ツッコミを、手に入れたぞ
「は? え――」
「今度はせめて会話できる生物と出会えればいいのだがな」
「はぇ?」
「行くぞコウ、突っ立っていても始まらない」
「なんでお前そんな冷静なの?」
「だから言っただろう、昨日も来た」
「あれ本当の話だったのかよ! じゃあ何か? お前魔法使うゴリラと戦ったの? なんで生きてんだよ!」
「簡単ではなかったさ、だがゴリ子もいたからな――」
「ゴリ子って誰だよ! ってメスゴリラかよ!」
唐突に始まる異世界転移――一頻りツッコミを入れたコウは肩で息をしてうな垂れた。しかしすぐに力強く顔を上げ、大きく口を開いた。
「帰してぇ! お家に帰してぇ!」
「諦めろ。それとそんなに騒ぐな、誰が見ているのかわかったものじゃ――」
レンジがコウに目をやった瞬間、彼へと伸びる一条の凶線――レンジは手を伸ばし、コウの顔面に向け放たれた矢をすれすれのところで掴んで止めた。
「ひゃっ」
「まったく、どこのどいつだ?」
レンジの背中へといそいそと隠れたコウがひょっこりと背から顔を出し、矢が飛んできた方向に目をやった。
それを追うようにレンジもその方角に目を向けるのだが――。
「ぎょぎょぎょぎょぎょ」
「今度は魚か」
「あれ魚ぁ!」
青っぽい皮膚に鱗が数少ない光を反射しており、顔つきもどことなく魚の種族。
所謂魚人というものなのだろうが、その魚人が敵意むき出しにレンジとコウを矢で狙いながら睨みつけていた。
「ぎょぎょーぎょっぎょ!」
「あいかわらず何言っているのかわからんな。いっちょ捌いてやるか」
「お、俺はお前たちと違って戦えないからな!」
「いつも言っているだろうが――」
レンジは魚人へと意識を向けながらもコウに顔を向け、柔らかく微笑んだ。
「お前は俺の後ろにいろ、何があっても守ってやる」
「――」
コウがどこか釈然としない顔を赤らめ、頬を膨らませてレンジの背中を押した。
「……任せた」
「任された」




