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ポーション作りの錬金薬師  作者: レモンティー


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第五十九話 世界一安いポーションを作る

「目標は銅貨一枚です!」

ルーシェが宣言した。

リオンは顔を上げる。

「ずいぶん安いね」

「高い薬を買えない人にも使ってほしいんです」

二人は腕輪の構造を見直した。

高価な銀の部品を木と陶器に替え、交換式の薬剤容器を共通規格にする。

検査石だけは品質を落とせない。

「これ以上安くできません……」

ルーシェが机に突っ伏した。

リオンは試作品を手に取った。

「本体を一人一個売る必要はないよ」

「どういうことですか?」

「病院や村で貸し出せばいい」

ルーシェは飛び起きた。

「そうか! 薬剤だけ交換すれば!」

量産した簡易薬剤容器は、基本的な治療用なら一回分を銅貨一枚程度で供給できる見通しが立った。

腕輪本体の費用は別にかかるため、村の共同設備として管理することにした。

最初の貸出先は、以前訪れた山奥の村だった。

村長が深く頭を下げる。

「これで、薬を買いに走る回数が減ります」

帰りの馬車でルーシェは笑った。

「師匠、薬って瓶に入ってなくてもいいんですね」

「大事なのは瓶じゃなくて、中身と使い方だからね」


量産の見積書を見た商人は、露骨に顔をしかめた。

「銅貨一枚? そんな値段じゃ利益が出ませんよ」

「一回分の薬剤だけなら可能です」

ルーシェは計算表を広げた。「本体は共同で使います。検査費も組合と分担します」

「故障したら誰が直すんです?」

その質問に、ルーシェは言葉を詰まらせた。

リオンが頷く。「そこが抜けてたな」

二人は村の管理係と相談し、交換部品を共通化した。修理できないときは使用を止め、代わりの治療を受けられる連絡網も作った。

最初の納品日、村長は銅貨を一枚、ルーシェの手に乗せた。

「この一枚で、孫が助かるかもしれないのか」

「必ず助かるとは約束できません。でも、安全を確かめた薬を届けられます」

ルーシェは正面から答えた。

村の女性が尋ねた。「お金がない人は、どうなるんです?」

「共同の備蓄から出します。あとで払える人が支える仕組みです」

村長はしばらく考え、頷いた。「それなら村で続けられる」

帰り道、リオンは窓の外の畑を見た。

「世界一安い、か。まだ世界中を調べたわけじゃないけどな」

「夢は大きく言ってもいいじゃないですか!」

「いいよ。ただし品質の記録は小さくするな」

ルーシェは笑い、帳簿の最後のページを開いた。

そこには薬の販売数だけでなく、薬が届くまでにかかった時間も書かれていた。

次の目標は、薬を必要とする前に人を守ることだった。

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