異文化不可グッドコミュニケーション
「さすがにくたびれたな……」
レンジはその場に腰を下ろし、腕を天に上げ大きく伸びをする。
彼は口から流れていた血を指で振り払うのだが、その指からも血が流れており、組み合った際に指が砕けたかと肩を竦める。
「うほうほ」
するとレンジの隣にゴリ子がやってきて、そっと彼の指に毛むくじゃらの指を添える。
「む――」
「うほうほう~」
ゴリ子が何事かを呟くと、レンジの傷がたちまち消え、怪我1つなくなった。
「ゴリ子……お前もその形で後衛職なのか」
「うほぅ」
「いや助かった、また母にどやされるところだった。医療費も馬鹿にならんとこの間も叱られたばかりなのでな」
レンジがそうやって礼を言うと、突然ゴリ子が地に足をつけたまま、深く頭を下げた。
顔は伏せられていて見えないが、ぽたぽたと大地に吸い寄せられる雫に、レンジはふっと鼻を鳴らし、彼女の肩をポンポンと叩いた。
そしてレンジは満天の星空に顔を上げながら、ゴリ子の肩を叩きながら体の力を抜く。
「ゴリ子、胸を張れ。お前は成し遂げたのだ、勝者は力に溺れるべきではない。悲しみに暮れる時でもない。前を向き、明日へ歩み続けなければならんのだ。お前は勝者だ、未来を手繰り寄せる義務がある。だが――」
レンジは星空から視線を外し、大粒の涙を流して彼に目をやっていたゴリ子にニッと笑みを向けた。
「俺の隣でくらいならその涙を存分に流せ。誰にも言いやしない。言葉もわからんしな」
「うほ……うほぅ」
うんうん頷き、涙を流し続けるゴリ子を、レンジはただ慰めるように隣にい続けたのだった。




