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人間体験  作者: hi07


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第71話 case 4-湘北カラーハンカチ

翌日、スグルが教えてくれた店の前で気合いを入れ、仁王立ちしている央吾がいた。


こんなお洒落な感じの店に入るのは初めてである。


「いらっしゃいませぇ」


店員全員がお洒落に見える。いや、間違いなく全員が完全にお洒落だ。


(高ぇ〜!全部高ぇ〜。スグルに言われてなかったら何一つ買えてない。危ねぇ〜)


元々、央吾は500円ぐらいで買うつもりだった…


店内をぐるりと見渡すが、佐々木から借りたハンカチと同じ柄の物は置いてなかった。


「これと同じ物ってありますか?」


何とか優しそうな店員を見つけ、持って来ていたハンカチを見せながら質問した。


「こちらは限定品ですので、今は販売しておりません。プレゼントですか?」


「あ、はい」


「女性へのプレゼントでしたら、こちらが人気ですよ」


示されたハンカチは茶色と黒のチェック柄。


(う〜ん、こんな色のチームねぇな)


央吾はやっぱりセンスが無い…


(この白と青は陵南だなぁ)


央吾も結局、頭の中はスラムダンクから離れる事が出来ない。


(まあ、やっぱりこれだろ)


悩んだあげく央吾が選んだハンカチは…


「これにします」


湘北カラーの赤と黒の柄だった。


店を出た央吾はなぜか誇らしげだった。

こんなお洒落な店でスグル無しで買い物出来た。

しかも、人生初の女子へのプレゼント。

約9倍程の予算オーバーではあったが…



月曜日の休憩時間…


央吾は佐々木へのプレゼントをポケットに入れ、3組を訪れた。

教室後ろ側の出入口で中の様子を覗っていると、すぐにタケシが気付いてくれた。


「オーゴ、どうした?」

「あ、あぁ、佐々木さんっている?」


こないだのお礼とハンカチを渡すだけ…ただそれだけだが、央吾は緊張していた。


「佐々木さぁ〜ん、オーゴ来てるよ」


タケシは悪気もなく、教室全体に響き渡る程の大声で佐々木を呼んだ。


「声でけぇよ。迷惑だろ」

「別に迷惑じゃねぇだろ」


「えっ?え〜!」


あたふたしながら佐々木が教室の奥から近付いて来た。

また顔が赤くなってる。


「な、何…?央吾君…」

「こないだハンカチありがとう」

「え?全然いいよ」

「借りたハンカチ洗ったんだけど…こんな感じで…、…」


央吾は申し訳なさそうに、汚れが残ってしまった海南カラーハンカチを佐々木に見せた。


「わざわざ洗ってくれたの?そのままでも良かったのに」


佐々木は恥ずかしそうに喜んだ。目線を下にやったり、上にやったり。たまに央吾と目を合わせるのが精一杯の様だ。


「あの後、すぐ水で洗って、家で洗濯もしたんだけど…ごめんね」

「いいのいいの、って言うか全然キレイになってるよ」

「え?まだ使える?」

「全然使えるよ」

「そっ、そっかそれなら良かった」

「持って来てくれて、ありがとう」

「うん。あ、あと…これ」


央吾は店でラッピングしてもらった湘北カラーハンカチをポケットから取り出した。


「…え?…私に?」


佐々木はMAX顔が赤くなり、少し涙ぐむ程の喜び様だ。


「血で汚しちゃったし、もう使えないかと思って…気に入ってもらえるかどうか分かんないけど」

「ううん」


佐々木は顔を左右に振り、気に入らない訳がないと主張した。


「大事に使うね」


「おいっ!オーゴ!時間ヤバいぞっ」

「え?わっ!本当だ…佐々木さん、それじゃ」

「うん、ありがとう」


ハンカチも返せたし、プレゼントも渡せた央吾は

一旦、一安心していた。


次、どんな口実で話しかけようか…そんな事ばかり考えている。

青春の真っ只中であった。


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