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人間体験  作者: hi07


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第39話 case 4-くにおくんが…

世界の始まり神教の総本山は淡路島にある神社である。

伝説では世界で一番最初に出来た陸地らしい。

神様が雲の上から作り上げたのが今の淡路島。


その神様こそが、世界の始まり神教の祖であり唯一の神。

その末裔が現存しており、崇める対象である。

数千年前から伝わる石があり、その石に刻まれたランダムな線の延長線上には伊勢神宮や出雲大社、石清水八幡宮等々名だたる神社がある…らしい。


姉が小学校6年になった頃から高梨家の献金額が増加していく。


隣の家に住んでいた祖父母の家を売り央吾達の家に住む様になっていた。

祖父母はテンショウサマの部屋で寝ている。

2台あった車も売り、父は原付バイク、母は徒歩で通勤をするようになった。


央吾も学校から帰ると祖母の内職を手伝った。

冠婚葬祭の時に使われるお金を包む袋に、水引きを取り付け透明の袋に入れる、この作業を何百・何千・何万回と繰り返す。


「央君、いつも手伝いありがとう。今日はもういいから遊んで来ていいよ」


そう言うと祖母はいつもお小遣いをくれた。


「ばあちゃん、ありがとう」


央吾はお小遣いを握りしめ駄菓子を買い、友達の家に行きファミコンで遊ぶのが一番の楽しみだった。


「オーゴおせぇよ」

「次俺だから、俺の次な」


ヨータの家に着くと、スグルが来ておりマリオブラザーズをやっていた。その横でオサムがビッグカツを食べていた。


「ごめん、ごめん。あれ?ヨータは?」


買って来た駄菓子を広げながら、家の主が居ない事を不思議に思った。


「コージ君と喧嘩になって、さっき部屋から出て行ったとこ」


コージ君とはヨータの兄。

ヨータは男5人兄弟の末っ子だった。

コージ君はオーゴ達にも優しく、2つ上の4年生。ヨータの家での兄弟喧嘩はいつもの事。

喧嘩する程なんとやらである。


スグルから順番が変わり、オサムがマリオブラザーズをやり出した頃、ヨータがめそめそ泣きながら戻って来た。


「オーゴ来てたの」

「うん、大丈夫?」

「くにおくん…持っていかれた…」


それを聞いた3人全員の視線が即座にヨータに向き、目を見開いたまま固まった…

マリオがノコノコに当たり、ゲームオーバーの音が流れ出した。

その音はそこにいる4人の心情を表していた。


くにおくんとはファミコンのカセット“熱血高校ドッジボール部”の事で当時非常に流行っていたカセットの一つであり、オーゴ達もそのゲームに熱血に熱血していた。


悲しみに打ちひしがれながらも、4人は順番にマリオブラザーズを再開した…

くにおくんが無い…ただそれだけでいつもクリア出来ているステージもクリア出来なかった。


「おい、これ」


コージ君がヨータの部屋に何かを投げ込んで来た。

そこには、かっぱえびせんにベビスターラーメン、ヤングドーナツ、そして大袋のポテトチップスがあった。


「うぉ〜!!!」


ヨータの部屋は4人の歓声で張り裂けんばかりであった。

小学2年生。バカバカしい程に単純である。


この日はくにおくんから燃えろプロ野球に切り替えて4人は対戦しまくり、大いに盛り上がった。


「おいおい!ここでまたクロマティかよ〜」


「よっしゃー!落合の逆転スリーラン!!」


クロマティと落合は反則な程ホームランを打つ。


盛り上がり過ぎてついつい門限の17時を過ぎてしまっていた。


「わっ、もうこんな時間!?」

「えっ!?鐘、鳴った?」


17時になると夕焼けこやけのメロディにのせ町中に鐘が鳴るが、燃えプロに夢中になっていた4人にはその鐘が聞こえていなかった。


とりあえず、やっつけで9回まで終わらせると

オーゴ、スグル、オサムはヨータの家を後にした。


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