第二十七話:ギルドにて
ギルドの扉が開く。
一瞬。
空気が止まる。
・沈黙
冒険者たちの視線が、一斉に集まる。
「……あれ」
誰かが呟く。
「王都帰りの……」
「錬金薬師のリオン……だよな」
「本物か……?」
ざわり、と空気が揺れる。
・受付
巨乳になった受付嬢が立ち上がる。
緊張した声。
「リオン様……ルーシェ様……」
一拍。
そして――
「王都の件、問題解決が正式に確認されました!!」
その瞬間だった。
・爆発
「おおおおおおおお!!」
ギルド内が一気に沸騰する。
椅子が鳴る。
酒場のグラスが揺れる。
誰かが立ち上がる。
「マジで成功したのかよ!!」
「毒消したってやつか!!」
「王都救ったって本当か!!」
歓声が連鎖する。
・熱
「やべぇ……」
「国家規模の災害止めたってことだろ……?」
「ギルド所属でこれって意味わかんねぇ……!」
興奮が止まらない。
・ルーシェ
(えっ……これ……こうなるんだ……)
予想外の反応に固まる。
・リオン
いつも通り。
「依頼更新は?」
・一瞬の静寂
「いやそこじゃねぇだろ!!」
誰かが叫ぶ。
再び爆笑と歓声。
・ギルドマスター登場
奥から重い足音。
ギルドマスターが出てくる。
顔が険しい。
だが――
目は笑っていた。
・ギルドマスター
「聞いたぞ」
低い声。
「王都の毒を止めたそうだな」
・リオン
「そうだね」
・ギルドマスター
一拍。
そして――
「……ギルドの歴史に刻まれるレベルの記録だ」
・再爆発
「うおおおお!!」
「やっぱやべぇじゃねぇか!!」
「ギルドから英雄出たぞ!!」
歓声が止まらない。
・ギルドマスター(続き)
「それだけじゃない」
視線が鋭くなる。
「発毛薬・美容薬・治療薬の効果も聞いている」
沈黙→爆笑
「は?」
「いや最後なんだよ!!」
「英雄なのに発毛薬って!!」
空気が崩壊する。
ルーシェ(小声)
「そこ混ぜないでほしいんですけど……」
ギルドマスター
しかし真顔。
「だが事実だ」
「国が動くレベルの技術だ」
周囲
ざわつきが一段深くなる。
「戦争級の錬金術師じゃねぇか……」
「でも日常系にも強いの何……?」
「汎用性バグってるだろ」
リオン
「依頼は?」
ギルドマスター
額を押さえる。
「お前は……本当に空気を読まんな」
リオン
「必要?」
ギルドマスター
「いらんが!!」
即答。
ルーシェ
「もうこのやりとり慣れてきました……」
ギルドはまだ騒がしい。
英雄を讃える声。
信じられないという声。
そして笑い。
だがその中心にいるリオンだけは、
いつもと変わらない。
「次の依頼は?ある?」
その一言で、
ギルドはまた一段うるさくなる。
「今それ言う!?!?」
「英雄のテンションじゃねぇ!!」
ルーシェは頭を抱える。
「ほんとこの人だけ世界線違う……」
リオンは気にしない。
ただ一つだけ。
次の条件を考えている。
“再現できる環境はどこか”
それだけだった。




