第三十話:噂を聞きつけた頭髪に悩む者たち
久しぶりに来たギルドにて…
いつも通りの静けさ――
のはずだった。
ドンドンドン!!
扉が叩かれる。
異様な勢い。
巨乳になった受付嬢
「何事!?」
ルーシェ
「え、なに!?襲撃!?」
リオン
「違うんじゃない?」
ドンドンドンドン!!
ルーシェ
「違わないですよこの音!!」
ルーシェは淡々と入り口の扉を開ける。
そこには――
頭を押さえた男たち。
帽子を深くかぶった者。
布で隠している者。
不自然に前髪をいじる者。
共通点は一つ。
全員、髪に悩んでいる。
ルーシェ
「うわぁ……圧がすごい……」
第一声
男A
「噂を聞いた!!」
男B
「毛髪に奇跡を起こせる錬金薬師!!」
男C
「髪が……髪が戻ると……!!」
群がる男たち
一斉に詰め寄る。
「本当か!?」
「いくらでも払う!!」
「副作用は!?」
「今すぐください!!」
ルーシェ
「ちょっと待ってください!!整理!!整理してください!!」
誰も聞いていない。
圧だけが増す。
リオンの一言
リオン
「静かに」
その一言で、
なぜか全員ピタッと止まる。
ルーシェ
「え、なに今の支配力……」
診断開始
リオンは一人ずつ見る。
リオン
「進行度は軽度」
「これは栄養」
「これは血流」
「これは遺伝」
ルーシェ
「一瞬で診断してる!?」
男たち
「先生ぇぇぇ!!」
ルーシェ
「先生呼びになってる!?」
リオン
「今日は特別に治療してあげる…」
条件
リオン
「ただし条件がある」
全員息を呑む。
「環境改善」
……沈黙。
男A
「……え?」
リオン
「生活、食事、睡眠」
男B
「薬じゃないの!?」
リオン
「薬だけでは不十分 いずれ同じことの繰り返しになる」
ルーシェ
「めちゃくちゃ正論!!なのに誰も求めてないやつ!!」
暴走気味の解説
リオン
「頭皮環境の安定が最優先」
「温度・湿度・血流の制御」
「必要なら局所環境を固定する」
男たち
「す、すごい……!」
ルーシェ
「感動してる!?」
リオンは小瓶を取り出す。
透明な液体。
やけに神々しい。
男たちが震える手で受け取る。
男C
「こ、これを使えば……!」
リオン
「数十分で変化」
結果(その場)
数十分後。
男の一人。
「……あれ?」
ルーシェ
「え?」
うっすら。
確かに。
産毛。
男たち
「うおおおおおおお!!」
男
「生えてる……俺……生きてる……!」
ルーシェ
「感動の方向がおかしいです!!」
歓声。
パニック
「俺も!!」
「次は俺だ!!」
「押すな!!絶対押すなよ!!」
「並べ!!」
ルーシェ
「列を作ってください!!秩序!!」
なぜか整列する。
ルーシェ
「ちゃんと並ぶんだ……」
リオン
リオンは淡々と配る。
「次」
「はい」
「これは濃度弱め」
ルーシェ
「流れ作業になってる!!」
気づけば――夕方
リオン
「需要がある」
ルーシェ
「ありすぎます!!」
最後の客が帰る。
静かになる工房。
ルーシェ
「……すごいことになりましたね」
リオン
「そうだね」
リオン
「明日もやる?」
ルーシェ
「やらない選択肢ください!!」
その日――
ギルドは、
“髪の救済拠点”として噂が確定した。




