第96話 case 4-凄い佐々木
央吾と佐々木は胸が締め付けられるほど楽しく、極限まで心が弾む様な時間を過ごしていく。
休憩時間や昼休み、帰宅の時間は央吾にとっては鳥肌が立つ程の充実感であった。
央吾の心の生傷は佐々木の存在により、そのほとんどが結痂となり極々一部だが瘡蓋になり始めていた。
そして、更にビッグニュースが舞い降りる。
「佐々木さん、お待たせ」
いつも通り部活終わりにコンビニで待ち合わせ。
いつも通りスイーツコーナーで悩む佐々木に央吾が呼びかけた。
「央吾君、部活お疲れ様ぁ」
「また悩んでんの?」
本日のスイーツを何にするかで迷っている。
それもいつも通りの佐々木だ。
「そうなんだよねぇ〜、エクレアかプリンか…、でも、久々にモンブランも食べたいなぁ…とか思ってます、ハハ」
「じゃあ、俺も今日はスイーツにしようかな」
「ほんとっ?じゃあ2つ楽しめるね。央吾君決めてよ」
弾むように佐々木のテンションが上がった。
「いいの?ん〜〜〜、じゃあ…プリンとモンブランにします!」
「早っ」
食にさほど興味の無い央吾は即決だ。
「悩まない、悩まない。明日エクレアにすればいいじゃん」
「明日は明日で悩むんですぅ〜」
佐々木は頬っぺたを膨らませ、口を尖らせた。
「佐々木さん、烏龍茶飲むでしょ?」
「うん、烏龍茶はテッパンです。ん?央吾君、何かニヤニヤしてない?」
「分かるぅ??後で発表しまぁす」
「何?何?楽しみだなぁ」
烏龍茶を取り2人ともニヤニヤしながらレジに向かっていると、冷やかし野球部軍団が登場した。
「まぁた、イチャイチャしてるよぉ」
「あぁー、腹減ったぁー」
「出た出た、野球部軍団」
「オーゴ、お前も野球部だろ」
「佐々木さん、お疲れぇ。今日も塾?」
「ううん、今日は友達の家に皆んなで集まって宿題してた」
佐々木も毎日のようにこのコンビニで会う野球部軍団に慣れてきた様だ。
「宿題!?友達と?凄ぇなぁ」
「??、凄い?何で?」
佐々木は不思議そうに質問する。
「俺ら集まったら絶対ゲームか漫画だよな」
「あぁ、宿題するって決めてても無理だな」
「スラムダンク読みてぇー」
「そもそも勉強道具持って来ねぇだろ、お前ら」
「まず宿題をしようという発想がない、ハハハ」
「パワプロかウイイレか、くぅ〜っ、悩むぅ」
「…、…、…ハハ…」
佐々木は目を細め、おどけた冷ややかな目で野球部軍団を見つめている。




