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ポーション作りの錬金薬師  作者: レモンティー


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第四十四話 町じゅうのポーションが同時に変色した

「師匠! 棚の薬が全部黄色です!」

ルーシェが駆け込んだ。

リオンは瓶を一本取り、窓際へ移動した。

色が濃くなる。

「外から来てる」

「毒ですか?」

「たぶん空気に混ざってる。まだ薄い」

二人はギルドへ向かい、風上の森で奇妙な霧が発生していると知った。

木こりたちは誰も体調を崩していない。

森に入ると、霧の中で診断薬が紫色に変わった。

「黄色じゃない!」

「反応が違う。これは毒じゃない」

霧の正体は、古い魔石鉱山から漏れた魔力だった。

人には無害でも、普通のポーションを急激に変質させる。

「町の薬が全部使えなくなるってことですか?」

「今のままならね」

リオンは町の薬師たちを集め、保存方法を共有した。

ルーシェは薬瓶の封印を一つずつ手伝う。

夜明けまでに大半の薬は守られた。

翌朝、薬師組合の長が深く頭を下げた。

「あなたの技術を、我々にも教えていただけませんか」

リオンは答えた。

「教えるよ。代わりに、失敗した記録も全部公開してほしい」


市場の中央にある共同井戸では、いつもより長い列ができていた。

「水が変な味なんだよ」

パン屋の主人が差し出した桶を調べると、薬液は黄色から茶色へ変わった。

「空気だけじゃない。水にも同じ成分がある」

リオンは町の地図に反応地点を記した。井戸、染物屋、病院、工房。風下ほど色が濃い。

ルーシェは屋根の上の煙を指さした。

「古い焼却場から流れてます!」

二人が駆けつけると、処分された失敗ポーションの瓶が炉の脇に積まれていた。管理人は顔を青くした。

「ただの廃液だと聞いていたんだ」

「ただの廃液でも、混ぜれば別のものになる」

リオンは焼却を止め、周囲の人々に屋内退避と換気の指示を出した。医師と組合が協力し、井戸を一時閉鎖する。

「全部の薬が黄色になったら、どれを飲めばいいんです?」

子どもを抱いた母親が尋ねた。

ルーシェは答えを急がなかった。

「今は色だけで判断できません。封を切らず、検査が終わるまで使わないでください。必要な薬は病院から確認済みのものを届けます」

夕方、風が変わり、変色は少しずつ薄れた。

だが薬棚の前で、リオンは首を振った。

「一度色が戻っても、安全とは限らない。全部検査し直す」

「もったいないですね」

「捨てた薬は作り直せる。失った命は作り直せない」

翌朝、ルーシェは町の掲示板に廃液の回収日を大きく書いた。

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