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人間体験  作者: hi07


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第74話 case 4-山王戦開始

ギャラリーの女子たちがざわめき出した。


「昼休みが終わるまであと30分。20分勝負でどうだ?」


ユージローが真っ直ぐな声で提案して来た。


「片付けと教室に戻るまでの時間まで計算してるよ」

「真面目かっ」

「片付けに10分もいらねぇだろ」


ユージローは非常に熱く、真面目である。


「オッケー、それでいいよ。じゃあ、あの時計で50分までだな」


体育館の時計を指差しながら、ヤスベが楽しそうに返答した。


「ヤスベ、格好つけるなぁ〜」


スタメン落ちした、ナオトがやじって来る。


「格好つけてねぇよ、外野は黙っとけっつうの」

「俺、サードだけど?」


ナオトはやっぱりバカだ…。

皆んなナオトの方を向き、手を合わせて拝んでいる。(可哀想に…今のは野球の話じゃないよ)


「おいっ!何だよそれっ!何か分かんねぇけど、皆んなでバカにしてるだろ」


ギャラリーたちもクスクス笑っている始末。


「ジャンプボール誰が行くよ?」


ヨータが野球部軍団に聞くが、誰も動こうとしない…行きたがらない。負けるのが分かっているからだ。


ジャンプボールとは試合開始の合図であり、

センターサークルで両チームの代表者がジャンプし審判が上げたボールをタップする事で、試合開始となる。


「オーゴ、俺と勝負だっ」


ユージローからのご指名が来た。


「えっ?俺…?何で俺だよ?」

「いいじゃねぇか、誰がやっても結果は同じだしな」


野球部軍団の中では一番身長の高いコタニが少し煽る様な言い方をした。


「よぉし、やってやるよ。ジャンプ力ちょっと自信あるからな」


央吾は勝てる気はしなかったが、ユージローからの名指しとコタニからの煽りにより、少しやる気が出て来た。


「じゃあ、ミオさん。ジャンプボール上げてもらっていいか?」


周囲を見渡す事もなく、ユージローはボールを持った手を差し出した。


(ミオ?って誰?)


央吾はミオが誰か分からなかったが、ユージローが差し出した手の方向へ目をやった。


「わ、私が?」


(え?ミオって佐々木さん!?ミオって名前だったんだ)


「あぁ、頼む」


佐々木はかなり戸惑った様子だったが、他のギャラリーたちは早々の試合開始を待ち望んでいた。

その無言のプレッシャーもあり、佐々木はボールを受け取りにコートの中央へ歩み出た。


「真上に上げればいいんだっけ?」


「あぁ、真っ直ぐ上に頼む」


一気に緊張して来た央吾はその緊張をほぐす様に屈伸をしながら、


「ヨシッ、いっちょやってみっか」

「悟空かよっ!」

「ハハハハ」


佐々木が左手で口元を押さえながら、軽く笑った。


(ナイス、ナオト!佐々木さん笑ってくれた。ナオトのツッコミが無かったらスベってたかも)


「じゃあ、いきまぁす」


佐々木がポーンとボールを上げた瞬間に、央吾は軽く膝を曲げ、一気にその反動を力に変換し、それを真上だけに伝えた。

勝った!と思ったその刹那、ユージローの手のひらがグンっと伸びて来た。


「だぁー!クソッ!やっぱ負けたぁー」


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