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朱鷺海 恋慈の異世界⇔現代、拳で語れ!  作者: 筆々
3章 獣は幸運を憂い凛と鳴る

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20/24

シリアスの反動

「お前らやり過ぎだぁ!」



「……」



「……」



 数分後、ボコボコにされた3日目異世界第一住人たちを正座させて、レンジとリンが圧を放ちながら彼らの正面で眼前を睨んでいた。

 そんな状態の彼ら彼女らにコウは素早く駆けより、治療を始めており、特にひどい怪我を負っているイシュリと呼ばれた青年の頭を膝に乗せ、消毒液やら包帯で甲斐甲斐しく手当てをするコウ。

 そんな膝の上にいるイシュリ青年が弱弱しい口調で口を開き、コウの手をキュッと握る。



「天使――」



「眼科に行くことをお勧めいたしますぅ」



 コウがすかさずツッコミを入れて膝から彼の頭を落とすと、イシュリの顔面がまた大地に沈んだ。

 リンの鉄パイプが再度彼の顔に放たれたのだった。



「人の兄貴なに口説いてんの?」



「こらリンちゃん! すぐにパイプ振らないの!」



「……は~い」



 コウは治療セットを手に、先ほどのお髭の老人の下にまで行き、治療を始めると、申し訳なさそうな顔を浮かべる。



「君はきっと天使の生まれ変わりなんだね」



「あっ相対的にそう見えるだけで、あいつらの頭がとんでもなくおかしいだけですよ~」



 コウはニコリと老人に笑みを返すと、レンジとリンの傍に行き、2人の頭を掴んで謝るように言う。



「ほら2人とも謝りなさい。あっちの何か飛ばしてきた人はともかく、他の人は何もやってなかっただろ」



「敵だと思いましたぁ」



「一発撃っただけだろ!」



「大好きなお兄ちゃんがやられたと思いましたぁ」



「俺が立ち上がったところ見てたよね!」



 肩で息をするコウに、レンジとリンが揃ってコウの肩を叩き、生暖かい目を向けた。



「お疲れ」



「6点」



「――」



 コウは額に青筋を浮かべたが、すぐに息を吐き、改めて正座している面々に目を向けた。



「あ、あの、話し合い、話し合いをしましょう」



「わしはずっとそのつもりじゃったよ」



「本当にすみませんでした」



 老人は肩から力を抜くと、脚を崩そうとする。しかしそれをレンジが睨みつけ、老人は委縮してしまうのだが、すかさずコウがどうやって入っていたのかボストンバックからハリセンを取り出し、それでレンジを叩くと、ニコリと老人に笑みを向けた。



「う、うむ――まずは自己紹介からじゃな。わしは偉大なる魔法使い、ロード・ウィスパー」



「ろーどさん?」



「あっそっちじゃなくてね、君には飴ちゃんをあげよう。わしのことはウィスパーと――」



 ウィスパーが孫でも愛でるような空気感でコウに飴玉を手渡すと、リンが落ちていたイシュリの杖を拾い、それをレンジに向ける。



「えくすぺくとぱとなんちゃらー!」



「ぐわぁぁぁ!」



「あの、身内がアホで本当にすみません」



 1人だとまとも。2人だとシリアスもこなせる。3人だとアホになる。

 日野畑高校のれんこりん(・・・・・)、3人そろって学校が認めるほどの3馬鹿である。



「君も苦労してるね」



 そんな同情から始めるお互いの自己紹介。

 レンジの頭はすでにアホ一色であり、それに追随するリンもまた、とにかく楽しむことを重視しだし、それをまとめ上げるコウは腹を抑えて頭を抱えるのだった。

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