決戦準備!
「うむ、似合っておるの」
「……なんか、リンちゃんと同じ系統じゃない?」
「気のせいじゃよ。大きさそれしかなかったんじゃ、もっとたくさん食べて大きくなりなさい」
レンジたちが最初にいた屋敷、そこはウィスパーの自宅らしく、家屋に入ったウィスパーが使用人を呼び寄せ、地下にあるという研究室からいくつかの衣装を持ってきてコウの着替えを手伝うように指示を出した。
その際、屋敷中に「俺男の子ですっ」という声がこだましていた。
コウは三角帽子をかぶり、真っ白なローブを青い海色のブローチで留め、膝上まである半ズボン、ニーソにブーツを履かされていた。
「……ねえレンジ」
「リンと同じ顔をしているんだから諦めろ」
「兄貴似合ってるよ! ところで――」
リンはコウの衣装を可愛いと褒めていたが、すぐにウィスパーに向き直り、本来笑顔とは攻撃的な云々な雰囲気の笑みでその老人を見つめた。
リンの胸には見たこともない金属で作られた胸甲、所謂プレストプレートを制服の上から取り付けられ、ただただ武骨であった。
「か弱いって言ったよね☆」
「リンちゃんくん突っ込むじゃろうが」
「突っ込むよ! じゃないと殴れない!」
「全身鎧じゃないだけありがたいと思いなさい」
伊吹兄弟がぶー垂れている横で、レンジが自身を指差す。
俺は? の意味である。
「レンジ君は別にいらんじゃろ。コウ君のローブも、リンちゃんくんのプレートもなかなか珍しい魔物の素材で作られた物じゃ、滅多なことでは傷もつかんじゃろ」
「……じいさん?」
「いやじゃからいらんじゃろ。どうせ避けるか当たっても大したダメージじゃないだろうしな」
スンとした顔を浮かべていたレンジだったが、ため息をついて拳を強く握った。
「まあいいだろう。それよりあいつら移動を止めたみたいだ、場所は特定できた。すぐに乗り込むか?」
「そうじゃな、出来れば派手にいきたいが――」
「ほ~、じいさんわかっているじゃないか。手を貸してやろう、じいさんのその魔法があればいくらでも演出できる」
「……のうコウ君、これ頼んで大丈夫かの? こんばんは死ね! みたくならんかの?」
「あ~……あの感じは――うん、大丈夫だと思う。本当にど派手に登場することしか考えてないよ多分。数人の犠牲は致し方ないかな」
「うむ、そうか……うむ」
「最近新たな王を迎えたのでな。あっちにいた時ずっと練習していてな、やっと披露できる」
「あ~……獣王シリーズかぁ」
「コウ君、頼んでよいのかね?」
「まあ、はいっ。信じましょう、相手の耐久を――」
あまりにも相手任せな後ろ向きなコウの言葉に、ウィスパーは頭を抱えるのだが、もうそれしかないかと諦めたようにうなずく。
「そんじゃあ行くかの――コウ君、リンちゃんくん、移動がてら、魔法のことを叩き込むから基礎だけは覚えてくれの」
「んっ、任せて」
「俺もついに魔女っ娘でびゅーっ」
それぞれがヤる気に満ちた表情で、その瞳に闘争心を奔らせる。
最早彼らを止められる者たちは存在しないだろう。




