第79話 case 4-真面目かっ!②
ラストワンプレイで野球部軍団は同点にする事が出来た。
喜びのあまり輪になり肩を組む野球部軍団。
野球部側のギャラリーも飛び跳ね喜んでいた。
逆にバスケ部軍団は肩を落としていた。
慣れない裸足とは言え、バスケ部がバスケット対決で野球部に同点にされたのだ…
その時…
ユージローが何やら手を挙げている。
何かを主張している様だ。
全員の注目が一気にユージローに集まる。
「今のは俺のファウルだ。バスケットカウントワンスローだ」
ギャラリーも含めその場にいた全員が同点で試合終了だと思っていた。
そこにユージローは自らファウルを申し出たのである。
全員が思った事を一斉に口にした。
「「「「「真面目かっ!!」」」」」
ユージローは公平公正そのものだ。
バスケットカウントワンスローとは、
シュートモーションの途中でディフェンスの選手からファウルされ、かつそのシュートが決まったプレイの事で、シュートは得点としてカウントされた上で、1本のフリースローが与えられる。
つまり、3点プレーとなる。
故に、央吾が放ったシュートが入り同点に。
更に与えられたフリースローを決めれば、野球部軍団の逆転勝ちである。
ユージローが自らのファウルを認めた事で、バスケ部軍団は負けの可能性が出て来たと言う事になる。
「まあ、さっきのはファウルだな」
「あぁ、しゃあねぇ」
「でもわざわざ言う事ぁねぇのに」
「ユージローだぞ?言うだろ?」
無知な野球部軍団は気付いていなかったが、バスケ部のメンバーはファウルだと勘付いていた様だ。
そして、央吾のフリースローが始まる。
さっきまでのバカ騒ぎは何処へやら…
体育館内は静まり返っていた。
ダムダム、ダムダム、ダムダム、ダムダム
央吾はゴールを見つめながらボールを床に何度もついている。
佐々木が見ていると言う事もあり、非常に緊張していた。
「いつもの感じでいけよぉ〜」
「確率どれぐらい?」
「80%ぐらい?」
「プロかよっ!そんなに高くねぇだろ」
「せいぜい50%ぐらいだろ、ハハハ」
「うるせぇなぁ、集中できねぇよ」
空気を読まない野球部軍団…央吾の集中を断ち切る様に自由に喋り出す。
「おいっ、早く打てよ。昼休み終わるぞっ」
ナオトは更に空気を読まない。と言うか、読めない。
「ヤバッ、この状況で急かすかよ普通」
「外しても、負けはねぇから」
「まあオーゴなら入れるっしょ」
「入れて当たり前だろ」
「外したら恥ずかしいぞぉ〜」
「無理そうなら、目つむれ」
「豊玉戦の流川かよっ」
「俺、目に膝蹴りくらってねぇから」
この期に及んで、プレッシャーをかけて来る野球部軍団。ただ、央吾はこのいつものバカなやり取りにより、少し緊張がほぐれた。
「静かにしろい」
央吾はそう言いながらシュートを放った。
膝から上半身、そして腕に力を伝え、最後にしっかり手首を返す。
そのフォームはバスケ部軍団も関心する程、綺麗であった。
ダダンッ!ダンッ、
ボールはリングとボードに当たった後、リングの上を這うように回っている。
「やっちゃったよ、外したよ」
ナオトが吐き捨てる様に言葉を投げつけた。
パサ、
「入ってんじゃん!」
「ナオトっ!この野郎ーっっ!」
「シャー!オーゴ!!」
「ハハハハハ、やったじゃん」
「俺らの勝ちだな、ギャハハ」
野球部軍団の勝利が確定した。
ギャラリーたちの大歓声かと思いきや、ナオトの放った一言のおかげで爆笑となり、感動的な閉幕とはならなかった。




