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ポーション作りの錬金薬師  作者: レモンティー


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第十六話 ギルドの受付嬢のお願い

「次の人――」

ルーシェが呼びかけた、その時。

カウンターの奥から、控えめな声。

「あの……」

振り向くと、ギルドの受付嬢。

いつも事務的に対応している彼女が、少しだけ言いづらそうに立っていた。

「どうしました?」

ルーシェが首をかしげる。

受付嬢は周囲を気にして――

少しだけ声を潜める。

「その……発毛薬、すごいですよね」

「まあね」

リオンは興味なさそうに答える。

受付嬢はさらに躊躇ってから――

「……あの」

一歩、近づく。

「胸を大きくすることも、できますか?」

一瞬。

沈黙。

ルーシェが固まる。

「……は?」

周囲の空気も止まる。

だが。

リオンは、ほんの一瞬考えて――

「できるよ」

即答だった。

「え」

ルーシェが思わず振り向く。

受付嬢の目が見開かれる。

「ほ、本当ですか!?」

「うん」

リオンは淡々と続ける。

「ホルモン調整と脂肪分布の誘導でいける」

「ただし」

指を一本立てる。

「副作用あるけど」

受付嬢は一瞬も迷わなかった。

「お願いします」

即答。

覚悟が強い。

ルーシェが慌てる。

「ちょ、ちょっと待ってください!?」

「副作用って何ですか!?」

リオンは少し考えて――

「体温上がる」

「あと、成長速度が一時的に不安定になる」

「場合によっては――」

少しだけ間を置く。

「他の部位にも影響出るかも」

「……他の部位?」

ルーシェの表情が引きつる。

受付嬢は一瞬考えて――

「……許容範囲です」

即決。

強い。

リオンは小瓶を取り出す。

「じゃあこれ」

「用法守って」

「はい……!」

震える手で受け取る受付嬢。

その様子を、周囲が見ていた。

「……まさか」

「発毛の次は……」

ざわざわと広がる空気。

ルーシェが小さく呟く。

「……これ、まずくないですか?」

リオンは肩をすくめる。

「需要あるならいいんじゃない?」

数分後。

カウンターの奥から――

「……あっ」

小さな声。

全員の視線が向く。

受付嬢が、自分の全く膨らみの無い胸元を見ている。

「……え?」

変化。

わずかだが、確実に。

「え、ちょ、え!?」

慌てる受付嬢。

ルーシェも目を見開く。

「本当に効いてる……!?」

服がはち切れそう。特に胸元が。

だが――

「……あれ?」

受付嬢が首をかしげる。

「なんか、ちょっと熱――」

「副作用だね」

リオンが淡々と言う。

「そのうち落ち着く」

受付嬢は戸惑いながらも――

「……すごい」

小さく呟いた。

その瞬間。

ギルド内の空気が変わる。

「……おい」

「まさか」

「美容系もいけるのか……?」

新たな欲望が、静かに芽を出した。

ルーシェは頭を抱える。

(これ、絶対広がる……)

リオンは気にしない。

「次の人」

いつも通り。

だが――

列の“種類”は、確実に変わり始めていた。

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