第76話 case 4-真面目かっ!
ユージローは一瞬何が起きたのか理解出来なかった…
「「バックターン!?」」
バスケ部軍団から驚きの声が上がった。
央吾はユージローの左手側から抜くと見せかけた後、瞬時にボールを体の後方に移し、ドリブルしながらターン。ユージローの右手側から見事に抜き去っていた。
しらけ始めていたギャラリーがドッ!と沸いた。
黄色い歓声も少々あった。
(バックターン?最初のドリブルで誘われてた?俺が手を出すタイミングまで見切ったのか…?そう言えばドリブルの時…左足を俺の方に出して来た…またスティールを嫌がっているのかと思ったが…、、、っ!もしかして、それが狙い!?…まんまと手を出してしまった…しかも、その左足を軸にターンしたのか?最少の動きだ…素晴らしい)
ユージローは振り向く前から分析を開始していた。
「やるじゃねぇかっ、オーゴ!」
ヤスベが手を叩きながら声をかけた。
ユージローが振り向くと央吾の背中は既に数メートル先。
しかもユージローの進路を塞ぐ様に、少し斜めにドリブルしている。
(俺から離れるのではなく目の前に…これではファウルでもしないと止められない…追い付かれる前提でのドリブルか…素晴らしい)
分析を続けながら央吾の背中を追うユージロー。
その時、ユージローは衝撃の事実に気付いた。
「は?裸足!?」
驚きのあまり、つい声に出してしまった。
「俺たちバッシュなんか持ってねぇもんな」
「遊びでやってるだけだからな」
「体育館シューズ持ってくるのも面倒臭ぇよ」
即座に野球部軍団が反応する。
「マジ!?」
「本当だっ!」
「気付かなかった…」
ユージロー以外のバスケ部軍団も今気付いた様だ。
そんな事はお構いなしに、央吾は勢いそのまま自分で切り込んでいく。
ゴールを一点に見つめたまま、レイアップシュートの体勢に入った。
すかさずバスケ部2人がブロックに入ると、それはもう壁の様だった。
それでも央吾の視線の先にはゴールしかない。
そのまま壁に突っ込むかと思った瞬間、フリーになったヤスベにパスを出した。
ヤスベはどフリーの状態でシュートを決め、ようやく野球部軍団が点を取った。
「キャ〜!」
ヤスベファンの黄色い歓声が体育館に鳴り響く。
(いやいや、確かにヤスベのシュートフォームもキレイだったが、今の一連のプレイで讃えられるべきはオーゴだ)
ユージローは央吾のバックターンからのドリブル、そしてヤスベへのノールックパスに驚きを隠せなかった。
「オーゴ、ナイスッ!!」
「バックターン大成功だなハハハハ」
「あぁ、ずっと練習してたしな」
「ノールックパスも良かったなぁ」
「そのまま突っ込むかと思ったぞ」
「宮城みたいだったろ?ハハハハハ」
「オーゴ、ナイスパス。でも点を決めた俺の事も褒めろぉー」
「どフリーだったしな、入れて当たり前だろ」
「おいっ!油断するなっ、もうボール入るぞ」
アキラが皆んなに注意をしたその時、
「ちょっと待てっ!ストップだっ、ストップ」
ユージローが試合を止めた。全員が注目する中、大きく真っ直ぐな声で、
「おいっ!俺たちも裸足でやるぞ!…フェアじゃないっ」
「「「真面目かっ!!」」」




