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ポーション作りの錬金薬師  作者: レモンティー


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第八十九話 寿命を売る商人たち

「百年長寿の秘薬! 今なら金貨一枚!」

王都の市場に、派手な声が響いていた。

赤い布を張った屋台には、金色の液体が入った瓶が並んでいる。

瓶には『世界一の薬師公認』と書かれた札がついていた。

「師匠、あんな薬、作っていませんよね?」

「もちろん」

リオンは屋台の前に立った。

「この薬は、誰が作ったものですか」

商人は二人を見るなり笑顔を作った。

「おや、薬師様! これは今、王都で大人気の長寿薬でして」

「製造記録と検査証明を見せてください」

商人の笑顔が固まった。

「そ、それは……」

ルーシェは瓶を一本手に取った。

「師匠。

成分を調べてもいいですか?」

「衛兵と組合の立ち会いでね」

商人は逃げようとしたが、すでに市場の衛兵が近づいていた。

検査の結果、瓶の中身には古い若返り薬に似た作用を持つ成分が含まれていた。

飲んだ直後に元気になったように感じても、後から体に負担が出るおそれがある。

「こんなものを長寿薬として売ったんですか!」

ルーシェが声を上げる。

商人は顔を背けた。

「買う人がいたんだ。みんな長生きしたいって……」

「だからって、危険なものを売っていい理由にはなりません」

その頃、中央病院には数人の患者が運ばれていた。

リオンとルーシェは医師と協力し、症状を調べた。

動悸、強い疲労、眠れないという訴え。

患者によって現れ方は違った。

「すぐに回復薬を追加するのは避けましょう」

リオンは医師に相談した。

「まず、何をどれだけ飲んだか確認します」

病室の隅で、一人の女性が泣いていた。

年配の仕立て屋で、名をセリアといった。

「どうして、あんなものを買ってしまったんでしょう」

ルーシェは隣に座った。

「長生きしたかったんですか?」

女性は頷いた。

市場から帰る途中、ルーシェは屋台の前に立ち止まった。

昨日まで金色の瓶が並んでいた場所には、もう何もない。

「空っぽになると、少し寂しいですね」

「また別の商人が来るかもしれない」

「そのときは、今日より早く気づけるようにします」

ルーシェは市場の管理人に、薬の表示と検査証明を確認する手順を渡した。

「孫が生まれたばかりなんです。

あの子が大きくなるまで、生きていたくて」

ルーシェは言葉を失った。

オルドと同じ願いだった。

違うのは、目の前に危険な薬を売る商人がいたことだ。

「私たちの薬は、まだ完成していません」

「……そうだったんですか」

「はい。

だから、今は体を休めて、先生の治療を受けてください」

病院を出る前、セリアがルーシェを呼び止めた。

「先生。

私、孫に何を残せるでしょう」

「どうしてですか?」

「長生きすることばかり考えていたけど、あの子に教えられることもあるはずだと思って」

ルーシェは女性の手を見た。

長年針を持ってきた指先には、小さな傷がいくつもある。

「仕立て屋さんなんですよね」

「ええ。

もう細かい縫い目は見えにくくなったけど」

病院を出る前、セリアがルーシェを呼び止めた。

「先生。

私、孫に何を残せるでしょう」

「どうしてですか?」

「長生きすることばかり考えていたけど、あの子に教えられることもあるはずだと思って」

ルーシェは女性の手を見た。

長年針を持ってきた指先には、小さな傷がいくつもある。

「仕立て屋さんなんですよね」

「ええ。

もう細かい縫い目は見えにくくなったけど」

病院を出る前、セリアがルーシェを呼び止めた。

「先生。

私、孫に何を残せるでしょう」

「どうしてですか?」

「長生きすることばかり考えていたけど、あの子に教えられることもあるはずだと思って」

ルーシェは女性の手を見た。

長年針を持ってきた指先には、小さな傷がいくつもある。

「仕立て屋さんなんですよね」

「ええ。

もう細かい縫い目は見えにくくなったけど」

「だったら、服を作る楽しさを教えてあげられます」

セリアは驚いたように目を見開いた。

「そうね。

小さな帽子くらいなら、今でも縫えるわ」

翌週、彼女は孫のために小さな帽子を縫い始めたという。

ルーシェはその知らせを聞き、心から嬉しくなった。

「だったら、服を作る楽しさを教えてあげられます」

セリアは驚いたように目を見開いた。

「そうね。

小さな帽子くらいなら、今でも縫えるわ」

翌週、彼女は孫のために小さな帽子を縫い始めたという。

ルーシェはその知らせを聞き、心から嬉しくなった。

「だったら、服を作る楽しさを教えてあげられます」

セリアは驚いたように目を見開いた。

「そうね。

小さな帽子くらいなら、今でも縫えるわ」

翌週、彼女は孫のために小さな帽子を縫い始めたという。

ルーシェはその知らせを聞き、心から嬉しくなった。

セリアは涙を拭った。

「こんな年になって、うまい話に騙されるなんて」

「大切な人と一緒にいたい気持ちは、恥ずかしいことじゃありません」

ルーシェは静かに答えた。

翌日、リオンとルーシェは市場の広場に立った。

集まった人々を前に、リオンははっきり告げた。

「私たちの長寿薬は、まだ販売していません。

今売られているものは、私たちの研究品ではありません」

ルーシェは製造元の確認方法と、体調が悪くなったときの相談先を説明した。

「瓶の色や値段だけでは、安全かどうか分かりません。

『公認』という言葉があっても、必ず確認してください」

群衆の中から声が上がった。

「じゃあ、本物はいつできるんだ!」

ルーシェは逃げずに答えた。

「分かりません。

安全だと確かめられるまで、売りません」

落胆する人もいた。

それでも、説明を聞いて検査を希望する人が列を作った。


夕方、商人の一人がリオンに近づいた。

「本物ができたら、俺たちにも扱わせてくれないか」

「品質を確かめ、責任を持って扱えるならね」

「金儲けをするなとは言わないんだな」

「正当な仕事に報酬は必要だよ。でも、命を危険にさらして儲けるのは違う」

その夜、工房にオルドから手紙が届いた。

『わしは薬を待つより、明日の畑を耕すことにした。

ひ孫のために、春の花を植えるつもりじゃ』

リオンは手紙を読んで微笑んだ。

「いい選択だね」

ルーシェは窓の外を見た。

偽物の薬は取り締まれても、長生きしたいと願う人の気持ちは消えない。

だからこそ、研究をどう続け、完成した薬をどう届けるか。

次の会議では、それを決めなければならなかった。

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