費するから、俺は本能的に目を閉じて、より深い集中を得ようとした外の世界を遮断し、その波長にすべての意識を集中させるために。
俺は目を閉じたまま集中を注ぎ込み、意識を強引に、俺たちの間の距離を越えて突き進ませた。周りの世界がゆっくりと減速していくように感じられ、周囲の物音が低い唸りへと消えていく中、俺は彼のその正確な波長を捉えた。
「……」
ああ、俺の息子は、俺の美しい妻に抱かれてる時、本当に可愛いな。二人がいてくれて、本当にありがたい。それに、俺の妻は本当に、本当にとんでもなく綺麗だ。と、彼は心の中でそう思っていた。
うぐっ……その想像上の緊張感は、一瞬で崩れ去った。俺はすぐさま顔を彼から背けた。もう完全にお腹いっぱいだった。
この男、想像してたよりひどいな。もう人の心なんて読まなくていいや。俺は内心でぼやいた。ああそうだ、別にやる必要はないけど、なんとなく褒めてやらなきゃいけない気がしてきた。まあいいか。
「ぱぱ、いー、よー、こおる!!」
俺は両手を挙げた。
息子からその言葉を聞いて、彼の目はたちまち輝いた。
「はぁあ! そうだろう!! パパは世界で一番すごい男だからな、ハハハ!」
彼は自分を指差しながら、誇らしげに胸を張って大声で笑った。
「おいで、おいでアレックス。パパが、ロクア村で一番かっこいい男を見せてやろう」
俺を抱いていた女性が、俺を彼へと手渡した。
うぐ……あのマンモスはどうした? まだ倒しに行かなきゃいけないんじゃないのか?! 俺はラティーナの方をちらりと見たが、彼女はただ、諦めたような笑みを浮かべているだけだった。
「ハハハ、見ろ、パパはお前を抱っこできるくらい強いんだぞ!」
彼は俺を高々と持ち上げた。
はぁ……さっき褒めるんじゃなかったな。本当に恥ずかしくなってきた。俺は一応、いい大人だったんだぞ、まだ良識くらいあるはずだよな? はぁ……まあいい。
そういえば、この村の話だが、ここはどこかの王国に属しているのか? 唐突に話題を変えて悪いが、俺が普段読んでた小説だと、大抵どんな村も、必ずどこかの王国の保護下にあるか、その所有物になっている。この村で兵士が歩き回っているのを見たことがない。それとも、まだこの家に閉じ込められてるだけで、細かいところまで見られていないだけなのか?
分からない。
「知ってるかアレックス……」
彼は俺に話しかけようとしたが、俺は無視した。
そのせいで、この世界の一般常識が気になってきた。例えば、世界の経済状況や地理について。前世では、エッフェル塔のあるパリがあった。時計塔のあるロンドンがあった。そして、その経済力で世界全体を支配する国が一つあった。
気になった。この世界にも、そういう国経済分野で全体を支配するような国は存在するのか。科学者になる前、俺は国の金融分野で働いて、自分の祖国の経済を向上させるという夢を持っていた。だが残念ながら俺は……まあ、基本的にはそれは実現しなかった。
俺はジョージの腕の中から、家の隅々を見渡した。そしてどうやら、この世界はまだ古代のような時代らしい。かまどを使い、火を起こすにも木と石を使うだけだった。
「アレックス!!」
彼の指が、俺のお腹の上で踊るように動いた。
「あーはーはーうぇー」
自分でも気づかぬうちに、妙な声が口から漏れた。
そうだな、それでも俺はこの小さな家族に、少しずつ愛着を感じ始めている気がする。前世では、本当の家族というものの意味を、俺は理解できていなかったから。
「パパは、世界で一番強い王様だぞ」
彼は誇らしげにそう宣言した。
「それに、この世のあらゆる悪をなくしてやる。パパは、悪い奴らを捕まえて、追いかけてやるからな」
はいはい、その気持ちだけありがたく受け取っておくよ。「ぱぱ、じょーくー! ぼく、ぱぱ、みたいに、なりゅ!」
俺は満面の笑みを浮かべながら、両手を挙げた。
「ハハハ、アレックス!!」
「ハハハ……」
ラティーナも笑った。
冗談と笑いが、この空気を穏やかなものにしていた。前世では、こんな感覚をずいぶん長い間味わっていなかった。そう、たぶん……俺は、この第二の人生を与えられたことに、少しずつ感謝し始めているのかもしれない。
って、待て、あのマンモスはどうなったんだよおい?!




