第91話 case 4-烏龍茶
コンビニを出て左にあるベンチに2人は座り、買い食いを開始した。
昼休みに縮めた距離をそのまま、央吾の右肩と佐々木の左肩はゼロ距離である。
「からあげクン、いる?」
「いる〜、実は初めから狙ってましたぁ」
「ハハハハ、では特別に3個あげましょう」
「やったぁ、では私のシュークリームも半分あげましょう」
「ヨシッ、デザート確保」
央吾はおにぎりとからあげクンを口いっぱいに頬張った。
リスの様にモグモグしていると、スッと右側から差し出された烏龍茶。
「喉、詰めるよ」
キャップは既に開いている。
「むぇ?みーん?」(え?いーの?)
「ハハハハ何言ってるか分かんないよ」
央吾は差し出されたままの烏龍茶を受け取ると、グビッグビッと飲み、一気に流し込んだ。
「烏龍茶うまっ、ってかよかったの?」
「何がぁ?」
可愛らしさ満点のいたずら顔で佐々木が聞いてくる。
「だって、佐々木さんも飲むでしょ?」
「いいよ、だって彼氏だもん」
(ヤバッ!可愛い過ぎっ!)
「央吾君は気にする?」
「いっ、いやいや全然。もう一口頂きまぁす」
「烏龍茶おいしいよね、私はいつも烏龍茶なんだぁ」
佐々木は央吾から烏龍茶を受け取ると、一口グビッと飲んだ。
コンコン、コンコン
2人の後方から分厚いガラスをノックする音…
(しっ、しまったぁ〜)
央吾はいつもの癖で何も考えずベンチに座ったが、そのベンチの後方は雑誌コーナーであった…
振り向くとそこには、冷やかし野球部軍団が…、何やら身振り手振りをし、何かを伝えようとしている様だ。ジェスチャーゲームだ。
央吾と佐々木は解読しようとじっと見つめた。
「ん?…、…ペットボトル?…、…、開けた?」
「隣に渡して…飲んだ?…、…戻して…飲んだ」
完全に茶化している。
「全部見てたなっ!」
央吾の怒った表情を見て、ガラスの向こうでは大爆笑が巻き起こっている。
佐々木は笑いながらも顔が真っ赤だ。
「佐々木さん、ごめんね。あいつらバカだろっ」
「ハハ全然いいよ」
「そう?佐々木さんがいいならいいんだけど…」
野球部軍団が2人を茶化すようにゾロゾロとコンビニから出て来た。
「お前らさぁ、俺はいいけど、佐々木さんにはやめろよなっ」
「いやいや、目の前だったからさぁ」
「わりぃ、わりぃ、佐々木さんごめんね」
「全然大丈夫。ジェスチャーゲーム面白かったよ」
佐々木の顔はまだほんのり赤くなっている。
その後、2人はシュークリームを分け合い食べ終えると、佐々木を家まで送るため、野球部軍団とは別れた。




