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人間体験  作者: hi07


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第75話 case 4-消えた央吾

ジャンプボールはユージローの勝ち。

バスケ部側のギャラリーからはそれだけで黄色い歓声が上がった。

逆に野球部側のギャラリーからは「あ〜」と、落胆にも似た、ため息が聞こえて来た。

9割以上がヤスベファンなだけに仕方がない。


「やっぱ、無理だったな」


ニヤニヤしながらコタニが再び煽る。


「うるせぇっ!身長差10cm以上あんだぞ」

「しゃぁねぇ、しゃぁねぇギャハハ」

「ちょっと、おしかったけどなぁ」

「まあ期待はしてなかったからハハハハハ」


野球部軍団が更に煽る。


「何だよっ、お前ら!点取ってから言えよっ」


央吾は佐々木の目の前で負けて少し恥ずかしそうであった。

しかし、ギャラリーや野球部軍団との反応とは真逆の感想を持ったのが、ユージローである。


(一瞬負けたかと思った…オーゴのジャンプするタイミングが悪かっただけだ…)


バスケ部内でもユージローに高さで勝てる奴はほとんど居ない。10cm以上の身長差を跳躍力で上回られたのである。

ユージローにとっては屈辱的な事であった。


あっけなく先制点を取られた野球部軍団。

央吾にボールが渡り、ドリブルしようとした時。


ユージローがビッタビタのディフェンスをして来た。


「え!?マジっ?近っ!」


央吾は全く動けない。それどころか振り向く事も出来ない。


「まるで山王戦の宮城状態だな」

「ダブルチームじゃねぇから違うだろ」


外野の野次がマジで鬱陶しい…


「いや、マジで動けねぇ」


パシッ


央吾はいとも簡単にボールを奪われ、そのままユージローにレイアップシュートを決められた。


「オーゴ、簡単に取られ過ぎだろ」

「いやいや、プレッシャーがエグいって」


ユージローからの激しいディフェンスは央吾に対し執拗に繰り返され、ボールを相手コートにすら運べないまま、10点を献上してしまった。


試合開始前はあんなにざわついていたギャラリーたち(特にヤスベファン)は、早くもしらけ出していた。


毎日の様にバスケをやっているが、それはあくまで遊びの範疇であり本格的なガチディフェンスを体験したのは初めてであった。


冷ややかなギャラリーとは対照的に、オーゴは燃えていた。本格的技術を見せつけられワクワクしていた。


「おめぇ凄ぇなぁ、オラ、ワクワクすっぞ」

「「悟空かよっ!」」


野球部軍団全員からツッコミが入る。


「んな事言ってる場合かよ」

「試合になんねぇぞ」

「オッケー、オッケー、次見てろ」


央吾にボールが入ると、またユージローのガチディフェンス。

すると央吾はユージローの左手側からドリブルで抜こうとしたっ。


ダムダムッ!


ボールが2回、コート打った瞬間ユージローの右手が伸びて来たっ。

ユージローの視界から央吾が消えていた。


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