第69話 case 4-バスケがしたいです②
「おいっ、オーゴいつまでやってんだよ」
「3対2じゃ試合になんねぇだろ」
「女子とイチャイチャしてんじゃねぇよ」
振り向くと、そこには応援女子とは真逆の冷ややか男子と冷やかし男子がいた。
「イチャイチャはしてねぇだろ」
央吾はすぐに言い返すが、
「顔がにやけてるよぉ〜」
「そりゃ鼻血止まんねぇわ」
「早くバスケがしたいです」
「ハンカチ、海南カラーじゃん」
やっぱり考えてる事一緒だ…
「海南ハンカチが湘北色に染まってるよ」
「バカッ、変な事言ってんじゃねぇよ」
バカ男子達と変な掛け合いをしていると、
「ごめんね、ありがとう」
そう言い残し海南カラーハンカチ女子たちは走ってどっかに行ってしまった。
「オーゴ、今の誰?」
「いや、俺も分かんねぇ」
「佐々木さんだろ」
「タケシ、知ってんの?」
「同じ3組だよ。テニス部の佐々木さん」
「何だよ、オーゴばっかり」
実は央吾は高校入学後、プチフィーバーしていた。
入学早々、告白もされていた。
(入学当初)…
「央吾君、ちょっといいかなぁ」
部活帰りにコタニ、ヤスベと一緒にコンビニに行こうとしていた央吾を呼び止める声。
そこには校門の前で待っている女子2人。
「ん?俺?…何?」
1人の女子がもじもじしながら一歩前に出た。
もじもじする事、数十秒…
「オーゴ、先行ってるぞ」
「ん?あぁ、」
コタニとヤスベはコンビニへ行ってしまった。
更に数十秒…
央吾はもじもじ女子と後ろにいる女子に繰り返し目線を送ったが、何の反応もない。
更に数十秒…
その子はずっと下を向いてもじもじしている。
その華奢な足は少し震えてる?
色、白っ。
「何やってんだよ、オーゴ」
後から合流予定だった、部室掃除の当番のナオトがやって来た。
ナオトは3秒程この状況を見守った後、
「何?告られてるの?告ってんの?」
ナオトはデリカシーがない。
小学校の時からだ。
始めはこの状況を分かっていなかった央吾も、薄々気づき始めていた事をズバッと言った。
「何だよ、呼び止められただけだよ」
「告られてんじゃん。で、どうすんの?」
「バカ、まだ呼び止められただけだって」
「あ、あの…」
もじもじ女子が意を決した様に喋り出した。
「1組の西田アキです。央吾君…つ、つ付き合って下さい…」
頑張って振り絞り出した様な小さな声だった。
その頑張りに胸がキュッと締め付けられた。
「うぉ〜!やっぱり告られてんじゃん!」
デリカシー無っ!こいつやっぱバカだ。
「バカお前、もう行くぞ」
「ごめんね、えっと…1組の…西田さん…だよね。またちゃんと返事するから。こいつヤバいでしょ?」
「何だよ、オーゴ。俺ヤバくないよね?ねぇ?」
「もういいから、ごめんね」
ナオトの前で返事するのは色々リスクがありそうだと感じた央吾は、ひとまずその場を立ち去った。
仕切り直して、ちゃんと正式にお断りした。
…
と言った事があったり、クラスの女子からもそこそこ人気があった。休憩時間にはよく話しかけられたり、一緒に写真撮ったり、ノート写させてもらったり、弁当の唐揚げもらったり、隣のクラスから見に来る女子までいた。
…
「3組の佐々木さんか…」
「おいおい、オーゴがなんか浸ってるぞ」
「こないだの西田さんよりも可愛いかったな」
やっぱりナオトはデリカシー無し…
「ここでバスケやってて良かっただろ」
「バスケのおかげかどうかは分かんねぇよ」
「もう昼休み終わるぞ」
「明日もバスケがしたいです」
これは、西田アキからの告白の2週間後の事であった。




