第81話 case 4-告白②
(今から告白?)
ユージローの言葉に皆、動きが止まり凍りついた…
「マジッ!?やっぱ今から告るの!?」
ナオトはやっぱりバカでデリカシーがない。
しかし、そんなバカなナオトが居るから、皆冷静さを保てていた。
逆にこの場にナオトが居なければ、どんな空気になっていたであろうか…。
この重々しい空気…。重力が2倍…、いや3倍には感じていたであろう。
手を握られたままの央吾は当然だが、それ以上に戸惑い混乱していたのは、ユージロー目当てで集まっていた女子たちである。
まだ頭の中の整理が追いつかないのか、瞬きすらしていない。
それどころか、何処かに意識が飛んでしまったかの様に、唇に力は感じられず小指が入る程度の空洞が出来ていた。
多分、呼吸もしていない。
ユージローファン以外は口を真一文字に閉じ、固唾を呑み見守っていたが、ナオトは例外である。
ナオトは面白い物でも見る様に、ユージローと央吾の顔を交互に見ながら楽しそうにニヤけていた。
ユージローから発せられる言葉を今か今かと待っている。
小さな子供がサンタさんからのプレゼントを開けている時の様に目がキラキラしていた。
これは恐らくナオト自身も無意識であるが、膝はどんどん曲がり中腰になり、ユージローの顔を覗き込んでいる。
両手を前に出しては引く、前に出しては引くを繰り返しているそのさまは「来いっ、来いっ、早く言えっ」と言っている様だ。
ナオトの口元を見ると、音こそ出ていないが忙しなく動いている。
しかし、ナオトの事など視界に入っていないユージロー。その顔にだんだん力が入ってきた。
口を閉じたまま歯を食いしばっているのが手に取るように分かる。
…
スーーーーーーーッ
…
ッハーーーーーーー
鼻から大きく息を吸い、一気に放出した。
「俺は、今から、告白する。お前はどうする?」
「い、いや…どうするって?ちょっと意味分かんねぇけど、無理だろ、普通に考えて」
「そうか」
ユージローは央吾の手をスッと離すと、右斜め前へ3歩進んだ。
「…、…、…すっ!…すっ!好きですっ!ミオさんっ!お、俺と付き合って下さい!!」
(((そっちかぁーーーーいっ!!)))
「そっちかぁいっ!!」
ナオトだけが声に出していた。
ただこの時だけは、全員の気持ちを代弁していたため、皆感謝していた。
ユージローは央吾に告白するのだと…
ユージローはゲイだったのだと…
誰もが勘違いしていた。
ユージローファンはホッとしたのも束の間、またもや戸惑い焦っていた。
憧れのアイドルに彼女が出来てしまうかもしれない瞬間であるからだ。
ゲイ?と勘違いしていたさっきまでとは違い、かなり現実味のある状況に嫉妬し妬み悔しがっていた。
さっきまで幽体離脱でもしたかの様に、意識さえはっきりしていなかったが、しっかりと現実に戻されたのである。




