第72話 case 4-挑戦状
翌日の休憩時間…
「お〜いっ、オーゴ〜」
次の時間の社会の宿題を必死で写している央吾。クラスメイトが呼んでいる。
「何?宿題中なんだけどぉ〜」
目線をノートから外す事なく、受け応えた。
「宿題中って、写してるだけだろ。でも、お客さんだぞ〜、女子の」
即、声の方を見る央吾。と同時に数名の女子の視線も一点に集中した。
そこには佐々木の姿があった。
「さ、佐々木さん」
央吾は一目散に駆け寄りたかったが、格好をつけて歩み寄った。
「どうしたの?」
「これ…、現像出来たから」
可愛い便箋に丁寧に入れられた写真を取り出すと、こないだの体育館での写真が2枚。
「おっ、マジ。くれるの?ありがとう」
「うん、でも…」
佐々木は何か言いたげに、恥ずかしそうにしている。
「ハハハハハ、俺顔半分写ってないじゃん」
「鼻血、押さえてたからね」
「恥ずかしっ、ハハハハハ」
「そんな事ないよ、私のせいだし…」
「いやいや、俺が鈍臭かっただけだよ」
…少し間があり…佐々木が続ける。
「また今度一緒に写真撮ってくれる?」
「も、もちろん。いつでも言ってよ」
「うん、ありがとう」
クラスメイト女子は「何あの子、誰よ」の興味本位と嫉妬を併せ持った視線を佐々木に送り続けている。
「今日も昼休みは体育館でバスケ?」
「うん、やってるよ」
「そう、じゃあ宿題頑張って」
「あ、うん。ありがとう」
佐々木はクラスメイト女子の視線を感じ取ったのか早々に教室をあとにした。
「誰?今の」
「央吾君、彼女いたの?」
「何組の子?」
クラスメイト女子から矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
「3組の佐々木さん。彼女じゃないよ」
「へ〜」
その「へ〜」は何か怪しいんですけど、と言わんばかりだ。
「何それ?」
クラスメイト女子が写真を指差し聞いて来た。
「あぁ、こないだ写真撮ったから。くれた」
「見せて、見せて」
「俺の顔、ほぼ写ってないけど」
そう言いながら2枚の写真を手渡すと、
「え〜、距離近いんだけどぉ〜」
「なんか、いやらしぃ〜」
「ねぇねぇ、また写真撮ろうよ」
「今、俺宿題中だから。また後で」
「私のノートよ。今撮らないと見せてあげないからぁ」
「え〜っ…」
宿題のノートを借りられないのは致命的である。
仕方なく、クラスメイト女子たちと写真を撮った。仕方なくとは言え、悪い気はもちろんしない。
「また現像したら、あげるね」
「あ、うん。ありがとう」
その日の昼休み、また佐々木と一緒に写真を撮ったが、クラスメイト女子と撮った時には全く無かったドキドキがあった。
以降、ヤスベのギャラリーとは別にオーゴのギャラリーも数名体育館に追加される事となる。
「おいっ、何かギャラリー増えてねぇ?」
「どうせヤスベファンだろ?」
「いや、こないだの佐々木さんいるじゃん」
「マジ?オーゴファン?」
「喋ってねぇでちゃんとディフェンスしろよ」
「ヨータのスリーポイントは届かないから大丈夫でしょ」
「何だとっ、今日は神だっ!」
パサッ
ヨータのスリーポイントシュートがキレイに決まった。
「イェーイ!」
「マジ!?凄ぇ!」
「おい、ちょっといいか?」
女子ではなく、男の声。
振り向くとそこにはバスケ部のユージロー。
「お前たち、皆んな野球部だろ?」
「うん、そうだけど」
バスケ部軍団は野球部軍団とは逆側でいつも昼休みに3on3をやっている。
そして、ユージローはヤスベと同様にフィーバー中のモテモテ男である。
当然、バスケ部側にもユージロー目的のギャラリーがいた。
「いつも見てるけど、皆んな上手いよな。バスケ部 対 野球部で試合しないか?」




